僕の異世界生活

谷 cyan

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2章 異世界へ来た僕の力

開店時間です。

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酒場の前まで来ると、またマリアが居た。
「あら、レイヤ。お疲れさま。にしてもここは居心地いいわね…」
「あの…マリア、この酒場の名前って、あるのか?」
「なによ、あなたここに働いてるのに知らないの?この酒場の名前はね、jasmineジャスミンって言うのよ。綺麗な店名ね…そんなことよりそろそろ開店時間よ?早く入らなくていいの?」
「あっ!そうだ、レオに言わないと…じゃあまた」
そう言って僕は慌てて店内に入るとレオが話しかけてきた。
「ご苦労さま、ちゃんと良いお酒届いてるよ。そろそろ開店時間だ。」
そう言って、レオは外に出ていき「CLOSE」の看板を裏返し「OPEN」にして帰ってきた。
「さぁ、これか忙しくなるぞ?」
「はい!」
すると1分も経たないうちに、1人目のお客さんが入ってきた。僕は威勢よく
「いらっしゃいませ!」
と言うと、カウンター席の奥からレオが
「いつものでいいか? 」
と客に話している。おそらく常連なんだろう。客は
「あぁ、頼む」
と答えると、レオが料理を手際よく作り始める。そして僕は、お客さんを遠目に観察する。服装(?)は鋼の鎧で、大きい剣を持っている。勇者だろうか?
「どうした?」
僕がジロジロ見ていたからか、その、勇者っぽい男性が話しかけてきた。僕は勇気を出して近づく
「あの…勇者、ですか?」
そう聞きながら隣の椅子にゆっくりと腰を下ろす。
「あぁ、そうだが…あんまり見ねぇ顔だな、テメェ…あと…」
その勇者がジロジロと顔を見る
「魔力が滲み出てるぞ?」

えっ…

「な、な、なっ…そんな…!?」
僕は焦って言葉にできない。何ならアリーナさんに言われた魔女狩りのような話を思い出したからだ。
するとレオがカウンター席の奥から出てきて、キャベツに似た野菜と肉の炒め物、そしてビールと思われる酒を勇者の前のテーブルに置く。
「おいレイヤ、ちゃんと働け。」
レオにそう言われてハッとする。勇者と喋っていた数分の間で、大きな店の席の半分ほどが埋まっている。
「すいません!今すぐ!」
そう言って僕は、慌てて席を立ち上がり、注文を聞きに行ったのだった。
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