オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako

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130.リナの玉子雑炊

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「あなたが校長?失礼だけれども、あなたは貴族ではないのでしょう?」
アリシアは驚いて訪ねた。

「はい。私は平民です。『おにぎり屋フジヤマ』をやっています」
「おにぎり屋?フジヤマ?」


「『おにぎり』というのは、東の国でいう『おむすび』ですね。それを提供している食堂の経営をしています。今は息子に任せています。先程、自宅で会った」

食堂を経営している平民の女性が、なぜ学校の校長をしているのか。
アリシアは不思議に思った。


「ママ~、アリシアさん~。雑炊できたよ~」
リナが小鍋を持って、教室に入って来た。

「梨奈、ありがとう。何雑炊にしたの?」
「玉子雑炊」
リナが持つ小鍋からは、鶏だしのいい匂いがする。


「アリシアさん。玉子食べて、具合悪くなったことはないですか?」
リナは確認をした。

「ないわ」

「良かった~。アレルギーの有無を訊くの忘れちゃって」

前世日本では、アレルギーの確認は必須だったが、こちらの世界ではアレルギーの知識は少ないようで、つい忘れてしまったのだ。


リナはアリシアに席をすすめると、アリシアの前に小鍋とスプーンを置いた。

「スミマセン。お椀を持ってくれば良かったですね」
「いいえ。結構よ」

アリシアはリナの作った玉子雑炊を見つめた。

「お米を鶏だしのスープで煮て、玉子を加えて、お塩で味を整えました」
「あ……ありがとう」


アリシアが雑炊を口にする。
じっと、その様子を見守るリナ。

「美味しい……」
「本当?良かった~。ママ!美味しいって!」

見ず知らずの人間に食事を作り、それが美味しいかどうかを気にして、喜ぶ。

私が辺境の森に捨てられた時、誰も私を助けずに、ゴミのように捨てられたというのに……


「ゆっくり食べて下さいね。多かったら、残してもいいですからね」
リナは優しく微笑む。

こんな風に、私に優しく微笑んでくれた人は、いただろうか……
機嫌をうかがうように、愛想笑いをする人たちの中で生きてきた。

断罪された時、王都を追放された時、誰も私に寄り添ってくれる人はいなかった。

なんとか森を抜けて、もう動けないと座り込んでいた時に、ジャンと名乗る少年に救われた。
急に訪ねたにも関わらず、温かいお茶を出してくれたテオという少年。
そして、その母と妹。


もう獣に襲われて死ぬか、飢えて死ぬかだと思っていたのに。
もう貴族でもない、何も持っていない私に、どうして優しくしてくれるのだろう……


アリシアの目からは、涙がとめどなくあふれた。
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