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しおりを挟むその後は
ゴリさんが号泣してしまい
大変だった。
ゴブリンが泣くと
人間と違い威圧感が
あるのだ。
それに加え、感極まったのか
「すまねぇ。すまねぇ」
と言いながら
ずっと私を抱きしめてきた。
悪い気はしなかったので
そのまま熱が冷めるまで
待っていたが、なんと
二時間くらいたってしまった。
その間に私の体も
熱くなってしまい
ちょっと辛かった。
冷静になったゴリさんが
離してくれなかったら
熱中症になっていたかも
しれない。
そして、最初にゴリさんが
言っていた
「ここをでるか?」
という話に戻る。
「俺はここの看守だ。
だから、足枷を外す鍵が
ある。手枷の方は魔王様が
持っているから
どうしようもないがな」
そうだ。
私がトイレに
行くときになどに
足枷があったらダメなので
ゴリさんがはずしてくれていた。
「それに、ここの地図も
ある。見回りが通らない
時間とルートも調べた」
ほぉ。
そこまでしてくれたのか。
「魔王城から出た後に
行ける町のピックアップも
しておいた」
……そんなに?
本気すぎない?
「だから、脱出したいなら
全面的に支援できる。
お姫様はどうしたい?」
うーん。
本当に難しい。
外に行けば元の世界に
帰る方法が見つかるかも
しれない。
それに、色んな世界を
見てみたいしここにいたら
魔王に殺されそう。
だけど、逃げたら
ゴリさんの責任になるだろう。
ここの看守として
罰を受けることになる。
それに、ゴリさんと
会えなくなるのも寂しい。
…………どうしよう。
ウンウンうなって
考えていると
ゴリさんが言った。
「お姫様。
やりたいことをやってくれ。
俺に気を遣うな」
おぅ…………
「逃げたいなら逃げろ。
その方が俺は嬉しい」
けど…………
「俺はお姫様に
感謝されたが俺の感謝を
示せてねぇ。だから、
本気でお前の役にたちたい。
お姫様はどうしたい?」
私は…………
私は…………
「ここから逃げたい」
「おう! わかった!」
彼はとっても嬉しそうに
笑った。
それを見て私も嬉しくなる。
「決行は三時間後だ。
これが予定表だから
しっかり読んどいてくれよ!」
そこにはビッチリと
文字と絵がかいてあって
ゴリさんへの感謝が
溢れてくる。
三時間たつまで
私はその紙をじっと
読み続けるのだった。
応援ありがとうございます!
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