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オストラバ王国
第38話:逃亡者
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「一体……どういう事なのじゃ……」
インザームは項垂れるように膝を付いた。ヴェルネルが生きていた事に驚いたが
それ以上に魔物を放ち死者を出す行為をするなんて過去のヴェルネルでは考えられない。
「……彼が伝説のヴェルネルというのは間違いなさそうですが……一体何を考えているのか」
アズライトも自身の攻撃とルチルの防御を破った事、更にインザームの反応を見てヴェルネルだと確信したが、同時に失望した。
幼少期から憧れていたヴェルネルが想像と違うかったからだ。
「アズアズ、さっきの女の人ってルチルと同じ……だよね?」
ルチルはシンドラが自身と類似している風貌と更に同じ転移窓の能力を持っている事に困惑していた。
アズライトに保護されてから、一度も同胞を見た事がない。
「ああ、きっとエルフだ。……! あなたとルチルがここにいてはまずい。 直ぐにここから離れなければ!」
アズライトは自分達が置かれている危険な状況に気づいた。城の内部に潜入し、インザームとルチルと共に兵士の制止を振り払いここへきた。
更に恐らく隠されていたであろう”何か”が奪われてしまった。
ヴェルネルとシンドラは今この場にいないという事は自分達が疑われる危険性があるからだ。
しかし、最悪のタイミングで近くの階段から足音が聞こえた。甲冑の金属音が擦れる音と共に
オストラバ王国の手練れの兵士と、そして
アズライトの父である、アゲート・シュタインの姿が見えた。
「お前……ここでなにをしている! それに……貴様! こいつをひっとらえろ! この娘もだ!」
アゲートはアズライトに気づいたかとおもえば、すぐにインザームとルチルの存在を確認して声をあげて
兵士に命令した。
「父上! 私達は何もしていません! 魔物をこの国へおびき寄せた者が今まさにここにいたのです!」
「アズアズの言う通りだよ! ルチル達は何もしてない」
アズライトとルチルは強く否定し、インザームは大人しく武器を置いた。ここで暴れてはアズライトの立場がより危うくなるとわかっていたからだ。
「お前は……こいつが誰だかわかってるのか!? インザーム、この騒ぎはお前の仕業か」
「……久しいのシュタイン。じゃが、ワシではない」
二人はまるで知り合いの様に話した。
「この状況で言い逃れできるとでも思ってるのか? ……この扉をどうやって開けた!」
「……」
インザームはヴェルネルを庇っていた。”こんな事”をしたとしてもまだ信じられなかった。
ここでアズライトが
「……ヴェルネルです。あの30年前に死んだとされるヴェルネルと黒い肌をしたエルフがこの扉をあけて小さな鉄箱を持ち去りました。あれは一体なんなんですか?」
「……ヴェルネルだと? ふざけ事を! 奴はとっくに死んでおる! この状況でよくそんな言い逃れができるな!」
アゲートはアズライトの言葉を無視して、兵士達にインザームをルチルを連れて行くように指示をした。
「父上! インザームは無実です。それにルチルはこの街を守っただけだ!」
「バカ息子が! 騎士の名を剥奪され上に断罪人としての簡単な仕事もできんのか!」
アゲートは激怒しながらアズライトに対して声を荒げた。
「……私は……同意は求めていません」
アズライトはヴェルネルに吹き飛ばされた剣を拾いあげるとアゲートと兵士に向かって構えた。兵士達はアズライトの強さを知っているので
声をあげてたじろいだ。
「お前……自分が何をしてるのかわかってるのか?」
アゲートは怒りと悲しみにも聞こえる様なた声を出した。
「アズライト。よせ。ワシは大人しく捕まる。じゃが、ルチルはこの街を守っただけじゃ」
「おじいちゃん。私はそんな弱虫じゃない。絶対にあなたの事は見捨てない」
ルチルも怒りに震えた様で兵士達も感じる程の魔力を高めた。このままインザームが捕まるのは死と同じという事をわかっている。
「父上、私は母上の理想とする分け隔てない世界を作ろうとしています。 それは今も変わっていません」
アゲートは声を出さずにアズライトの言葉を聞いていた。その横でルチルは無言で転移窓を開いた。初めて見た兵士もいたが、広場で転移窓を見た者もいた。
それと勘違いをして驚くと、恐怖が入り混じった声を出した。
「私はこの国を愛しています。……今でも……あなたの様な騎士になりたいと思っている。それを証明してきます」
「……バカ息子が」
アズライトはルチルとインザームを転移窓にくぐらせてから、静かに自身も転移窓を潜った。
その後、アズライトは伝説級の魔物こそ倒したもののインザームを守る為に兵士達に立ち向かった所を大勢に見られていた上に
地下室での出来事が王の耳に入り、アズライト、インザーム、ルチルはオストラバ王国から追われる立場となった。
インザームは項垂れるように膝を付いた。ヴェルネルが生きていた事に驚いたが
それ以上に魔物を放ち死者を出す行為をするなんて過去のヴェルネルでは考えられない。
「……彼が伝説のヴェルネルというのは間違いなさそうですが……一体何を考えているのか」
アズライトも自身の攻撃とルチルの防御を破った事、更にインザームの反応を見てヴェルネルだと確信したが、同時に失望した。
幼少期から憧れていたヴェルネルが想像と違うかったからだ。
「アズアズ、さっきの女の人ってルチルと同じ……だよね?」
ルチルはシンドラが自身と類似している風貌と更に同じ転移窓の能力を持っている事に困惑していた。
アズライトに保護されてから、一度も同胞を見た事がない。
「ああ、きっとエルフだ。……! あなたとルチルがここにいてはまずい。 直ぐにここから離れなければ!」
アズライトは自分達が置かれている危険な状況に気づいた。城の内部に潜入し、インザームとルチルと共に兵士の制止を振り払いここへきた。
更に恐らく隠されていたであろう”何か”が奪われてしまった。
ヴェルネルとシンドラは今この場にいないという事は自分達が疑われる危険性があるからだ。
しかし、最悪のタイミングで近くの階段から足音が聞こえた。甲冑の金属音が擦れる音と共に
オストラバ王国の手練れの兵士と、そして
アズライトの父である、アゲート・シュタインの姿が見えた。
「お前……ここでなにをしている! それに……貴様! こいつをひっとらえろ! この娘もだ!」
アゲートはアズライトに気づいたかとおもえば、すぐにインザームとルチルの存在を確認して声をあげて
兵士に命令した。
「父上! 私達は何もしていません! 魔物をこの国へおびき寄せた者が今まさにここにいたのです!」
「アズアズの言う通りだよ! ルチル達は何もしてない」
アズライトとルチルは強く否定し、インザームは大人しく武器を置いた。ここで暴れてはアズライトの立場がより危うくなるとわかっていたからだ。
「お前は……こいつが誰だかわかってるのか!? インザーム、この騒ぎはお前の仕業か」
「……久しいのシュタイン。じゃが、ワシではない」
二人はまるで知り合いの様に話した。
「この状況で言い逃れできるとでも思ってるのか? ……この扉をどうやって開けた!」
「……」
インザームはヴェルネルを庇っていた。”こんな事”をしたとしてもまだ信じられなかった。
ここでアズライトが
「……ヴェルネルです。あの30年前に死んだとされるヴェルネルと黒い肌をしたエルフがこの扉をあけて小さな鉄箱を持ち去りました。あれは一体なんなんですか?」
「……ヴェルネルだと? ふざけ事を! 奴はとっくに死んでおる! この状況でよくそんな言い逃れができるな!」
アゲートはアズライトの言葉を無視して、兵士達にインザームをルチルを連れて行くように指示をした。
「父上! インザームは無実です。それにルチルはこの街を守っただけだ!」
「バカ息子が! 騎士の名を剥奪され上に断罪人としての簡単な仕事もできんのか!」
アゲートは激怒しながらアズライトに対して声を荒げた。
「……私は……同意は求めていません」
アズライトはヴェルネルに吹き飛ばされた剣を拾いあげるとアゲートと兵士に向かって構えた。兵士達はアズライトの強さを知っているので
声をあげてたじろいだ。
「お前……自分が何をしてるのかわかってるのか?」
アゲートは怒りと悲しみにも聞こえる様なた声を出した。
「アズライト。よせ。ワシは大人しく捕まる。じゃが、ルチルはこの街を守っただけじゃ」
「おじいちゃん。私はそんな弱虫じゃない。絶対にあなたの事は見捨てない」
ルチルも怒りに震えた様で兵士達も感じる程の魔力を高めた。このままインザームが捕まるのは死と同じという事をわかっている。
「父上、私は母上の理想とする分け隔てない世界を作ろうとしています。 それは今も変わっていません」
アゲートは声を出さずにアズライトの言葉を聞いていた。その横でルチルは無言で転移窓を開いた。初めて見た兵士もいたが、広場で転移窓を見た者もいた。
それと勘違いをして驚くと、恐怖が入り混じった声を出した。
「私はこの国を愛しています。……今でも……あなたの様な騎士になりたいと思っている。それを証明してきます」
「……バカ息子が」
アズライトはルチルとインザームを転移窓にくぐらせてから、静かに自身も転移窓を潜った。
その後、アズライトは伝説級の魔物こそ倒したもののインザームを守る為に兵士達に立ち向かった所を大勢に見られていた上に
地下室での出来事が王の耳に入り、アズライト、インザーム、ルチルはオストラバ王国から追われる立場となった。
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