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164.胸にあいた穴は
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「そうだな。俺だけだな。王都の学園に通ったのは。でも、俺よりずっと、ジャンの方が貴族の息子っぽいし、ムネナガの方が冷静で教養もある。アンドレの方が優しくて、テオの方が誠実だ」
「ちょっと待って!!どうしたの?みんなそれぞれに良いところがあるでしょ?それをどうして比べて、自分を卑下してるの?イザックにはイザックの良いところがあるでしょ?」
アリシアはイザックに言った。
「俺が貴族の息子なのは、俺が何かをしたからじゃない。生まれたのが貴族の家だっただけだ。家から離れれば、俺は大したこともできない。何もなんだよ」
イザックは自分の胸に大きな穴が開いて、息ができなくなった気がした。
「俺は、婚約者候補にも、弟にも興味がなくて、たぶん俺自身にすら興味がなくて、ただ流されるように生きてきただけなんだ。だから、家から離れて、イザック・ジラールという個人になったときに、俺に誇れるものは何もないんだ。皆、堂々と生きているのに、俺だけが何も持たずに生きている……」
「イザック……それは、あなただけではないでしょ?自分の内側を見るのは誰だって勇気がいることだもの。何かに抗って生きるよりも、流されて生きることの方がラクなことだってあるもの。特に、王都で生きていくためにはね。皆と同じ方向に流されることが必要だったことだってあるでしょ?」
アリシアの言葉にイザックは頷いた。
「今私たちは、ここフォレールで自由に生きていて、今までの自分を振り返ると確かに自分の力で生きてこなかったところはあると思うけれど、でもそれを悔いていても仕方がないのよ。それに、誰もそれを責めたりしないでしょ?王都には王都の、ここにはここの生き方があるのよ。これからでしょ?私もあなたも」
「そう……かな?」
「そうよ!人と比べたら、苦しいだけよ。『リナは可愛い。リナは逞しい。リナは賢い。それに比べて私は……』なんてそんなことばっかり考えていたら、私は苦しいわ。あなたもそうでしょ?ジャンにはジャンの、ムネナガさんにはムネナガさんのいいところがあって、それをそのまま『素敵だな』って認めればいいだけじゃない。自分と比べる必要はないわ」
「そうだな」
イザックはアリシアに感謝した。
他人と比べて、自分の至らないところを見つけて、勝手に苦しんでいるだけだ。
「イザックさ~ん。アンドレに仕事が終わったら、こっちに来るように伝えてもらえるように頼んで来たから~あ!あーちゃん!あーちゃんも参加できる?地図作り」
アンドレに言伝を頼みにいったリナが帰ってきて、アリシアにも声を掛けた。
「イザックがまだ作ってなかったの?」
「そうなの!忘れてたんだって!ついでに前に話した『おすすめ王都観光スポット』も教えてね」
「分かったわ。イザックもどこがおすすめスポットなのか、一緒に考えましょうね」
「分かったよ。アンドレが来る前に、地図は描いてしまおうか」
イザックはようやく笑った。
「ちょっと待って!!どうしたの?みんなそれぞれに良いところがあるでしょ?それをどうして比べて、自分を卑下してるの?イザックにはイザックの良いところがあるでしょ?」
アリシアはイザックに言った。
「俺が貴族の息子なのは、俺が何かをしたからじゃない。生まれたのが貴族の家だっただけだ。家から離れれば、俺は大したこともできない。何もなんだよ」
イザックは自分の胸に大きな穴が開いて、息ができなくなった気がした。
「俺は、婚約者候補にも、弟にも興味がなくて、たぶん俺自身にすら興味がなくて、ただ流されるように生きてきただけなんだ。だから、家から離れて、イザック・ジラールという個人になったときに、俺に誇れるものは何もないんだ。皆、堂々と生きているのに、俺だけが何も持たずに生きている……」
「イザック……それは、あなただけではないでしょ?自分の内側を見るのは誰だって勇気がいることだもの。何かに抗って生きるよりも、流されて生きることの方がラクなことだってあるもの。特に、王都で生きていくためにはね。皆と同じ方向に流されることが必要だったことだってあるでしょ?」
アリシアの言葉にイザックは頷いた。
「今私たちは、ここフォレールで自由に生きていて、今までの自分を振り返ると確かに自分の力で生きてこなかったところはあると思うけれど、でもそれを悔いていても仕方がないのよ。それに、誰もそれを責めたりしないでしょ?王都には王都の、ここにはここの生き方があるのよ。これからでしょ?私もあなたも」
「そう……かな?」
「そうよ!人と比べたら、苦しいだけよ。『リナは可愛い。リナは逞しい。リナは賢い。それに比べて私は……』なんてそんなことばっかり考えていたら、私は苦しいわ。あなたもそうでしょ?ジャンにはジャンの、ムネナガさんにはムネナガさんのいいところがあって、それをそのまま『素敵だな』って認めればいいだけじゃない。自分と比べる必要はないわ」
「そうだな」
イザックはアリシアに感謝した。
他人と比べて、自分の至らないところを見つけて、勝手に苦しんでいるだけだ。
「イザックさ~ん。アンドレに仕事が終わったら、こっちに来るように伝えてもらえるように頼んで来たから~あ!あーちゃん!あーちゃんも参加できる?地図作り」
アンドレに言伝を頼みにいったリナが帰ってきて、アリシアにも声を掛けた。
「イザックがまだ作ってなかったの?」
「そうなの!忘れてたんだって!ついでに前に話した『おすすめ王都観光スポット』も教えてね」
「分かったわ。イザックもどこがおすすめスポットなのか、一緒に考えましょうね」
「分かったよ。アンドレが来る前に、地図は描いてしまおうか」
イザックはようやく笑った。
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