異世界転生するならっ!!

しろくまん

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私、こんなんじゃ終われない!

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私は今年大学に入学したばかりのフレッシュレディ。
名前は皐月 芽衣。
お気づきの人もいるかもしれないけど、某有名アニメの少女たちを足して割らない名前だ。

もちろん両親に悪意はなくただ可愛いからってつけてくれた名前みたい。

まぁ確かにそうなんだけど、いろいろ複雑だった。

小学生の頃は金曜ロードショーであのアニメをした次の週にはいつもからかわれたし、中学になると名前が苗字かわかんないって言われたし。

高校になってみんな少し大人になると、ようやく平穏がきた…。

そんな名前だけど、大好きな家族や友達から呼ばれるだけで気にならなくなっちゃう。
むしろ好きな名前になってた。

って現実逃避しすぎた(汗)
名前のことはどうでもよくて、いま私の身に起きたことを整理させてもらいたいの!!

入学式も終えて、こないだ一人暮らしを始めた愛しの我が家に帰る道すがら。

激卍イケメンが私の前を横切って!
こんな人この街にいたの?!

ちょっと残り香でも残ってないかな?!

って後をつけてみたんだけど、曲がり角を曲がったところで見失っちゃって。

その道のさらに先まで行ってみたはいいものの、その道は行き止まりになってた。

変だなって思ったんだけど、引き返そうと後ろを向いた瞬間、地面が一気になくなって!!

「ひゃあああああああああ」

って情けない声出しながらしばらく落ちてった。

いつの間にか気絶してたんだけど、気づいた時には地面…というか床があって。

ただ、異様な雰囲気だったからすぐ目が覚めたの。

恐る恐る周りを見渡したら、私のすぐ後ろにいかにもカミサマーーーー!!!

みたいなおじいさんがカーネルサンダースみたいな格好でこっちを見て微笑んでた。

私、すんごく怖くて逃げたかったんだけど、足がすくんで動けなくて。
どうしようかなって必死に考えたたら

「これこれ落ち着きなさい、お嬢さん」

ってその人?に言われたの。

「すまんかったね、ワシのアバターがそっちの世界に干渉したせいでこんなことになってしまって」

???
何がなんだかわからない、なんで顔をしていたら

「ふむ。1から説明すると、先ほどお嬢さんが追っていたイケメンはワシの分身でな」

「ちょっとそちらの世界探索をさせてもらっていたのだよ」

「ここは次元の狭間で、君は落っこちてしまったからもう帰れないのじゃ…」

などとふざけたことを言ってきた。

つまり、アレはこのおじいさんで、あのイケメンはまぼろしだってこと…?!

あんまりだ!!!!!

彼氏いない歴=年齢の私の心を弄んで!!!

しかも今の話をまとめると、なんかしらないけどもう帰れない?!

心の拠り所で端から端までクリアしてきた乙女ゲーも2度とできないわけ?!?!?

あんまりだーーーーーー!!!!!

なんて絶望してると、おじいさんは

「ふむ、申し訳ないことをしたからには、相応の対応をせねばな」

「お嬢さんのいう乙女ゲームの世界によければ転生させてあげよう」

…?

いまなんて…?

「じゃから、お主の好きな乙女ゲームの世界に転せ」

「まず言わせてもらうけど、私の心を読まないで?!恥ずかしい…!!!!」

「でも乙女ゲームの世界はご褒美です本当にありがとうございました!!!」

ってまって。
それ、私が主人公じゃないとあまりにも面白くない展開じゃない?!
中途半端なモブとか、ヒロインをいじめて最後には破滅する悪役令嬢とか、そんなのになったら最後…目も当てられない!!

それはナシでお願いできるのよね?!?!

すでに心の声が届くとわかっているので声に出さずに凄んでみる。

「わわわ、わかった」

「もちろん乙女ゲームの主人公にするぞい。なんならもう一つくらい特典をつけてもいいじゃろ」

やった!
言ってみるものね。

正直大学生になる前に家族はみんな亡くなって友達も疎遠になってたし。
別の世界で生きるのもいいかなってちょっと思った。

親友のみっちゃんだけ心残りだけど…。

背に腹は変えられない。
我が家の家訓は【前を見てれば前向き!】だもの!
俯いても仕方ないし前を向きましょ!!

「ってことでもう一つの特典のことですけど」

「なかなかアップダウンが激しいお嬢さんじゃの…うむ。では、なんでも言ってみるのじゃ」

「それじゃあーーーーーーーー」

ーーーーーーー

「…これでよし、と」
「本当にその特典でよかったんかのぅ…?」

「もちろんですっ。乙女ゲーといえばこれしかないので!!」

そう言い放った私は、別の世界に行くってワクワクを隠せないままずっと笑ってた。

「それでは扉を抜けたらスキル獲得できるようにしといたぞい」

「はい!短い間でしたがお世話になりました!」

「うむ。達者でのう。お嬢さんの行く末に幸おおからんことを」

「ありがとう」

そう言って目の前に現れた扉に手をかけた。

あ…しまった。

どの乙女ゲー世界に行くのか聞いてなかった。

ふふ、まぁいっか。
この〈スキル〉があればきっと楽しい世界がまってるはずだから。

恐れないで進んでみよう。

ありがとう、今までの世界。
よろしく、これからの世界。

私は扉を開いて足を踏み出した。

---スキル〈面白い女〉を手に入れました---
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