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「ふわぁーーーー」


よく寝た、よく寝た。


あまりにもつまらない数学の時間。

寝てしまうのも無理はないだろう。


いつも通り黒板に書かれた答えを

写そうとしたとき、違和感に気づいた。



ここは教室じゃない?


あわてて周りを見ると、

間違いなく教室ではないと確信できた。


なにせ、あたり一面が石でできてる。

お城なのだ。

だが、俺は一人ではなく

クラスメイト達もここにいる。


そして、彼らも眠っていたが

ゆっくりと起き始める。

その後は俺と同様に周りを見て

パニックになる。


だが、しばらくザワザワしたものの


カツンッ


という足音が響いた瞬間

一気に静かになった。




「皆さん、おはようございます」




それは鈴の鳴るようなきれいな声。

全員が一斉に声の主を見ると、

そこには上品なたたずまいの

お姉さんがいた。



ヤバっ、作りものかよ。



半ば人間離れした金髪美人の

登場に俺達は沈黙してしまう。

男も女も関係なく見とれてしまったのだ。



「突然の事態にさぞ混乱されていると

思います。ですが、質問は一旦なしで

状況を説明させていただきますね」



問答無用。

だが、その美しい声には

聞き惚れるしかないのだった。





説明によると、

俺達は異世界に召喚された。

そして、世界を渡った者には

強力な力が与えられるので

その力を使い魔王を倒してほしい

ということだった。

クラスメイトの大半がほうけていて

他はステータスオープンと

唱えている。

さっきの説明で

自分の能力は自分で見れると

言われたからだろう。




かくいう俺も


「ステータスオープン」


と、言ってみた。

すると


ヴォン


という音と共にステータス画面が

でてきた。


おぉ!

すごいな。


ワクワクしながのぞきこむと

そこには


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前】   上尾 浩二

【種族】   異世界人

【職業】   学生

【レベル】  1



【攻撃力】  27

【防御力】  18

【早さ】   13

【魔力】   42



【スキル】

「コンパス」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


と、表示されていた。



うーん。


これは高いのか?

あっ、合計能力値が100になっている。

あれか。

固定なのかもしれないな。

どう割り振られるのかはランダムで

それで個性が出る…………みたいな?


あと、コンパス。

俺の知ってるコンパスなら

戦闘能力は針のとがったところ

くらいしかないな。

もし、コンパスを召喚する

みたいな能力ならマジで萎える。

本気で萎える。

異世界に来てチートがないとか

ありえん。

まぁ、そんなザコではないと思うが。

だって強力な力があるはずだからな。

そう思っていた俺は

美人さんが発した言葉に

やられた。


「成人男性の合計能力値は

平均100です。

皆さんなら、その10倍はあるかも

しれませんね」


…………マジで?
    
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