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Side:雨野
生徒会及びに風紀委員のメンバー達は期末試験の日時を繰り上げて受けている。そのお陰で試験に気を取られることなく他の生徒たちの為に時間を使えるという訳だ。ただし戯藍は試験が終わるまで解放されないので、徹夜する羽目になっている。生徒会メンバーであっても彼の試験内容的に開放されることはない。試験内容は秘匿されているので生徒会といえども知ることはできないのである。
「遅いな、戯藍」
すっかり生徒会に馴染んだ(本人的には大変不本意)彼を見送ってから数十分。いくら何でも遅すぎやしないかと心配になった生徒会補佐、雨野は他のメンバーにメールを送ることに。戯藍には既に連絡済みだが返事が返ってこない。
(みんないないし…。どこかの廊下で倒れてました、とかじゃないといいんだけど)
今は試験対策期間。自室にこもって試験対策にあてる期間だ。通常授業は終了しているのでまず他の生徒が校内を歩いていることはない。どこかで倒れてるか、何かしらのトラブルに巻き込まれているかの二択になるだろう。
(やっぱり会議室に行ってない。亮喜に頼んでカメラ確認してもらうか)
〝伽藍〟に出会って雨野は自分の立場を自覚した。自分は巨大なチームのトップに立つ幹部の一人だ。慕ってくれる仲間だってたくさんいる。そうやって自分の居場所を作って、作られて、を繰り返しての今があった。でも彼に出会うまでは自分しかいない世界で生きていた。みんなの為を歌いながらも、誰のことも見えていなかった。
(あの人はそれを教えてくれた。手遅れにならない程度に、でもオレにちゃんと刺さるように)
あのままだったら絶対に取り返しのつかないことになっていた。後悔して、後悔して、でもどうしてなのかわからなくて、変わらないままだっただろう。
それを変えてくれた〝伽藍〟には感謝しかない。だからこそ皆でさがして、自分のチームに入れたい。ライバルである〝ウロボロス〟もさがしているのは誤算だったが人数は多い方が良い。
「オレも行った方が良いかな…。でも入れ違いになると困るし」
元々、会議の為に生徒会補佐以外が出払っていたからこそ戯藍が出ていったのだ。ここで雨野まで出ていったら生徒会室に誰もいなくなってしまう。それはよろしくない。帰って来た時の為にも自分はこの生徒会室に待機しておくべきだ。例え飛び出したくなったとしても、自分の役目はそれではない。そう思えるようになった。じりじりしながら待っていると携帯が鳴る。慌ててとると副会長の天羽からだった。
『もしもし、雅、聞こえてる?!』
「うん、大丈夫。聞こえてるよ。どうしたの?」
『戯藍が生徒会の親衛隊の制裁にあってたんだ。今、ちょうど風紀委員に連絡があって…』
驚いた。制裁自体は言い方が悪いが珍しくない。生徒会になるといい意味でも悪い意味でも注目の的だ。かくゆう雨野も生徒会入りした際には会長、副会長などの親衛隊から嫌味を言われたこともある。持ち前の美貌と自身の親衛隊のお陰で救われたが。
だが戯藍にはそれがない。本来、生徒会入りをする奴は大概が親衛隊持ちだ。厄介の種になることもある親衛隊だが自分という個人を慕って、守ろうとしてくれる大事な者達。
「戯藍は無事なのか!?」
『一応。でも怪我をしたって』
「え!?」
『とりあえず夕月と奏多送るから待っててくれ』
「了解」
仕事は片づけてしまっているので没頭できるものがない。戯藍が心配で雨野は椅子の上で膝を抱える。仲間が迎えに来てくれるのを待っていた。
生徒会及びに風紀委員のメンバー達は期末試験の日時を繰り上げて受けている。そのお陰で試験に気を取られることなく他の生徒たちの為に時間を使えるという訳だ。ただし戯藍は試験が終わるまで解放されないので、徹夜する羽目になっている。生徒会メンバーであっても彼の試験内容的に開放されることはない。試験内容は秘匿されているので生徒会といえども知ることはできないのである。
「遅いな、戯藍」
すっかり生徒会に馴染んだ(本人的には大変不本意)彼を見送ってから数十分。いくら何でも遅すぎやしないかと心配になった生徒会補佐、雨野は他のメンバーにメールを送ることに。戯藍には既に連絡済みだが返事が返ってこない。
(みんないないし…。どこかの廊下で倒れてました、とかじゃないといいんだけど)
今は試験対策期間。自室にこもって試験対策にあてる期間だ。通常授業は終了しているのでまず他の生徒が校内を歩いていることはない。どこかで倒れてるか、何かしらのトラブルに巻き込まれているかの二択になるだろう。
(やっぱり会議室に行ってない。亮喜に頼んでカメラ確認してもらうか)
〝伽藍〟に出会って雨野は自分の立場を自覚した。自分は巨大なチームのトップに立つ幹部の一人だ。慕ってくれる仲間だってたくさんいる。そうやって自分の居場所を作って、作られて、を繰り返しての今があった。でも彼に出会うまでは自分しかいない世界で生きていた。みんなの為を歌いながらも、誰のことも見えていなかった。
(あの人はそれを教えてくれた。手遅れにならない程度に、でもオレにちゃんと刺さるように)
あのままだったら絶対に取り返しのつかないことになっていた。後悔して、後悔して、でもどうしてなのかわからなくて、変わらないままだっただろう。
それを変えてくれた〝伽藍〟には感謝しかない。だからこそ皆でさがして、自分のチームに入れたい。ライバルである〝ウロボロス〟もさがしているのは誤算だったが人数は多い方が良い。
「オレも行った方が良いかな…。でも入れ違いになると困るし」
元々、会議の為に生徒会補佐以外が出払っていたからこそ戯藍が出ていったのだ。ここで雨野まで出ていったら生徒会室に誰もいなくなってしまう。それはよろしくない。帰って来た時の為にも自分はこの生徒会室に待機しておくべきだ。例え飛び出したくなったとしても、自分の役目はそれではない。そう思えるようになった。じりじりしながら待っていると携帯が鳴る。慌ててとると副会長の天羽からだった。
『もしもし、雅、聞こえてる?!』
「うん、大丈夫。聞こえてるよ。どうしたの?」
『戯藍が生徒会の親衛隊の制裁にあってたんだ。今、ちょうど風紀委員に連絡があって…』
驚いた。制裁自体は言い方が悪いが珍しくない。生徒会になるといい意味でも悪い意味でも注目の的だ。かくゆう雨野も生徒会入りした際には会長、副会長などの親衛隊から嫌味を言われたこともある。持ち前の美貌と自身の親衛隊のお陰で救われたが。
だが戯藍にはそれがない。本来、生徒会入りをする奴は大概が親衛隊持ちだ。厄介の種になることもある親衛隊だが自分という個人を慕って、守ろうとしてくれる大事な者達。
「戯藍は無事なのか!?」
『一応。でも怪我をしたって』
「え!?」
『とりあえず夕月と奏多送るから待っててくれ』
「了解」
仕事は片づけてしまっているので没頭できるものがない。戯藍が心配で雨野は椅子の上で膝を抱える。仲間が迎えに来てくれるのを待っていた。
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