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『ユーザー様、委員長より連絡が来ています』
「委員長から?えーっと、なになに?」
端末を開いてみれば転入生が戯藍達のクラスに入ることを告げる内容だった。相変わらず秘密を抱えてられないタイプめ。そう簡単にバラしちゃうんじゃない。
「シュレディンガー」
『イエス、ユーザー様。氏名東雲来季(しののめ らいき)。高等部二年、成績としては中の上。得意科目は理数、国語…特に言語に対して苦手意識を持つようです。魔法属性としては風。物を浮かせるというより攻撃性の持つカマイタチのような小さな風の刃を無数に発生させる能力が固有魔法です』
「ふぅん、良くも悪くも平凡さんなのか。あとどうでもいいけど得意科目逆だな」
そんなことを呟きながら自室のベッドに寝転がる。シュレディンガーは優秀なのできちんと委員長への返答が終わるまで待っててくれた。
『肯定。竜巻を起こすでもなく、愛らしい風の刃という時点で危険度自体は低めに設定しても問題ないでしょう。成績から鑑みても同じことが言えます。家庭環境が少々複雑であること以外は問題ありません』
「家庭環境?」
『回答。製薬業で財産を築いている東雲家ですが本家の使用人であった東雲来季の母親とスキャンダルを起こしたようです。所謂、浮気の末にできた子供というやつですね。今回の転入も彼の母親が亡くなったからという理由のようです。引き取り先である父親の家の関係での編入、という形ですね』
「絵に描いたような不幸だなぁ。話の流れが完全に小説の主人公じゃないか。此処が共学だったら恋の始まりだぜ」
『回答。男子校である此処の学園でも同じことが言えます』
「ノーコメントで。つーか母親が亡くなったから引き取るっていっても継承権が無いんだろ?無駄なことだと切り捨てそうなもんだけど。引き取るにしても分家が~…とかさ」
『回答。東雲来季の母親をそれほど愛していたのでしょう。元より引き取るつもりではあったようです。継承権自体は低いですが存在するのでそういったことで分家を説得した模様です。表立って当主である東雲来季の父親と対立しようとはしていません。母親の方が妬む本家からの圧力に耐えかねて逃げ出したとみるのが妥当かと』
「…愛されてるなぁ、全体的に。甘っちょろいがしっかりしたタイプか」
『回答。かなりのお人好しであるようです。頼まれると基本的に断ることのできない人種かと』
思わず笑ってしまった。それぐらいに〝愛を配れる〟ほどには幸せだったのだろう。戯藍には想像出来ないことだ。本物の愛だの、運命の恋だのくだらない事この上ない。博愛主義などクソ食らえである。
「そのお人好しちゃんは面倒を起こすかなー?例えば親衛隊制度に物申す、とか」
『ノー。頼まれれば別ですが、争いを好む性格ではありません。日本人特有の大勢に従う精神で何事もなく進むかと』
「ならいいか。他の学年も気になるところだけど」
『回答。氏名雨野雅(あめの みやび)、杉浦リズム(すぎうら りずむ)共に高等部一年。三年の方は清水流(しみず ながれ)の以上です。おっと一人キラキラネームが来ましたね』
「不良なんだろ?突っ込んだら怖そうだよな」
『肯定。高確率で地雷でしょう。一年生ですのでほとんど関わり合いはないと思いますがユーザー様もご注意を』
「りょーかい。全く俺は至極平和に、誰とも関わることなく卒業したいだけなんだがなぁ?」
『回答。当システムを組んだエンジニアは関わることを望んでいますよ、という要望は一応伝えておきます』
「どうせ嫌がらせだろ。俺がやらないって知ってて言うんだ、アイツは」
知っている誰もがアイツはクズだと口を揃えて言うような奴だ。その程度は当たり前だろう。ふんと鼻を鳴らして戯藍は冷たく吐き捨てた。
「不変の愛なんて存在しないし、運命の恋だなんてのはただの勘違いなんだよ。そんなものに振り回されるなんて馬鹿馬鹿しいったらありゃしない」
「委員長から?えーっと、なになに?」
端末を開いてみれば転入生が戯藍達のクラスに入ることを告げる内容だった。相変わらず秘密を抱えてられないタイプめ。そう簡単にバラしちゃうんじゃない。
「シュレディンガー」
『イエス、ユーザー様。氏名東雲来季(しののめ らいき)。高等部二年、成績としては中の上。得意科目は理数、国語…特に言語に対して苦手意識を持つようです。魔法属性としては風。物を浮かせるというより攻撃性の持つカマイタチのような小さな風の刃を無数に発生させる能力が固有魔法です』
「ふぅん、良くも悪くも平凡さんなのか。あとどうでもいいけど得意科目逆だな」
そんなことを呟きながら自室のベッドに寝転がる。シュレディンガーは優秀なのできちんと委員長への返答が終わるまで待っててくれた。
『肯定。竜巻を起こすでもなく、愛らしい風の刃という時点で危険度自体は低めに設定しても問題ないでしょう。成績から鑑みても同じことが言えます。家庭環境が少々複雑であること以外は問題ありません』
「家庭環境?」
『回答。製薬業で財産を築いている東雲家ですが本家の使用人であった東雲来季の母親とスキャンダルを起こしたようです。所謂、浮気の末にできた子供というやつですね。今回の転入も彼の母親が亡くなったからという理由のようです。引き取り先である父親の家の関係での編入、という形ですね』
「絵に描いたような不幸だなぁ。話の流れが完全に小説の主人公じゃないか。此処が共学だったら恋の始まりだぜ」
『回答。男子校である此処の学園でも同じことが言えます』
「ノーコメントで。つーか母親が亡くなったから引き取るっていっても継承権が無いんだろ?無駄なことだと切り捨てそうなもんだけど。引き取るにしても分家が~…とかさ」
『回答。東雲来季の母親をそれほど愛していたのでしょう。元より引き取るつもりではあったようです。継承権自体は低いですが存在するのでそういったことで分家を説得した模様です。表立って当主である東雲来季の父親と対立しようとはしていません。母親の方が妬む本家からの圧力に耐えかねて逃げ出したとみるのが妥当かと』
「…愛されてるなぁ、全体的に。甘っちょろいがしっかりしたタイプか」
『回答。かなりのお人好しであるようです。頼まれると基本的に断ることのできない人種かと』
思わず笑ってしまった。それぐらいに〝愛を配れる〟ほどには幸せだったのだろう。戯藍には想像出来ないことだ。本物の愛だの、運命の恋だのくだらない事この上ない。博愛主義などクソ食らえである。
「そのお人好しちゃんは面倒を起こすかなー?例えば親衛隊制度に物申す、とか」
『ノー。頼まれれば別ですが、争いを好む性格ではありません。日本人特有の大勢に従う精神で何事もなく進むかと』
「ならいいか。他の学年も気になるところだけど」
『回答。氏名雨野雅(あめの みやび)、杉浦リズム(すぎうら りずむ)共に高等部一年。三年の方は清水流(しみず ながれ)の以上です。おっと一人キラキラネームが来ましたね』
「不良なんだろ?突っ込んだら怖そうだよな」
『肯定。高確率で地雷でしょう。一年生ですのでほとんど関わり合いはないと思いますがユーザー様もご注意を』
「りょーかい。全く俺は至極平和に、誰とも関わることなく卒業したいだけなんだがなぁ?」
『回答。当システムを組んだエンジニアは関わることを望んでいますよ、という要望は一応伝えておきます』
「どうせ嫌がらせだろ。俺がやらないって知ってて言うんだ、アイツは」
知っている誰もがアイツはクズだと口を揃えて言うような奴だ。その程度は当たり前だろう。ふんと鼻を鳴らして戯藍は冷たく吐き捨てた。
「不変の愛なんて存在しないし、運命の恋だなんてのはただの勘違いなんだよ。そんなものに振り回されるなんて馬鹿馬鹿しいったらありゃしない」
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