輝く空に、瞬く星に #元世界最強の能力者!仲間と家族と、ヒロインを救う恋愛ファンタジーバトル開幕!!

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第31話 闇の組織 『セレスティアル・アルカナ』

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「さて!それじゃあ、話して貰おうかな?」
学校の一つの教室にヴォイドを放り込んだ。
もう下校時刻を過ぎているため生徒はいなくなっていた。
学園長、俺たちの叔父に連絡を入れて、学校に残らせてもらった。
「はっはっはっ…この私を捕まえるとは……聞きたいことだったな……今、私は気分がいい、答えてやろう」
日向の眉毛がピクピク動いていた。
「お前、何の目的で俺たちを襲った?」
「ふふふ……あの方からの命令であなた方の命を頂戴するために襲ったのだ!」
「へぇー、あの方って?」
「『響也』様だ!」
「………『響也』さんね…」
日向の表情がより険しくなった。
「そうだ!『響也』様が私を救ってくださった。だから、あの方が望むことを行うのが恩返しというものよ」
「『響也』の仲間……そういうことか」
「ああ!そうだ!響也様の組織『セレスティアル・アルカナ』、私が所属している組織だ!」
「『セレスティアル・アルカナ』聞いたことがあるな…凶悪犯罪者が揃って結成された組織だと。でも、確か数年前に壊滅したって聞いたが?」
「ふっふっふっ…その組織が復活したのだ!我らはこの世界を滅ぼす!響也様と共に!」
「滅ぼすって……そんなことさせるわけないだろう!」
「ふん!これがあれば出来るんだよ!」
ヴォイドが白い粉を取り出した。
「お前、それ『ヴォグ』だな?」
『ヴォグ』とは、自分の過去の記憶を忘れ去り、自分の体が壊れていく、その代わり、自分の身体能力が向上したり、異能力に目覚めたりする、所謂、違法薬物のことだ。
俺はヴォイドの顔を見た。しわくちゃのじじいの顔だった。ところどころ顔の形に違和感があった。目の位置が片方ずつ違っていて、左目は上に上がっていて、右目は下に下がっていた。
ずっとニタニタ笑っていて、気持ち悪かった。
これが『ヴォグ』の典型的な症状だ。
「その通り!!『ヴォグ』はいいぞー昔のことなど必要ない!私は、今!最高なのだ!!」
「頭までイカれてやがる」
「はぁ……れい兄、一発こいつぶっ飛ばしていい?そうすれば、頭も元に戻ると思うんだけれど…」
「こらこら日向、この人は重要参考人、流石にぶっ飛ばしたらダメでしょ?」
「……れい兄がそれを言う?」
「……あ」
俺も相当ムカついていたのだろう、無意識に自分の手を強く握りしめていたらしい。
「はぁ…じゃあ、響也さんのこと教えてくれるかな?」
「………」
「急に黙るなー!!」
ヴォイドはじっと俺たちを見ていた。
「???」
「……何だ?」
すると……

「ふっふっふっ……あはははは!!!まさか、貴様らに会うとはな!」
「「!!!」」
ヴォイドの様子が変わった。雰囲気も話し方も
「クックックッ…ヴォイドを捕らえるとは、流石、黒夜叉だな!」
「お前……まさか!」
「ふっふっふっ……そのまさかだよ!」

        「響也!!」

「覚えてくれていて嬉しいぜ!黒夜叉!いや、零!日向!」
ヴォイドの声でヴォイドの体で話す響也。体が乗っ取られているみたいだった。
「お前!!どういうつもりだ!!俺たちを襲って何がしたい!」
「ふっ……相変わらずギャーギャー騒ぐねぇー、ヴォイドではお前達を倒すことは出来なかったか……」
「……おい、ヴォイドではってどういうことだ?お前、他にも仲間がいるのか?そいつらにもフォグを飲ませてるんじゃないだろうな?!」
「……はぁー、その通りだけれど?」
「てめー!!」
「れい兄!ダメ!!!」
俺はヴォイドを殴りそうになった。
日向が俺を止めたから、当たらなかったが…
「短気なところも変わってないなー」
「……お前……どうして…」
「ん?」
「どうして…何で!……お前が…そっち側なんだよ!」
「………」
響也は黙ったままだった。
「響也さん……」
「俺たち…仲間だっただろ……何で……」
「ふっ……もう昔のことだ…俺はお前達とは違うんだよ…何もかも、天才と言われたお前達とはな!!」
響也が叫んだ。怒りの籠った目で俺たちを見ていた。
「響也……」
「お前達よりも強くなった…この俺を倒せるやつなどいないんだよ!」
「響也さん…」
「今度こそお前達を殺す…ではな」
響也はヴォイドの体から消えていったみたいだった。

「クックックッ……響也様が私の体に!あーっはっはっは!!最高ですよ!!響也様!響也様!」
狂ったように響也の名前を呼び続け、叫び続けていた。
「はぁ……こりゃ、クラムの問題を言ってる場合ではないな、どうにかしねぇと」
「だね……」
俺たちはどんよりした気持ちのまま、先生を呼び、ヴォイドのことを任せた後、家に帰った。

俺と日向は玄関で立ち尽くしていた。
なぜなら…
「おう!零!日向!帰ってくるのが遅かったじゃねーか!!」
何故か叔父さんが待っていたから…

「えっと、何でいるの?」
「どゆこと?」
俺と日向が首を傾げていると…
「零、日向、リビングに来い、今日のこと話してもらうぞ」
「!!!……父さん」
「お父さん!」
滅多に帰ってこない父親が俺たちを呼んできた。
俺と日向は顔を見合わせると、凄く嫌そうな顔をしてしまった。
俺たちは渋々、リビングに向かった。

(なあ、俺らなんかしたっけ?悪いことしたか?)
(何もしてないから、怒られることないはないと思うんだけれど…)
(今日のヴォイドのことかな?そんな気がする)
(確かに…)
日向とボソボソ小声で話していると…
「お前達に聞きたいことがある。」
俺と日向は緊張しまくった。そして……
「今回、敵組織が現れたと連絡が来た。それも、お前達の学校に現れたと…何か知らないか?」
「………」
「………」
「黙ったままでは分からないのだが?」
「……知らないよ」
「私も…知らないです」
「………」
重い沈黙が続いた。そして…
「ふぅー……まあいい、何か気になることがあったら言うように」
父さんはそれだけ言うと、リビングを出ていった。

俺も日向も父さんに話すべきだということは分かっていた。それでも、話すことは出来なかった。父さんに連絡が入った理由として、クラム殲滅部隊が関わっていると思ったからだ。クラム殲滅部隊に今日のことがバレるとまずいことになる。俺たちのことをとことん調べるだろう。
黒夜叉、星雲姫のことを知られるとマズいのだ。だって、黒夜叉も星雲姫もクラム殲滅部隊からしたら邪魔者だからだ。俺たちはクラム殲滅部隊に所属していない。だから、クラムを殲滅するための組織なのに、それに属していない人物がクラムを倒していたら、邪魔でしかないだろう。そのせいで当時は、正体不明にしておかないといけなかった。

「「はぁーー」」
俺たちは深いため息を吐いた。
「バレて…ないよな?」
「多分ね」
「父さん、今でも連絡しているんだな、クラム殲滅部隊と」
「……みたいだね」
父さんは元クラム殲滅部隊所属のエリートだった。叔父さんとタッグを組んで、クラムを倒しまくっていたらしい。俺と日向が生まれてからだろうか、俺たちを身近で守るためっていう理由で辞めてしまったが…

「……で、叔父さんは何しに来たんだ?」
俺たちのそばで様子を見ていた叔父さんに聞いた。
「お前達に聞きたいことがあったから来たんだよ」
「聞きたいこと?」
「ああ、お前らの親父と同じなんだがな……知ってるんだろ?今日あったこと」
「………」
「ま、無理矢理には聞かないさ、ただ、もし、話せるなら話してほしい。クラム殲滅部隊が動きやすくなるからな」
「………」
叔父の目を見た。いつもふざけてたり、おちゃらけていたりしていて、呆れるような男なのに、今、俺を見る目は違った。本気で知りたがっている目だった。
(昔にも見たなーこんな目……はぁ……)
「『セレスティアル・アルカナ』」
「!!!」
叔父さんが驚いていた。
「その組織が動き出したってことだけ、教えておく……それ以外は話さねぇよ」
「まさか……壊滅したんじゃ……なかったのか?」
「そうみたいだねー」
「………」
叔父さんは考え込み出した。
「言えることはそれだけだ。それじゃあな」
「またね?叔父様」
「あ、ああ…」
叔父さんをほっといて、自分達の部屋に戻った。

そして、何事もなかったように過ごした。

※あとがき
大変お待たせしました。
更新が遅くなってすみません!
いやー最近忙しくてですね……まあ、いろいろあるんです。

さて、『セレスティアル・アルカナ』一体どんな組織なのか、そして、
これから先で何が待ち受けているのか、お楽しみに。

次回、クラムの原因
お楽しみにー!
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