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だすもんだせや
しおりを挟む「おい、おっさん」
こっ、怖い。
「俺に肩ぶつけといてそのまま
帰れると思ってんのかよ」
「きっ恐縮です」
「あぁ?
何言ってんだよ気持ち悪い」
怖くて頭が回りません
怖いです……
誰か、誰か助けてください。
「おっさん!
何やってんだよ!」
私は反射的に土下座をして
いました。
路地裏の地面はグチョグチョで
ちょっと不快です。
でも、こんなことしても
彼の怒りは収まらないでしょう。
耳にピアスをしていて、
髪は金色で、細マッチョ
完全にヤがつく人です。
今日が命日になってしまいます。
「どっ土下座……です」
声が震えています。
大事な商談があるからと気合い
を入れて着たスーツが汚れまし
たが気にする余裕はありません。
「とりあえず立てよ そんなこ
としてほしい訳じゃねぇ」
そう言われても、足がしびれて
たてません。
「足がしびれてたてません……」
「はぁ? 何してんだよ
おっさん……」
彼は少し呆れたように言いま
した。
もしかしたら、哀れに思って
見逃してもらえるかもしれ
ませんね。
「まぁ、そんなことは関係ねえ」
ダメでした。
やはり、今日が命日になって
しまいます。
どうせ死ぬなら痛くなく死に
たいですが……
でも、死にたくないです。
「おっさん」
「ひっ、ひぃ!」
「だすもんだせや」
あぁ、命のことをさして
いるのでしょう
いや、小指の可能性もあり
ますね。
どこかでヤのつく人は小指
を集めていると聞いた覚え
があります。
「何考えこんでんだよ
だすもんだせって言って
んだろ!!」
彼がもっと怒ってしまいま
した。
しかし、これを聞かないと
いけません。
「しっ、失礼ながら
だすもんとは何でしょう」
言いました。
言ってやりました!
これを聞いてさらに機嫌を
悪くして痛く殺されるかも
しれませんが
言ってやりましたよ。
「チッ そんなの金に決ま
ってんだろうが」
エエエエエエエエエエエ!
声には出しませんが
とても驚きました。
ヤのつく人は「お金なんて
いらねぇ」とか言う人達かと
思っていました。
「ちょっ、ちょっと待って
ください」
私はカバンからもう一つの
カバンを取り出します。
「どっ、どうぞお納めください」
お金で命を買うと考えれば
安いものです。
「おっ、おっさん」
何でしょうか?
はっ、もしかして……
「たっ足りないなら銀行
で卸してくるので
命だけはどうか……」
「いっいや、そうじゃねぇ」
「でっでは何でしょう……」
やはり、気分が変わった
とか言われ殺されるので
しょうか。
死にたくありません……
「このカバン、開けても
いいか?」
あぁ、中身の確認ですか。
「どうぞ、どうぞ」
そして彼はゆっくり
カバンを開け、
固まった
「もっ、もう帰っても
よろしいですか?」
この空気から早く逃
げたいと思い
声をかけると彼は
ビクンと肩を震わせた。
ダッダメでしたか。
こままでは殺されてしまいます。
「すっすみま」
「おっ、おい」
彼の声が心なしか怯え
ています。
「今回は許してやるが
もう、次はねぇぞ」
そういうと彼はカバンを
持たずにそそくさと
立ち去っていきました。
ホエッ?
まさかの展開に少々驚き
ました。
でも……分かりましたよ!
彼はきっと教えてくれ
たのです!
「だすもん」
というのは
「お金」
だということを!
いやー、優しい人で
良かったですねー。
私は軽く鼻歌を歌いながら
商談へ向かうのだった。
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