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第33話 俺、学園大運動会!!出場!!
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「れーーーいーーーちゃーーーん!!!」
「あ?」
ドゴゴゴゴ…ガッジャーン!!!
「グヘッ……!!」
「れいちゃん?あれ?れいちゃーーん?」
龍牙が走ってきて、俺に飛びついてきた。そして、今、こいつに乗られて動けなくなっていた。こいつの視界に俺がいないからなのか、俺の上に乗ったまま俺の名前を言い続けていた。
「邪魔だ、バカたれ」
「??あっ…れいちゃんいたー!!」
「お前……わざとだろ、見えてるだろ、早くどけ!!」
「ええーーーー」
「女子みたいな言い方すんな!!」
「いや~~ん」
龍牙は、すごく気持ち悪い声で言った。
「何してんの?2人とも」
「あっ!日向っち!」
「じゃれていないで、練習行くよー!!」
「へーい!れいちゃん行くぞー!!」
「はぁ……だるー……って分かったから行くから、引っ張るなー!!引きずるなー!!」
龍牙が俺の服を掴むとズルズルと引きずっていった。
今、この学園では体育祭の練習が行われている。一応学生だから、学生らしいことをしよう!って数年前のこの学園の生徒が決めたらしい。クラムが活発化しているから、油断なんてできないんだけれど……
「れいちゃんーリレーの練習しよーぜー」
「……はいよ」
俺は団体競技の綱引きと騎馬戦、個人競技では、リレーと障害物競走の4種目に出る予定なのだが……
「そういえば、他のメンバーは?」
「ああ…みんな、練習だるいって言ってどっか行ったよ」
「嘘だろ?!じゃあ、リレーの練習どうするんだよ?れいちゃん」
「俺とお前のところしか練習できないな」
「うっそ~~ん?!」
龍牙がガクッと地面に膝をついた。
ぽんっと龍牙の肩を叩くと……
「俺らでやるしかない…しゃあないしゃあない」
「れ、れいちゃん……なんか怒ってる?」
「いーや……全然!!」
手に力が入る。
「れ、れいちゃん?!い、痛いんだけれど…」
「怒ってないよー全然!ぜーんぜん!」
「絶対怒ってるじゃん」
「よし!それじゃあ、れいちゃん!俺がここから走るから、受け取ってくれよー」
「はいよー」
「行くぞー!!」
ダッ…!!
龍牙が走ってきた。ぐんぐんスピードが上がってきていた。俺はタイミングを見計らって飛び出した。
「は~~~い!」
パシッ!!
手に棒が当たる感覚がした。すぐに掴むと、俺は前を走り続けた。
「オッケー!!れいちゃん!戻ってきてー」
その声で俺は走るのをやめた。
「はぁはぁはぁ……しんど…」
「おつかー、何とかなりそうかなー?」
「少しフォームが崩れたような気がするから、ちょっとだけ確認したいかな…」
「りょーかい!ってれいちゃんがやる気出してるー!!」
「出してちゃ悪いか?」
「いーや!嬉しいだけだよーん」
「あっそ……はぁはぁ…しんどいわ」
「あははは!!」
他の生徒も練習に励んでいた。ふと、そこで俺はある人たちを見つけた。
「なぁ、龍牙」
「何だ?」
「あれ何だと思う?」
「ん?」
俺が指を指したその方向にいたのは……
「コネット!!また、貴様は!!」
女子生徒に対して男子生徒が怒鳴っている様子だった。
「ありゃりゃ、揉め事っぽいね」
「あの子、見たことあるな」
「え!どっち?」
「女子の方…コネットって言ってたな……まさか」
よーく見ると、男子生徒に取り巻きみたいな奴らがいた。その光景を前にも見たのだ。
「思い出したよ…」
「え?誰?」
「女子がアルテミス・コネットさん、男子がオーギュスト・アマーティ、婚約者同士だ」
「へぇー」
「へぇーってお前…前に話したろ?俺様系男子が女子をいじめていたって…」
「……あーそういえばそんなことがあったな…」
「本当に覚えているのかよ……」
「まあまあ、ん?アマーティ?」
「何だ?思い出したのか?」
「いや、どっかで聞いたことあるような……」
「???とにかく止めねぇと!!」
「あ!れいちゃん!」
俺は走って2人を止めに向かった。
「全く貴様は!!使い物にならないな!」
「……申し訳……ございません………」
「本当に貴様は……生きてる価値があるのか?」
「人の生きる価値なんてお前が決めることじゃない!」
「あ?ってまたお前かよ!!」
アマーティは俺を睨んできた。コネットさんは俺を見て驚いていた。
「人の価値なんてお前が分かるわけがない!自分の価値は自分で決めるんだよ!他人が決めんじゃねぇ」
「ふん!俺様とこいつは他人ではない!婚約者だ!!」
「いや、他人だろ!婚約者であるってだけで、結婚したわけじゃねぇーんだから、まだ、家族じゃねーだろ」
「……っ貴様!!」
アマーティが俺に近づき、睨んできた。
「ちょいちょいお二人さん、こんなところで言い合いしても何にもならないだろー」
龍牙が後から来て俺たちを止めようとしてくれた。
「ふん!これだから平民は……」
「いや、今それ関係ないでしょ?喧嘩やめなって言ってんだよ」
すると…
「貴様らそこまで俺様達を邪魔するか……ふん!!まさかと思うが…コネットを気に入ったんじゃないだろうな?」
「はぁ?」
頭がおかしいみたいだ。どこをどう見たら彼女に気があるみたいに思えるのか……
「そこまで言うならば、勝負と行こうではないか!!俺様の方が素晴らしいとな」
「……龍牙、こいつ頭大丈夫か?」
「うーん、精神病院に行った方がいいかもねー」
突然勝負を仕掛けてきた。こいつの頭はとうとうおかしくなったらしい。
そう思っていたら…
「何してんの?」
「日向」
トボトボとこっちに歩いてくる日向。ふとアマーティの方を見ると…
「こいつ……」
「あははは!!そう言うことか……」
アマーティの目がギラギラしていた。まるで獲物を見つけたと言わんばかりの目だった。
(こいつ、日向を狙ってるのか…だから、俺らに勝負を仕掛けてきたのか、ずっと邪魔するから、叩き潰せるのと、日向にいいところを見せれると思ったからってところか……下心丸出しだな)
はぁ…とため息を吐いた。
そして、
「その勝負、受けるよ」
「!!れいちゃん」
「ふん!恥をかかせてやるよ!」
アマーティはそれだけ言うと去っていった。
「いーのかなー?れいちゃん、勝負受けちゃって……」
「ま、いーわけないが、コネットさんも日向も傷つくようなことになったらやばいだろ?まあ、しゃあないしゃあない」
「しゃあないでまとめやがった…」
「何があったか知らないけれど…あんまり騒ぎにしないでよ?2人とも」
「「はい…」」
日向に注意された。
「コネットさんだよね?大丈夫?」
「あ、は、はい…すみません…また、助けていただいて…」
「ううん!大丈夫!何かされたらまた、言ってね?」
「はい…」
「よし!それじゃあ、れい兄!龍牙さん!練習!練習!勝負するんでしょ?」
「へい」
「ういー」
そして……
パンッ!!パンッ!!
「只今より、草薙学園大運動会を開催いたします!!」
「わぁぁぁぁあああああああ!!!」
「始まったな!」
「ああ」
「アマーティと対決するって話だったよな?何で勝負するんだ?」
「この大会のリレーで勝負するらしい」
「え?リレーってどうやって?」
「俺もアマーティもアンカーらしい、それと、組も同じだから、直接対決になるかな…」
「あーなるほど……でも、その前に差を付けていれば、有利なんじゃね?」
「まあ、そうなんだが……それは、仲間次第だな」
「なるほどねー……ってことは俺も頑張らないと、いけないパターンだね?」
「そうだな、悪いが頼む」
「はいよー」
その時、アナウンスが聞こえてきた。
「綱引きに出場する方はすぐに集合場所へ集まってください、繰り返します…」
「お!お呼び出しだ!れいちゃん!頑張ってなー」
「はぁ……やりますかー」
背伸びしながら集合場所へ向かった。
「あれ?魁斗じゃん」
「ん?零」
綱引きの集合場所に魁斗がいた。魁斗とはクラスが違うため敵同士になるのだが……
「自信のほどは?」
「まあ、ぼちぼちかな、やるだけやるよ」
「あーね」
「ま、零には負けないがな」
魁斗が俺に闘争心を燃やしてきた。
「はははは!!なら、相手してやるよ!」
俺たちはお互いに睨み合った。勝つために
綱引きの初戦は1-8だった。強そうな男子が数人見えるが、俺たちも頑張ることにした。
「では、お互い正々堂々と……始め!!」
ピーッ!!
グイッと綱を引き合った。引っ張られる感覚が強かったが、力を入れてしっかり引っ張った。
結果は……初戦勝ちだった。
「よし!」
俺は1人でガッツポーズしていた。
「お疲れさん!れいちゃん」
「ああ…疲れた」
ドサッと椅子に座った。綱引きの最終結果は、3位だった。
「惜しかったなー最後」
「はぁ…何戦も勝負したら疲れるよ……でもまあ、3位だし満足よ」
「そっか……」
「2人ともー」
「「ん?」」
声がしたので、その方向を見ると、魁斗と蓮斗がこっちに来た。
「お疲れさーん」
「ういー」
「良かったぞ、綱引き」
「そりゃどうも…そっちは1位取ってたけれどな!!」
「ふっ……当然!」
ちょっと嬉しそうに言ってきた。なんかむかついたので魁斗の頭をスパンッ!!って叩いておいた。
「いってーよ!」
「あははは!!」
「れいちゃんが悪魔になりやがった…」
「いや、いつも通りでしょ?あれは」
蓮斗と龍牙が悪魔だと言ってきたので、こっちも叩いておいた。
綱引きの次は借り物競走だった。走者が次々と色んなものを借りていった。中には、女子を借りる人がいれば、先生を数人連れて行く人もいた。
「すっごく面白かったんだが?こけてるやついたし!」
「あれは、痛そうだった。」
「だねー」
「お!あと、2個の競技が終わったら、騎馬戦だぞー!!」
「「「げっ……」」」
俺と魁斗と蓮斗は嫌そうな顔をした。当然だ、あんな危ない競技に強制的に入れられてしまったからだ。
「ま、頑張ろうぜー!」
「「「嫌だーーー!!」」」
「マジで何でこの騎馬戦があるわけ?」
「さあな?」
「はぁ……早く終わらそ」
「まあまあ、れいちゃん!何事も楽しむことが1番よ?」
「楽しめるかー!!!!」
俺と龍牙がごちゃごちゃ言いながら騎馬戦に出た。
「おら!!」
「はい!取ったー!」
「クソッ!!」
男子達が大暴れしていた。女子もタオルを取り合っていて、ぐっちゃぐちゃになっていた。
「ほい!」
「よっと!」
俺と龍牙は次々とタオルを奪っていった。
「ごっちゃごちゃになってるけれど、いけるか?これ」
「さあな…ただ俺たちは有利だろ?だって…」
「あはは!そうだった!」
後ろから敵チームが襲ってきたが、俺たちは普通にかわすとすかさず相手のタオルを奪った。
「気配が読めるもんねー」
「分かりやすいからな」
ひょいひょいと避けながら、タオルを奪っていった。
そして、結果はもちろん…
「はい!勝ちーよえーよー」
「普通に勝てたな」
俺たちの両手に大量のタオルがあった。
「はぁ…疲れた……」
「2人ともお疲れ様ー」
日向が俺たちのところに来た。
「この体育大会しんどいんだが?」
「あはは!まあ、クラムと戦うよりはいいでしょ!」
「それはそうだけれど……」
自分たちの席に戻った俺たちは、次に出場する種目まで待機することにした。
「そういえば、勝負するんだって?あの、男子生徒と」
「ん?ああ、なんかそう言う流れになった。」
「あの人って確か……」
「ああ、俺様系男子な?」
「いや、アマーティさんって言えよ、何だ俺様系男子って」
龍牙にツッコまれてしまった。
「大丈夫なの?」
「まあ、何とかなるでしょ……」
「適当だなー本当に……」
日向は呆れた表情で俺を見てきた。
「お!障害物競走の集合かかってるぞーいってこーい」
「はぁ……」
トボトボと歩いて集合場所に向かった。
「あははははは!!!」
「おい……何笑ってんだよ龍牙」
龍牙が大爆笑していた。まあ、無理もない。
俺の姿がおかしなことになっているからだ。全身真っ白の粉で覆われていて、顔にはべっとりと泥がついていた。
障害物競走で砂の中にある飴玉を取るところがあったが、そこで飴を見つけるのに手間取って、顔が泥だらけになってしまったのだ。そして、やっと飴を見つけたと思ったら、今度は、泥のせいで目が開けられなくて、そのまま走った結果、地面にある白い粉の上を走るところでこけてしまい、全身真っ白状態になった。
この状態を見て、龍牙が大爆笑しているということである。
「いやーあれは笑ったわ、笑い死ぬわ」
「そこまでかよ…」
俺は頑張ったのに笑われたため不機嫌になった。
「まあまあ、怒るなって~」
「……後で覚えとけよ?」
「ヒェーーー……」
龍牙が震え上がっていた。
体を吐き終わり戻った俺は、ようやくリレーの時間になった。
「はぁ…今度はリレーか」
「これが最後だねーん」
「出し切りますかー」
「あははは!!やるからには本気だよなー!!」
「だな」
準備体操をしながら集合場所へ向かった。
それぞれの走者位置に移動して、そろそろスタートされる時だった。
あの俺様が俺に話しかけてきたのは…
「ふん!逃げずにくるとは…愚か者だな」
「……何で愚か者になるんだよ」
「俺様が絶対勝つからだ!お前に勝ち目などない!それなのにわざわざ来たからな…だから、愚か者なのだ!」
「いや、何で勝ったって勝手に決めつけてんのかな?分かんないじゃん!俺が勝つかもよ?」
「ふん!ありえんわ」
一切負ける気がしないみたいな顔をしていて、めっちゃむかついた。
だから…
(絶対、勝ってやる!!)
俺は走ることに集中した。
※あとがき
体育祭が開催!!綱引きとか騎馬戦とか…盛り上がってたなーあの頃……
さて、いよいよリレー開始!!
次回、リレー大勝負
お楽しみにー
「あ?」
ドゴゴゴゴ…ガッジャーン!!!
「グヘッ……!!」
「れいちゃん?あれ?れいちゃーーん?」
龍牙が走ってきて、俺に飛びついてきた。そして、今、こいつに乗られて動けなくなっていた。こいつの視界に俺がいないからなのか、俺の上に乗ったまま俺の名前を言い続けていた。
「邪魔だ、バカたれ」
「??あっ…れいちゃんいたー!!」
「お前……わざとだろ、見えてるだろ、早くどけ!!」
「ええーーーー」
「女子みたいな言い方すんな!!」
「いや~~ん」
龍牙は、すごく気持ち悪い声で言った。
「何してんの?2人とも」
「あっ!日向っち!」
「じゃれていないで、練習行くよー!!」
「へーい!れいちゃん行くぞー!!」
「はぁ……だるー……って分かったから行くから、引っ張るなー!!引きずるなー!!」
龍牙が俺の服を掴むとズルズルと引きずっていった。
今、この学園では体育祭の練習が行われている。一応学生だから、学生らしいことをしよう!って数年前のこの学園の生徒が決めたらしい。クラムが活発化しているから、油断なんてできないんだけれど……
「れいちゃんーリレーの練習しよーぜー」
「……はいよ」
俺は団体競技の綱引きと騎馬戦、個人競技では、リレーと障害物競走の4種目に出る予定なのだが……
「そういえば、他のメンバーは?」
「ああ…みんな、練習だるいって言ってどっか行ったよ」
「嘘だろ?!じゃあ、リレーの練習どうするんだよ?れいちゃん」
「俺とお前のところしか練習できないな」
「うっそ~~ん?!」
龍牙がガクッと地面に膝をついた。
ぽんっと龍牙の肩を叩くと……
「俺らでやるしかない…しゃあないしゃあない」
「れ、れいちゃん……なんか怒ってる?」
「いーや……全然!!」
手に力が入る。
「れ、れいちゃん?!い、痛いんだけれど…」
「怒ってないよー全然!ぜーんぜん!」
「絶対怒ってるじゃん」
「よし!それじゃあ、れいちゃん!俺がここから走るから、受け取ってくれよー」
「はいよー」
「行くぞー!!」
ダッ…!!
龍牙が走ってきた。ぐんぐんスピードが上がってきていた。俺はタイミングを見計らって飛び出した。
「は~~~い!」
パシッ!!
手に棒が当たる感覚がした。すぐに掴むと、俺は前を走り続けた。
「オッケー!!れいちゃん!戻ってきてー」
その声で俺は走るのをやめた。
「はぁはぁはぁ……しんど…」
「おつかー、何とかなりそうかなー?」
「少しフォームが崩れたような気がするから、ちょっとだけ確認したいかな…」
「りょーかい!ってれいちゃんがやる気出してるー!!」
「出してちゃ悪いか?」
「いーや!嬉しいだけだよーん」
「あっそ……はぁはぁ…しんどいわ」
「あははは!!」
他の生徒も練習に励んでいた。ふと、そこで俺はある人たちを見つけた。
「なぁ、龍牙」
「何だ?」
「あれ何だと思う?」
「ん?」
俺が指を指したその方向にいたのは……
「コネット!!また、貴様は!!」
女子生徒に対して男子生徒が怒鳴っている様子だった。
「ありゃりゃ、揉め事っぽいね」
「あの子、見たことあるな」
「え!どっち?」
「女子の方…コネットって言ってたな……まさか」
よーく見ると、男子生徒に取り巻きみたいな奴らがいた。その光景を前にも見たのだ。
「思い出したよ…」
「え?誰?」
「女子がアルテミス・コネットさん、男子がオーギュスト・アマーティ、婚約者同士だ」
「へぇー」
「へぇーってお前…前に話したろ?俺様系男子が女子をいじめていたって…」
「……あーそういえばそんなことがあったな…」
「本当に覚えているのかよ……」
「まあまあ、ん?アマーティ?」
「何だ?思い出したのか?」
「いや、どっかで聞いたことあるような……」
「???とにかく止めねぇと!!」
「あ!れいちゃん!」
俺は走って2人を止めに向かった。
「全く貴様は!!使い物にならないな!」
「……申し訳……ございません………」
「本当に貴様は……生きてる価値があるのか?」
「人の生きる価値なんてお前が決めることじゃない!」
「あ?ってまたお前かよ!!」
アマーティは俺を睨んできた。コネットさんは俺を見て驚いていた。
「人の価値なんてお前が分かるわけがない!自分の価値は自分で決めるんだよ!他人が決めんじゃねぇ」
「ふん!俺様とこいつは他人ではない!婚約者だ!!」
「いや、他人だろ!婚約者であるってだけで、結婚したわけじゃねぇーんだから、まだ、家族じゃねーだろ」
「……っ貴様!!」
アマーティが俺に近づき、睨んできた。
「ちょいちょいお二人さん、こんなところで言い合いしても何にもならないだろー」
龍牙が後から来て俺たちを止めようとしてくれた。
「ふん!これだから平民は……」
「いや、今それ関係ないでしょ?喧嘩やめなって言ってんだよ」
すると…
「貴様らそこまで俺様達を邪魔するか……ふん!!まさかと思うが…コネットを気に入ったんじゃないだろうな?」
「はぁ?」
頭がおかしいみたいだ。どこをどう見たら彼女に気があるみたいに思えるのか……
「そこまで言うならば、勝負と行こうではないか!!俺様の方が素晴らしいとな」
「……龍牙、こいつ頭大丈夫か?」
「うーん、精神病院に行った方がいいかもねー」
突然勝負を仕掛けてきた。こいつの頭はとうとうおかしくなったらしい。
そう思っていたら…
「何してんの?」
「日向」
トボトボとこっちに歩いてくる日向。ふとアマーティの方を見ると…
「こいつ……」
「あははは!!そう言うことか……」
アマーティの目がギラギラしていた。まるで獲物を見つけたと言わんばかりの目だった。
(こいつ、日向を狙ってるのか…だから、俺らに勝負を仕掛けてきたのか、ずっと邪魔するから、叩き潰せるのと、日向にいいところを見せれると思ったからってところか……下心丸出しだな)
はぁ…とため息を吐いた。
そして、
「その勝負、受けるよ」
「!!れいちゃん」
「ふん!恥をかかせてやるよ!」
アマーティはそれだけ言うと去っていった。
「いーのかなー?れいちゃん、勝負受けちゃって……」
「ま、いーわけないが、コネットさんも日向も傷つくようなことになったらやばいだろ?まあ、しゃあないしゃあない」
「しゃあないでまとめやがった…」
「何があったか知らないけれど…あんまり騒ぎにしないでよ?2人とも」
「「はい…」」
日向に注意された。
「コネットさんだよね?大丈夫?」
「あ、は、はい…すみません…また、助けていただいて…」
「ううん!大丈夫!何かされたらまた、言ってね?」
「はい…」
「よし!それじゃあ、れい兄!龍牙さん!練習!練習!勝負するんでしょ?」
「へい」
「ういー」
そして……
パンッ!!パンッ!!
「只今より、草薙学園大運動会を開催いたします!!」
「わぁぁぁぁあああああああ!!!」
「始まったな!」
「ああ」
「アマーティと対決するって話だったよな?何で勝負するんだ?」
「この大会のリレーで勝負するらしい」
「え?リレーってどうやって?」
「俺もアマーティもアンカーらしい、それと、組も同じだから、直接対決になるかな…」
「あーなるほど……でも、その前に差を付けていれば、有利なんじゃね?」
「まあ、そうなんだが……それは、仲間次第だな」
「なるほどねー……ってことは俺も頑張らないと、いけないパターンだね?」
「そうだな、悪いが頼む」
「はいよー」
その時、アナウンスが聞こえてきた。
「綱引きに出場する方はすぐに集合場所へ集まってください、繰り返します…」
「お!お呼び出しだ!れいちゃん!頑張ってなー」
「はぁ……やりますかー」
背伸びしながら集合場所へ向かった。
「あれ?魁斗じゃん」
「ん?零」
綱引きの集合場所に魁斗がいた。魁斗とはクラスが違うため敵同士になるのだが……
「自信のほどは?」
「まあ、ぼちぼちかな、やるだけやるよ」
「あーね」
「ま、零には負けないがな」
魁斗が俺に闘争心を燃やしてきた。
「はははは!!なら、相手してやるよ!」
俺たちはお互いに睨み合った。勝つために
綱引きの初戦は1-8だった。強そうな男子が数人見えるが、俺たちも頑張ることにした。
「では、お互い正々堂々と……始め!!」
ピーッ!!
グイッと綱を引き合った。引っ張られる感覚が強かったが、力を入れてしっかり引っ張った。
結果は……初戦勝ちだった。
「よし!」
俺は1人でガッツポーズしていた。
「お疲れさん!れいちゃん」
「ああ…疲れた」
ドサッと椅子に座った。綱引きの最終結果は、3位だった。
「惜しかったなー最後」
「はぁ…何戦も勝負したら疲れるよ……でもまあ、3位だし満足よ」
「そっか……」
「2人ともー」
「「ん?」」
声がしたので、その方向を見ると、魁斗と蓮斗がこっちに来た。
「お疲れさーん」
「ういー」
「良かったぞ、綱引き」
「そりゃどうも…そっちは1位取ってたけれどな!!」
「ふっ……当然!」
ちょっと嬉しそうに言ってきた。なんかむかついたので魁斗の頭をスパンッ!!って叩いておいた。
「いってーよ!」
「あははは!!」
「れいちゃんが悪魔になりやがった…」
「いや、いつも通りでしょ?あれは」
蓮斗と龍牙が悪魔だと言ってきたので、こっちも叩いておいた。
綱引きの次は借り物競走だった。走者が次々と色んなものを借りていった。中には、女子を借りる人がいれば、先生を数人連れて行く人もいた。
「すっごく面白かったんだが?こけてるやついたし!」
「あれは、痛そうだった。」
「だねー」
「お!あと、2個の競技が終わったら、騎馬戦だぞー!!」
「「「げっ……」」」
俺と魁斗と蓮斗は嫌そうな顔をした。当然だ、あんな危ない競技に強制的に入れられてしまったからだ。
「ま、頑張ろうぜー!」
「「「嫌だーーー!!」」」
「マジで何でこの騎馬戦があるわけ?」
「さあな?」
「はぁ……早く終わらそ」
「まあまあ、れいちゃん!何事も楽しむことが1番よ?」
「楽しめるかー!!!!」
俺と龍牙がごちゃごちゃ言いながら騎馬戦に出た。
「おら!!」
「はい!取ったー!」
「クソッ!!」
男子達が大暴れしていた。女子もタオルを取り合っていて、ぐっちゃぐちゃになっていた。
「ほい!」
「よっと!」
俺と龍牙は次々とタオルを奪っていった。
「ごっちゃごちゃになってるけれど、いけるか?これ」
「さあな…ただ俺たちは有利だろ?だって…」
「あはは!そうだった!」
後ろから敵チームが襲ってきたが、俺たちは普通にかわすとすかさず相手のタオルを奪った。
「気配が読めるもんねー」
「分かりやすいからな」
ひょいひょいと避けながら、タオルを奪っていった。
そして、結果はもちろん…
「はい!勝ちーよえーよー」
「普通に勝てたな」
俺たちの両手に大量のタオルがあった。
「はぁ…疲れた……」
「2人ともお疲れ様ー」
日向が俺たちのところに来た。
「この体育大会しんどいんだが?」
「あはは!まあ、クラムと戦うよりはいいでしょ!」
「それはそうだけれど……」
自分たちの席に戻った俺たちは、次に出場する種目まで待機することにした。
「そういえば、勝負するんだって?あの、男子生徒と」
「ん?ああ、なんかそう言う流れになった。」
「あの人って確か……」
「ああ、俺様系男子な?」
「いや、アマーティさんって言えよ、何だ俺様系男子って」
龍牙にツッコまれてしまった。
「大丈夫なの?」
「まあ、何とかなるでしょ……」
「適当だなー本当に……」
日向は呆れた表情で俺を見てきた。
「お!障害物競走の集合かかってるぞーいってこーい」
「はぁ……」
トボトボと歩いて集合場所に向かった。
「あははははは!!!」
「おい……何笑ってんだよ龍牙」
龍牙が大爆笑していた。まあ、無理もない。
俺の姿がおかしなことになっているからだ。全身真っ白の粉で覆われていて、顔にはべっとりと泥がついていた。
障害物競走で砂の中にある飴玉を取るところがあったが、そこで飴を見つけるのに手間取って、顔が泥だらけになってしまったのだ。そして、やっと飴を見つけたと思ったら、今度は、泥のせいで目が開けられなくて、そのまま走った結果、地面にある白い粉の上を走るところでこけてしまい、全身真っ白状態になった。
この状態を見て、龍牙が大爆笑しているということである。
「いやーあれは笑ったわ、笑い死ぬわ」
「そこまでかよ…」
俺は頑張ったのに笑われたため不機嫌になった。
「まあまあ、怒るなって~」
「……後で覚えとけよ?」
「ヒェーーー……」
龍牙が震え上がっていた。
体を吐き終わり戻った俺は、ようやくリレーの時間になった。
「はぁ…今度はリレーか」
「これが最後だねーん」
「出し切りますかー」
「あははは!!やるからには本気だよなー!!」
「だな」
準備体操をしながら集合場所へ向かった。
それぞれの走者位置に移動して、そろそろスタートされる時だった。
あの俺様が俺に話しかけてきたのは…
「ふん!逃げずにくるとは…愚か者だな」
「……何で愚か者になるんだよ」
「俺様が絶対勝つからだ!お前に勝ち目などない!それなのにわざわざ来たからな…だから、愚か者なのだ!」
「いや、何で勝ったって勝手に決めつけてんのかな?分かんないじゃん!俺が勝つかもよ?」
「ふん!ありえんわ」
一切負ける気がしないみたいな顔をしていて、めっちゃむかついた。
だから…
(絶対、勝ってやる!!)
俺は走ることに集中した。
※あとがき
体育祭が開催!!綱引きとか騎馬戦とか…盛り上がってたなーあの頃……
さて、いよいよリレー開始!!
次回、リレー大勝負
お楽しみにー
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ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
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クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
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「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
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