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145.女心がわからぬ男と掴む男
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寺子屋講師の初日を終えて、アリシアはイザックと共に、マルタンの家に帰った。
「イザックさん、アリシアさん。おかえりなさい」
アンドレが出迎えてくれた。
「アンドレも今帰りか?」
「今から、出かけるところ」
「こんな時間にか?」
「うん。ちょっと寺子屋にね」
アンドレは、ふたりに手を振り出かけて行った。
「寺子屋に何の用なんだ?」
イザックは首を傾げる。
「リナちゃんを迎えに行ったんでしょ?」
「リナを?ムネナガがいるのに?」
イザックは納得がいかぬ顔をしている。
「だからでしょ?」
アリシアはそう言って微笑んだ。
対人スキルに向上が見られるイザックだが、女性の扱いはまだまだのようだ。
「アンドレ君は、紳士なんでしょ?」
アリシアがそう言うと、
「誰が紳士だって?」
という声がした。
アリシアが振り返ると、ジャンが帰ってきたところだった。
「おかえり。ジャン」
「おかえりなさい。ジャン君」
「ただいま」
「今さ、アンドレが寺子屋に行くって出ていったぞ」
イザックが言うと
「あぁ。リナを迎えに行ったんだろ?」
と、ジャンは答えた。
「でも、ムネナガがいるのに?」
「?だからだろ?」
ジャンの答えにイザックは首を傾げた。
その様子を見て、アリシアは吹き出した。
「ジャン君が、イザックのことを鍛えないとダメみたいよ?」
「女性の扱いは、俺じゃなくてライアンが専門だから」
ジャンはそう言って笑った。
イザックは納得がいかない顔をしてる。
それもおかしくて、アリシアは笑い続けた。
「どうだった?寺子屋初日は」
ジャンはアリシアに訊いた。
「楽しかったわ。学ぶべき点もたくさんあったし」
「そうか、良かったな。頑張れそうか?」
「ええ。明日も楽しみだわ」
ジャンは微笑んで、アリシアの頭をポンポンと叩いた。
それから、ジャンは会長に話があると言って、ふたりにヒラヒラと手を振ると、歩いていってしまった。
アリシアは、ジャンにポンポンと叩かれた頭を押さえた。
「頭、痛いのか?ジャンのヤツ、そんなに強く叩いたのか?」
イザックはアリシアの顔を覗き込んだ。
アリシアは、真っ赤な顔をしていた。
「どうした?大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ」
「でも、顔も赤いし」
「……大丈夫」
アリシアは、両手で頬を押さえた。
王都で、候爵家の令嬢の頭をポンポンと叩く男性はいなかった。
もちろん、婚約者がいたというのもあったが。
「シア。リナと辺境伯領に買い物行く話、ジュールさんか、ジャンに頼むんじゃなかったのか?」
「リナちゃんの服の件ね。そうね……」
「ジャンに連れてってくれって、頼むか」
イザックがジャンの名前を出すたびに、心臓の辺りがキュッとなるのを感じるアリシアであった。
「イザックさん、アリシアさん。おかえりなさい」
アンドレが出迎えてくれた。
「アンドレも今帰りか?」
「今から、出かけるところ」
「こんな時間にか?」
「うん。ちょっと寺子屋にね」
アンドレは、ふたりに手を振り出かけて行った。
「寺子屋に何の用なんだ?」
イザックは首を傾げる。
「リナちゃんを迎えに行ったんでしょ?」
「リナを?ムネナガがいるのに?」
イザックは納得がいかぬ顔をしている。
「だからでしょ?」
アリシアはそう言って微笑んだ。
対人スキルに向上が見られるイザックだが、女性の扱いはまだまだのようだ。
「アンドレ君は、紳士なんでしょ?」
アリシアがそう言うと、
「誰が紳士だって?」
という声がした。
アリシアが振り返ると、ジャンが帰ってきたところだった。
「おかえり。ジャン」
「おかえりなさい。ジャン君」
「ただいま」
「今さ、アンドレが寺子屋に行くって出ていったぞ」
イザックが言うと
「あぁ。リナを迎えに行ったんだろ?」
と、ジャンは答えた。
「でも、ムネナガがいるのに?」
「?だからだろ?」
ジャンの答えにイザックは首を傾げた。
その様子を見て、アリシアは吹き出した。
「ジャン君が、イザックのことを鍛えないとダメみたいよ?」
「女性の扱いは、俺じゃなくてライアンが専門だから」
ジャンはそう言って笑った。
イザックは納得がいかない顔をしてる。
それもおかしくて、アリシアは笑い続けた。
「どうだった?寺子屋初日は」
ジャンはアリシアに訊いた。
「楽しかったわ。学ぶべき点もたくさんあったし」
「そうか、良かったな。頑張れそうか?」
「ええ。明日も楽しみだわ」
ジャンは微笑んで、アリシアの頭をポンポンと叩いた。
それから、ジャンは会長に話があると言って、ふたりにヒラヒラと手を振ると、歩いていってしまった。
アリシアは、ジャンにポンポンと叩かれた頭を押さえた。
「頭、痛いのか?ジャンのヤツ、そんなに強く叩いたのか?」
イザックはアリシアの顔を覗き込んだ。
アリシアは、真っ赤な顔をしていた。
「どうした?大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ」
「でも、顔も赤いし」
「……大丈夫」
アリシアは、両手で頬を押さえた。
王都で、候爵家の令嬢の頭をポンポンと叩く男性はいなかった。
もちろん、婚約者がいたというのもあったが。
「シア。リナと辺境伯領に買い物行く話、ジュールさんか、ジャンに頼むんじゃなかったのか?」
「リナちゃんの服の件ね。そうね……」
「ジャンに連れてってくれって、頼むか」
イザックがジャンの名前を出すたびに、心臓の辺りがキュッとなるのを感じるアリシアであった。
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