老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴

文字の大きさ
56 / 114
エルフの集落

第51話:理解

しおりを挟む
 東の森のエルフの集落は様々な想いで溢れていた。イフリートは巨大な姿に変化すると翼を広げて浮遊しながら炎の玉をエルフ達に投げつけていた。そして咆哮と共に魔物を召喚させた。
 エルフ達はかなり手こずっている様でまるでヴルダヴァを思い出す様であった。

「ヴェルネル! もうやめろ!」
「アイレ! 君ならいつかわかってくれるはずだ! 」

 一方でアイレとヴェルネルはは剣を交り合えながらお互いに理解を求めた。ヴェルネルはレムリを蘇らせ永遠の平和を
アイレはヴェルネルの間違った正義を止めようとした。

 アイレの右手と左手にはダンジョンの武器である雷と炎の短剣が出現していた。魔力の性質を変化させる事で
魔族に転生したヴェルネルでさえアイレのスピードに手こずっている。正しアイレには大きな代償があった。

「わからねえよ! お前の考えてる事なんざ!!」
「僕は覚悟を決めたよ。君の命を糧にしてレムリを蘇らせる!」

 ダンジョンの武器は諸刃の剣であり、自身の体の速度を上げれば上げる程、体への負担は大きい。短時間で勝負をつけられなければ
アイレが動けなくなるのは時間の問題であった。

 一方でセーヴェルとフェアは前回と違う展開なっていた。魔法具によってフェアの魔法は向上していた上に
エルフの集落では精霊が多く、普段より強い魔術を使用する事ができた。

 フェアは自身に魔法障壁を張りながら、体術と詠唱の短い魔法を器用に使いこなして確実にセーヴェルにダメージを与えていた。

「セーヴェル! 私は……あなたの事を昔から知っていた。いえ、知りすぎていたくらいよ。尊敬もしてたわ。だからこそ私はあなたを止める」

「はぁはぁ……。 確かにこの場所で私は不利。だけど私も負けられないのよ。叶えたい……いえ、叶えなきゃならない
30年前に私の手の中で死んだ妹を蘇らせる為に……今よりもっと平和で苦しみも争いもない世界で私は妹と共に幸せな時間を永遠に過ごす!!」

 セーヴェルは地面に爆破魔法を詠唱する事で姿を消した。ベレニの時にも同じ攻撃を受けていたフェアは

「――何度も同じ手は――食わないわ」

 セーヴェルの姿が消えた同時にあえて自身の左側に隙を見せた。それを知らずにセーヴェルはフェアの左わき腹に魔力をありったけ込めた蹴りを入れようとしたが
フェアは跳躍して避けた。

「――なっ!?」

 そのままフェアは隙だらけのセーヴェルの首を目がけて右手を振り下ろした。魔力操作により、まるで鋭い剣の手刀だ。

「――まずい!!」

 セーヴェルが死を感じた瞬間、隣からユークが巨大な鋏を突き刺すように空中のフェアに一撃を入れた。だが、フェアはギリギリで物理防御を展開して防いだ。
 しかし、ユークの攻撃を受けてしまった事で大きく吹き飛んだ。

「セッちゃんあぶねー!」
「……あんたに助けられるとは……」

 フェアは吹き飛びながらも器用に体を回転させると受け身を取ってすぐに立ち上がった。だが、ユークの左手にぶら下がっている”ナニカ”をみて固まった。

 ユークの左手には巨大な鋏の武器。そして右手にはワイズとミットの首を持っていた。遠くでロックは血を流して倒れており、死んでいるかどうかはわからない。

「ああゆう人間にはこうやって戦意喪失させるんだよッ!」

 そういいながら、ワイズとミットの首をフェアに投げつけた。

「い……いやぁあああああああああ……」

 30年以上前に同胞が惨殺された事や父や母が殺さた時の記憶が蘇りフェアはパニック状態になった。

「ほらねッ」

 ユークは幼い顔をしながら血がついた笑顔でセーヴェルに声をかけた。

「あんたはほんと……性格悪いわ……」

 それを見てセーヴェルが魔法を詠唱し始めた。続けて

「この世界では勝ったほうが正義なのよ」

 そう言いながら、黒い魔法をフェアに向けて放った。

「フェア!!!!」
「――余所見をするな!!!」

 アイレが隙を見せた瞬間にヴェルネルが横腹に蹴りをいれた。

 セーヴェルが放った魔法がフェアに直撃する瞬間。誰かが前に現れたその魔法を受けた。

「……フォンダトゥール!!!」

 フォンダトゥールはセーヴェルが放った魔法を全身で受けた事で血を流してレムリに倒れこんだ。

「セッちゃんあの人は残しておかないとダメだったんじゃ……」
「……あんたのせいよ!」

 それを見て、セーヴェルとユークはお互いに悪態をつき始めた。

「フォンダトゥール……私のせいで……」

 フェアはフォンダトゥールの体を抱えて涙を流した。ハーフエルフのフェアをずっと気にかけてくれた親の様な存在であった。

「……私はこうなる運命だったのよ……いいかいフェア……諦めないで……あなたの親は最後まで諦めなかったわよ……」

 フェアはそう言うと立ち上がり、セーヴェルとユークに視線を変えた。

「……許さない許さない許さない許さない」

 誰にも聞こえない声でそう呟き始めた、そしてフェアは我を忘れて魔法を詠唱し続けた。それは古代禁忌魔法で最も危険とされた呪文でこの集落全ての人間を討ち滅ぼす程の威力がある。
 一度詠唱が終われば、自身の命と引き換えに大爆発を起こす。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...