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五つ目の商店
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~ダンテ城内、執務室~
新しい法案に目を通す国王の元に大臣が駆け込んできた。
「陛下、緊急事態にございます。」
「次から次に・・・で、今回はどうしたのだ。」
あまり大事に捉えていない国王に、大臣が汗を拭きながら報告する。
「陛下、エルフの国より、今後不正に木材を伐採するのであれば、武力による解決も辞さないとの書簡が届きました。
すでに、森との境界線には、エルフの魔法兵が配備されているようでして・・・。」
「不正に木材を伐採!?
いったい誰が?」
「そ、それは、いまは調査中でして・・・。」
「今日中に調査し報告せよ。
それに併せて騎士団を動かし、国内の材木を扱う商人たちに伐採計画書を提出させ、実数と書面上の数に相違がないか確認を行うのだ。
40年前の悲劇を繰り返してはならぬ。これは王命である。」
「ぎ、御意!」
大臣は、駆け足で執務室を後にする。
国王は、ベルを鳴らし、近衛兵を呼ぶ。
「マルゲリータ第一騎士団長を召喚せよ。
場合によっては、防衛線を行わなければなるまい。」
その日の夕方、王宮内にマルゲリータ第一騎士団長より、商人のベローチが召喚された。
その理由は、木材の不正伐採の証拠を握っているということからであった。
マルゲリータ第一騎士団長は、召喚されたベローチに証拠の品の提出を求める。
国王や他の騎士団長たちも集まるなか、ベローチは証拠の品を提出する前に立ち上がり、歩きながら話し始める。
「国王陛下、いま私が保有している証拠の品は、2点ございますが、1点は商店内に盗賊が入り込み奪われてしまいました。
その盗賊にも目星がついておりますので、明日の夕暮れまでには提出することが可能かと思われます。
そして、もう1点、私の手元にある証拠の品ですが、これは取引先の名前が黒く塗りつぶされており、この品だけでは不正の決定的な証拠にはなりえないものとなっております。
ご期待に添えることができず、申し訳ありません。」
ベローチは、そういいながら大臣の目の前に立ち、証拠の品である台帳を わざと開いて渡した。
証拠の品を受け取った大臣は、慌てて台帳を閉める。
「た、たしかに、これだけでは証拠不十分。
国王陛下、この証拠に関しては、私の方で精査し犯人特定に全力をあげさせていただきます。
騎士団につきましては、ベローチ殿に協力させ、盗賊の確保に当たらせるほうがよろしいかと・・・。」
「う、うむ。
そうか・・・しかし、ことを急がなければ・・・。」
国王の言葉に、ベローチが意見を出す。
「恐れ多くも国王陛下、私ども商人は、人探しよりも台帳の精査に通じております。
もし許されるのであれば、大臣に協力し、台帳から犯人の洗い出しを行いたいのですが。
・・・それと、おそらく店内に忍び込んだ盗賊は、義賊を名乗るルネーと呼ばれる人物だと見当がついております。」
「うむ。
ベローチよ国の一大事だ。すぐに台帳の精査にあたってくれ。
マルゲリータ、すぐに義賊を名乗るルネーを探し出し捕らえよ!」
「御意!」
マルゲリータは、ベローチを睨み付けると、すぐに騎士団を招集し国内の詮索に向かった。
新しい法案に目を通す国王の元に大臣が駆け込んできた。
「陛下、緊急事態にございます。」
「次から次に・・・で、今回はどうしたのだ。」
あまり大事に捉えていない国王に、大臣が汗を拭きながら報告する。
「陛下、エルフの国より、今後不正に木材を伐採するのであれば、武力による解決も辞さないとの書簡が届きました。
すでに、森との境界線には、エルフの魔法兵が配備されているようでして・・・。」
「不正に木材を伐採!?
いったい誰が?」
「そ、それは、いまは調査中でして・・・。」
「今日中に調査し報告せよ。
それに併せて騎士団を動かし、国内の材木を扱う商人たちに伐採計画書を提出させ、実数と書面上の数に相違がないか確認を行うのだ。
40年前の悲劇を繰り返してはならぬ。これは王命である。」
「ぎ、御意!」
大臣は、駆け足で執務室を後にする。
国王は、ベルを鳴らし、近衛兵を呼ぶ。
「マルゲリータ第一騎士団長を召喚せよ。
場合によっては、防衛線を行わなければなるまい。」
その日の夕方、王宮内にマルゲリータ第一騎士団長より、商人のベローチが召喚された。
その理由は、木材の不正伐採の証拠を握っているということからであった。
マルゲリータ第一騎士団長は、召喚されたベローチに証拠の品の提出を求める。
国王や他の騎士団長たちも集まるなか、ベローチは証拠の品を提出する前に立ち上がり、歩きながら話し始める。
「国王陛下、いま私が保有している証拠の品は、2点ございますが、1点は商店内に盗賊が入り込み奪われてしまいました。
その盗賊にも目星がついておりますので、明日の夕暮れまでには提出することが可能かと思われます。
そして、もう1点、私の手元にある証拠の品ですが、これは取引先の名前が黒く塗りつぶされており、この品だけでは不正の決定的な証拠にはなりえないものとなっております。
ご期待に添えることができず、申し訳ありません。」
ベローチは、そういいながら大臣の目の前に立ち、証拠の品である台帳を わざと開いて渡した。
証拠の品を受け取った大臣は、慌てて台帳を閉める。
「た、たしかに、これだけでは証拠不十分。
国王陛下、この証拠に関しては、私の方で精査し犯人特定に全力をあげさせていただきます。
騎士団につきましては、ベローチ殿に協力させ、盗賊の確保に当たらせるほうがよろしいかと・・・。」
「う、うむ。
そうか・・・しかし、ことを急がなければ・・・。」
国王の言葉に、ベローチが意見を出す。
「恐れ多くも国王陛下、私ども商人は、人探しよりも台帳の精査に通じております。
もし許されるのであれば、大臣に協力し、台帳から犯人の洗い出しを行いたいのですが。
・・・それと、おそらく店内に忍び込んだ盗賊は、義賊を名乗るルネーと呼ばれる人物だと見当がついております。」
「うむ。
ベローチよ国の一大事だ。すぐに台帳の精査にあたってくれ。
マルゲリータ、すぐに義賊を名乗るルネーを探し出し捕らえよ!」
「御意!」
マルゲリータは、ベローチを睨み付けると、すぐに騎士団を招集し国内の詮索に向かった。
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