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第22話 プールで奇跡

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「おはようさん!翔!」
俺は学校に着くとすぐに翔のところへ行った。最近、翔と何故か話せなくなっていたからだ。まあ、翔が俺を避けている感じだった。
(これ以上翔と距離が離れると、ゲームに影響が及ぶかもしれない…それのせいでヒロインを助けることが出来なかったら、バットエンドに行っちまう!だから、何とか元に戻したいんだが……)
「…………」
翔は無視だった。
「お、おい?翔?どうした?元気ないぞ?」
「…………」
「何だよ…なんか言ってくれよ…」
翔は黙ったままだった。

「はぁ、何なんだよー」
翔に無視された俺は、不貞腐れていた。
(はぁ、このままだとヒロインとのイベントが見れなくなるぞー困ったな)
俺はどうすれば翔とまた話すことができるのか考えていた。
「ね………ね……ねえってば!」
「ん?……うわ!!」
顔を上げると神楽坂さんが目の前に立っていた。
「えっと…何?神楽坂さん」
「全く…結構声かけたのに無視するなんて……まあ、いいわ!白鳥くんにちょっとお願いがあるんだけれど」
「ん?お願い?」
「ええ……実は……」
神楽坂さんが俺にあるものを見せてきた。
「ん?これは……プール?」
「そう!プールのチケットを親戚から貰ったんだけれど…白鳥くんもどうかな?と思って」
「えっと…他に誘う子いる?」
「ええ、風香と翔、あと花宮さんを誘うつもりよ」
「ふむ…」
(若葉さんと翔、花宮さんの3人を誘うのか……なんか気まずくなるような気がするんだが……)
俺は胃が痛くなるような感覚がした。
「と、とりあえず、保留で…残り3人が行くってなったら行くかも」
「分かったわ…いい返事を期待してる」
それだけ言うと神楽坂さんは自分の席に座った。
(ふぅ…さぁて、どうなることやら)
俺は他の3人が断ることを願った。

「うん……そんなわけないか」
俺は今、プールにいる。あの後、神楽坂さんから連絡があって、3人とも行くって言ったーと言われた。まあ、もう3人が確定なら俺が断ることはできなくなっていた。
何せ、神楽坂さんが
「3人が行くってなったら行くかも?って言ったよね?」
って言ってきたため、逃げることはできなかった。
「はぁ……どうしようかねー」
俺はある方向を見た。そこには…
「翔くん!これどうぞ!!」
「翔!こっち食べなさい!」
「ふ、2人とも自分で食べるよー」
翔と若葉さん、神楽坂さんの3人がいちゃついているのだ。
(これ、俺いるか?)
俺は深いため息を吐いた。すると…
「あの3人仲良いねー」
「花宮さん!」
花宮さんが俺のところに来た。
「まあ、何となくあの2人が轟くんを思っているのは薄々気づいていたけれど…大変だねー轟くんも」
「だなー…モテ男はずるいです…俺もモテ男になりたーい」
「……モテ男になられたら困るんだけれど…」
「ん?なんか言った?」
「ううん、何でもない!」
花宮さんがボソッと何かを言ったような気がするが、俺は気にしないことにした。
「………クソ……」
そんな俺と花宮さんの姿を翔が静かに見ていた。

(はぁ、何だろうな…凄く嫌な予感がするんだが……)
俺は1人でみんなの荷物の見張りをしていた。翔は若葉さんと神楽坂さんの2人に連れ去られていた。花宮さんはというと、自販機で飲み物を買いに行っている。
「このままだと………うーむ、どうしよう…」
「何がどうしようなの?」
顔を上げると花宮さんがいた。
「はい!白鳥くんの分!」
「え!くれるのか?ありがとう」
「いえいえーどういたしまして!」
嬉しそうな顔をしながら花宮さんは俺の隣に座った。
「翔達のところに行かないのか?行った方がいいぞ、何もすることないしこっち」
俺は花宮さんが翔達のところに行くように仕向けた。
「うーむ、風香ちゃん達いるし、それに、白鳥くんに全部任せるのは違うと思うし…」
「そうか…分かった。」
俺と花宮さんは談笑しながら、翔達を待った。

「あ!白鳥くーん!ありがとう!荷物見ててくれて」
「いや、気にしないで、それよりも楽しめたの?」
「うん!」
「そっか!なら、良かった」
「………花宮さんと一緒だったのか?」
「へ?」
声を出したのは翔だった。
「あ、うん、一緒に待ってたけれど…」
「ふーん……あ、俺自販機行ってくる」
少し不貞腐れたような顔をしながら、翔は自販機まで歩いていった。
「あ!待ってくれよー翔ー」
俺は翔と話すタイミングを掴もうと、翔の後を追った。

◾️風香 視点
今日は翔くん達とプールに来てるよー!
みんなとプール行ってみたかったから、とても嬉しいです!
で、でも!花宮さんが来るって聞いて、ちょっとだけガッカリしちゃった…
また、翔くんと楽しそうにお話しするんじゃぁ?!って思っちゃって……
(ぜ、絶対!負けないもん!!)
今日は翔くんにアタックする予定です!

「翔くん!あの流れるプール行こうよ!!」
私は勇気を出して翔くんを誘った。
「お、おお…いいぞ!」
(やった!!一緒に遊べる!)
私は勇気を出して良かったって喜んでいた。
だが……
「あら、抜け駆けかしら?風香」
「え!そ、そんなことないよ!梓ちゃん!」
梓ちゃんがこっちに来た。
「翔、私とも流れるプールで遊んでくれるわよね?」
「え?あ、おう、いいぞ!遊ぶか!!」
私たちは3人で流れるプールに行こうとした。
すると……
「あ、待ってくれ…花宮さんも…」
翔くんが花宮さんも誘おうとしてきた。だから…
「待って!!今日は私たちと遊ぼ?ね?」
「そうよ!花宮さんと遊びすぎよ!私たちとも遊びなさい!」
梓ちゃんも待ったをかけた。
「ううーん…わ、分かったよー」
渋々諦めてくれた翔くん。ちょっと残念そうな表情をしていた。
(ううう……やっぱり花宮さんなの?)
私は少し悲しくなった。

流れるプールに行って、スライダーにも乗って、3人でたくさん遊んだ。私も梓ちゃんも必死に翔くんに楽しんでもらおうと頑張って、こっちを見てもらおうとしたんだけれど、翔くんは事あるごとに、花宮さんは?とか、花宮さんを誘おうよ!って言ってて、隙があったら、花宮さんを探している感じだった。
(全然こっち見てくれない!何で?!どうして……)
私は楽しみにしていたプールが楽しくないものになってしまった。
(やっぱり花宮さんなの?翔くんの1番は…私だってこんなにも思ってるのに……こんなにも好きなのに……)
私は気分が下がっていった。
ずっと花宮さんを探している翔くんを見ることが出来なくて、私は1人で離れていった。

「はぁ……やだなぁ」
気分が落ち込んでいた。その時だった…
「あれ?お姉さん1人?もしかして、逸れちゃった?」
知らない男性が声をかけてきた。
「ひ、1人じゃ…ないです。お、お友達がいるので…失礼します…」
私はその人から離れようとした。
「そう言わないでさーそのお友達も誘っていいからさ?俺と遊ばない?ねえねえ?いいだろ?」
突然私の腕を掴んできた。
「い、いや…離して……やだぁ…ひっぐ…」
私はさっきのことと今男性に迫られている恐怖で泣き出してしまった。
「ほら…だ、大丈夫だってー、な?」
無理やり連れて行こうとしてきた。
(私…やだやだやだやだ…助けてよ…)
「助けて……翔くん…」
私は小さな声で助けを求めた。すると…
「何してんの?おっさん」
「な、何だよ君は!」
「俺の友達に何触れてんの?」
「なっ…!と、友達だと!」
「そうだけれど、その友達も誘ってって言ってたな、なら、俺のことも誘ってくれるんだよな?」
「ぐっ…」
男性が私の手を離して去っていった。
「大丈夫か?…若葉さん」
「え…」
私は驚いた。私のことをそんなふうに呼ぶ男性は1人しかいなかった。

「白鳥くん……どうして…」

「いや、ジュース買いに行った帰りだったんだよ、なんか、揉めてるなーって思ったら、若葉さんが見えたから」
「そ、そっか…白鳥くん…ありがとう…助けてくれて」
「いえいえーどういたしまして…あと、ごめんね?」
「え?」
「翔じゃなくて…」
「!!!!」
私の顔が真っ赤に染まった。
「だ、大丈夫!助けてくれたから……き、聞こえてた?」
「うん、助けようと近づいたら…あと、今日の様子見てたら、そうなんじゃあ?って思って」
「うううう……か、翔くんには言わないでね?」
「もちろん!言うつもりなんてないよ」
「ありがとう……」
私は恥ずかしさで隠れたくなった。

「今日こそはアタックするつもりだったんだけれど……翔くん、ずっと花宮さん、花宮さんって言ってて……もう、アタックしてもこっちを見てくれないのかなー?って思っちゃって…」
「……なるほどな」
白鳥くんと一緒に近くにあった椅子に座っていた。私の気持ちがバレているから、私は白鳥くんに恋愛相談をしていた。
「やっぱり…翔くん…好きなんだよね?花宮さんのこと」
「多分…そうだと思う…ごめん…こんなこと言っちゃいけないのに」
「ううん、事実だと思うし、私が翔くんの心を捕まえることが出来なかっただけだし…」
「………」
白鳥くんはずっと私の目を見ていた。その目は優しかった。
「…あれ?」
私の目がぼやけてきた。そして、ぽろぽろと何かが落ちてきた。
涙だった。
「うう……なんで……うううう……うぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
私は泣きじゃくった。涙を拭っても拭っても溢れてきて、止まることはなかった。
「………」
白鳥くんは黙ったままだった。すると突然…

~~♪~~~♪~~♪♪♪~~♪~~♪~

「え?」
白鳥くんが歌を歌い出した。私たちに聞こえる程度の声で…
その歌声は綺麗で、聞き惚れてしまうほどだった。
さっきまで泣いていた私は、いつの間にか涙が引っ込んでいた。
(何だろう…この感覚……白鳥くんの歌を聴いていると…心が暖かくなる)
私は自分の胸に手を当てた。トクトクとなっている心臓の音を感じながら、白鳥くんの歌に耳を傾けた。

「泣き止んだな」
「あ…」
白鳥くんが私を見て言った。
(泣き止まそうとしてくれたんだ…)
私は白鳥くんの目を見た。優しそうな目をしていて、でも、どこか悲しげな雰囲気があった。
「ありがとう…白鳥くん」
「いや、俺にはこれしか出来ないから」
そう言った白鳥くんは私に背を向けた。
「さ、みんなのところに帰ろ?」
「うん…」
私は白鳥くんと一緒にみんなの元に戻った。

※あとがき
プール編開幕ですー梓ちゃん、風香ちゃん、翔くん、桜ちゃんのみんなの恋はどうなるのかー

次回、まだまだ続くよプール編!
お楽しみにー
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