私は、Ωの事を知らな過ぎた。

野菜箱

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出会い

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パーティーは、隣国の建国記念日祝いのパーティー、そのため我がサンベール王国以外にも多くの国の王族や貴族が親子で参加している。
大人達は、挨拶回りや今後の話し合い、子ども達は子ども達で戯れたり食事をしたりしていて、よくあるパーティー風景であった。
本来であれば、コランもこのパーティーへ参加しているはずだが、まだ幼すぎるため出席はせず、自国におり、お母上の側にいる。
私はこのパーティーで、顔見知りになった同年代の子達と話しながら、食事をしていた。

「所でお聞きになりました?カルミア姫、このパーティーにΩが来ているらしいいよ!」

「おめが?ってあのΩ?」

話によるとモクレン帝国のご子息のΩが、このパーティーに来ているそうだ。
王族や貴族の子供の中にΩが生まれる事はそう珍しい事ではない、がこのようなαが多く集まるパーティーでΩが来ることは、αに襲われる危険もあるため珍しく驚いた。

「カルミア姫は確かαでしたよね?誘惑されないように、お気お付けになってね」

「えぇ、お気遣いありがとうございます」

有力者の子供のΩは基本的に人が集まる場所出てこない、血を大事にする一族からは子供を作りやすいΩは歓迎されるのだが、中には"αを惑わす淫魔"としてΩを忌み嫌う一族もいるので、有力者の嫁であっても公の場にΩが来る事は滅多にない。
お話していたご令嬢は、ご両親に呼ばれ私は一人になり、話相手のいないパーティー特段面白くない、だが他のグループに混ざろうにも既に盛り上がっている様子に割って入るのは気が引ける……と言う事でパーティー中、解放されている中庭へ話相手を探すついでに散策しにやってきた。
中庭には、バラの迷路や季節の花々が咲き誇りよく手入れされていて、とても綺麗でついつい見とれていると、迷路の奥の方から誰かしら喋っている声が聞こえた。
ここは王宮だ、話相手になってくれるのでは?と少し心踊らしながら音のした方へ向かうと同年代くらいの子達が数名群がって何かをしていた。
気になって、その方に近づくが

「αである、私のお兄様を誘惑する気ですの?」

「いくら有力者のご子息とはいえ、Ωがこのようなパーティーに来るのは如何かと思いますよ?」

「恥を知ったらどうだ?」

数人の子供が一人の子を責め立てていた。
どうやらΩを寄ってたかっていじめているらしい。

(嫌なものを見たな……)

いじめをやられる側でもする側でもあのような空間にいるのは気分が良いものではない、だが止める勇気もないため、私は何も見なかった事にしてその場を去ろうとした。

「男のΩとか気持ち悪いですわ……」

この発言が自分に言われているようで、一気に沸点まで到達し、

「ねぇ、貴方達?何をやっているの?」

気づいた時には口が出ていた。

「!?」

「な、なんだ……ですか!?カルミア姫!?」

私の存在に気づいた虐めっ子達は、一瞬慌てふためいたがすぐに取り繕いだした。
対峙して分かったが、どうやら年下らしく知っている顔もあり、少しがっかりしている。
「貴方がこんな事をするなんて……スノー姫」
「…」
スノー・ドルム・ロップ、ロップ王国の第2姫で、コランの婚約者として最近、お父様に紹介されたばかりだった。
スノー姫は、鋭い眼差しをしたかと思えば、すぐに心配そうに

「義姉様、貴方様はここに近づかない方がよいですよ?」

「そ、そうですわ!ここには汚らしいΩがいますのよ、αである貴方様では誘惑されてしまいますわ!」

「ですからβである僕たちが、αを誘惑するΩを排除しますから!安心してパーティーへ戻ってください!」

スノー姫が一言いえば取り巻き達は、次々言葉を重ねていく、確かにΩは、フェロモンを分泌しαを誘惑する、それは事実であるがそれを理由に一人を多人数でいじめるのは、同じように性別で陰口を叩けれている私にとって気分の良いものではない。

「貴方たち……αやΩ以前にここは様々な有力者達が集うパーティー会場よ?そんな場所で、一人を大勢でいじめるのはどうかと思うわ」

「な、何を言って……」

いじめっ子たちは見るからに狼狽えだし、数人は、逃げようと後退りをしているが

「私達はΩが義姉様や他のαに近づかないよう教育しているだけですわ」

「そ……そうですわ!いじめではありません!教育です!」

私に反論してくるがその態度は、明らかに動揺しているのを隠せていない、少し呆れながら

「誰もそんな事は頼んでいないと思うのですが?それに、貴方たち先ほどから目が泳いでいますよ?やましい事をしている自覚がおありなんですね?」

「ッ!」

私の的確な指摘に、取り巻きたちは黙ってしまったが、スノー姫がため息を付き

「はぁ、興が覚めてしてしまいましたわ、では御機嫌よう」

「ちょ!待て!」

その子の後を追うように、いじめっ子達はその場から走り去ってしまった。
その場に残されたのは私ともう1人だけになり、その彼は首にはΩ特有太いチョーカーを身につけている、綺麗な金髪と碧眼でとても愛らしく、頬は少し赤みがかかっていて庇護欲を誘う男の子であった。
年齢は私と同い年か少し下くらいだろう。

「大丈夫だった?君」

私は彼に手を差し伸べると彼は私の手を取り立ち上げり、

「は、はい……助けていただきありがとうございます」

少しおぼつかないが、彼は礼儀正しくお礼を述べ育ちの良さが伺えた。

「怪我は無さそうね良かったわ……お互い性別で苦労するわね」

「……αでも苦労するのですか…?」

彼は気まずそうに話す、事情を知らない者からすれば、αなんて恵まれていいるのだから、苦労なんてしないだろうと思われていたのか

「えぇ、女αだからね……生意気って言われる事が多くって、でも負けないけどね!」

「つよいですね、僕は…男のΩだから……そんなに強くはなれないです」

彼は少し辛そうな表情と境遇に、私は居た堪れなくなり つい、抱きしめ

「性別なんて関係ないわ!貴方は貴方よ、性別に囚われて自分自身を見失って、自信を無くしてはいけないわ」

「カルミア姫……」

彼は、私のドレスをぎゅっと握り、目から大粒の涙を流し

「男が泣くなんて……はしたないですよね……」

涙を袖で拭いながら言うが、私は彼の頭を優しく撫でハンカチを差し出し、

「いいえ、泣いていいのよ、自分を卑下して一歩引く事はないわ」

「ッ!」

彼はハンカチを受け取り、しばらく泣きじゃくっていた。


---


しばらくその場で慰めていると、私を探す声が遠くから聞こえたので

「もう、大丈夫そうね……では私はこれで」

私がその場を立ち去ろうとすると彼は私の手を掴み

「あの!また会えますか?」

「え?えぇ、また機会があれば……」

そう返すと、彼は嬉しそうに微笑み

「はい!その時にハンカチをお返しします!」

その笑顔に思わずドキッとしたが、私はその場から立ち去った。

(そういえば名前聞き忘れてしまった……また会った時に聞けばいいかしら)

私は、呼ばれた声の方に小走りで向かった。



その後パーティーはつつがなく終わり、お父様と一緒に帰国すると、

「国王陛下!カルミア姫様!第1王妃様がお亡くなりになられました!」
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