きみのその手に触れたくて"

遥風 かずら

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第二章 隣の席のカレシ

21.仲の良い友達と彼氏

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「ねえねえ、あやきち。七瀬って優しい?」
「当然」
「……そうなんだ。七瀬って編入したての時に結構人気だったけど、あんまり話したがらなかったからみんなで戸惑ってたんだよね。その点、林崎くんは話しやすくて可愛い感じがするから女子受けよくてさ~」

 七瀬が言ってた通りだなぁ。

「七瀬も可愛い」
「あーうん、でもそれはあやきちだけだと思われる」
「……ん~?」

 最近わたしとよく話すようになった雪乃は、沙奈と違って嫌な感じがしない。と言っても、沙奈だってそんな感じだったけど。

 それが七瀬と関わるようになって保健室でのことがあってから、同じ教室にいてもほぼ話さなくなっていた。

 だからじゃないけれど、雪乃以外の女子とも少しずつわたしと話すようになっている。男子にもあるように女子にも合わないタイプがあったわけで。

 沙奈といつも一緒にいた時、他の女子たちは近寄りがたそうにして近寄ってもこなかった。派手めな沙奈と地味すぎるわたしの組み合わせが不思議に思えただろうし、目立っていたからかもしれない。

「あやきちって、林崎くんとも仲がいいよね?」
「話は出来る」
「そりゃあそうだ。誰だって話は出来るよね! じゃなくて、七瀬って彼と友達っしょ? 林崎くんって好きな子とかいないのかな? チャンスありそうなんだけど」

 もしかして雪乃って?

「分からないけど、チャンスは平等」
「あやきちに慰められてる!? まぁ、イベントは夏からも続くだろうし、きっとあるよね」

 そっか、林崎くんに気があるんだ。

「頑張れ」
「お、おう。私のことは雪乃さんとか、ゆきのんと呼んでもいいんだぞ?」
「名前変えた?」
「違くて! や、あやきちの気持ちが固まってからでいいや。あやきちはそういう子ってこと理解してるし」

 親とか誰かとかに名前をちょっと変えて呼ばれるのはいいけれど、わたしはそのままで呼ぶのが好きだったり。

 だからじゃないけれど、七瀬を呼ぶのも下の名前で呼ぶより七瀬と呼ぶのが好き。

 ……それはともかくとして。

 大した意味もなければ深くもないのに、と会ったあの日から七瀬はわたしじゃない方を気にしてる。

 それこそ、俺のことはまだ名前で呼んでくれないのか? なんて言い出すようになった。それって、あんな奴相手でもヤキモチをしてしまったってことだよね。

「綾希、ゴミ捨て行くから付き合ってくれ」
「分かった」

 ゴミ捨て当番ってわけでもないけど七瀬って本当に真面目。だから、教室のゴミが気になったら捨てに行くくらい大真面目な男子。

 潔癖でもないみたいだけれど、結構綺麗好きっぽい。

「だいぶ慣れたみたいだな?」
「んー?」
「女子の友達への相手が」

 見てないようで見てるんだなぁ。

「雪乃? なんかわたしにゆきのんって言われたいんだって」
「呼ばねえの?」
「今はそのままがいい」
「うん、お前ってそうなんだよな。俺が気にしすぎてるだけで、別に下の名前で呼んだからって差がつくとかそんなんじゃないって分かるのに。俺も、まだまだだな」

 本当に余計なストレス与えちゃって、何なのあいつ。

「七瀬は忘れてるけど、好感度が上がればそれも変わるから」
「好感度! あー! そういやそうだった。ちなみに今は?」

 今となっては意味もないくらいに好き。それを勘ぐられたくないから、三文字で誤魔化してるだけで。

「好きから一つ上がった」
「――って、上限は?」
「限りなく」
「デスヨネ」

 七瀬は苦笑しながらも嬉しそうに笑ってた。だから、本当にそのうちにきちんと呼ぶ。

 そもそもいつも手を触れることがなくて、キスとかも全然。だから沙奈とわたしはその辺の覚悟が違うんだと思う。

 七瀬が言っていたって、そういう意味だったんだと今さらながら理解。

「あやきち」
「却下」
「厳しいなお前。まだまだ難易度は下がりそうにないな。それも含めて好きだけどさ」
「ありがと」

 川でのアレの言ってたこととか沙奈の言ってたのが分かるのは夏以降だろうけど、わたしや七瀬にも全然関係ないことだし、今すぐ気にすることでもない。

 こんなゴミを捨てに行く時間ですらも七瀬との時間なわけで。

 関係ないことに不安がってもって話。

 だから、今は忘れる。学校に来る時だって、そもそもアレと会うなんてないだろうし。

 だからきっと大丈夫。気にしない、気にしない。
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