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悪魔召喚士

09

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千紘たちは朝食を終えると、クエストを受けるため、談話室にある掲示板を見に行くことにした。


「なあ、Fクラスのクエストって無くない?」

「おかしいな。最低ランクだからありそうなのに・・・。」


そんな2人にレバノンが声をかける。

「Fランクのクエストを探してるんじゃろ?」

「あ、はい。
 でも、どれも高ランクのクエストばっかりで・・・。」

「仕方がないんじゃ。
 Fランクのクエストを依頼するくらいなら、自分達で調達する人ばかりじゃならな。
 たまに出たとしても、他の仕事のついでにクエストをこなす者もおる。こまめに確認しなければ受注できないランクなんじゃ。」

レバノンの言葉を聞き、落ち込む千紘。
そんな千紘に同情したのか、レバノンが一冊の本を千紘に渡す。
その本を不思議そうに受け取る千紘。

「これは?」

「これは魔法事典と呼ばれるもので、読んで理解出来れば魔法を覚えれるものじゃ。
 読むのに時間はかかるかも知れないが、クエストを受注するまでの時間を無駄にせんでいいだろ。」

「ありがとうございます!」


2人はレバノンに礼を述べ、自分達の部屋に戻った。



部屋に戻った千紘は、早速 魔法事典を開き読み始める。
そんな千紘を 千紘の悪魔は、じっと見つめる。

「ちょっと、君も勉強したら?
 見られてると気が散っちゃうんですけど。」

「ごめんごめん。」

千紘の悪魔は、千紘の隣で横になり、手のひらに炎を召喚し時間を潰す。
時おり、千紘の方を見ているのに千紘は気がついていたが、注意することなく、魔法事典を読み続けた。


~30分後~

「ねぇ、ゴロゴロするくらいなら、クエストを確認してきてくれない?」

「分かった。」

悪魔は部屋を出ると2~3分で戻ってきた。

「千紘、クエストは無かったよ。」

「ごめんね。
 ありがとう。」



~更に30分後~

「ねぇ、クエストを・・・。」

「分かった。」

悪魔は部屋を出ていった。
しばらく本を読むのに集中していた千紘は、悪魔が戻って来たことに気づかなかったようだ。
千紘の横でゴロゴロしながら、千紘を見つめる悪魔の視線を感じとり声をかける。

「あ、ごめん。
 気づかなかった。
 ところで・・・。」

「残念だけど、クエストは無かったよ。」

「そっか。
 なかなかクエスト出ないみたいだし仕方ないよね。」



~更に30分後~

「ねぇ、」

「分かった。」

「ありがと。」


悪魔は部屋を出たとた思ったら、直ぐに部屋に戻ってきた。
(あれ、忘れ物かな?)

悪魔は、再び千紘の隣で横になり、千紘を見つめる。

「ねえ!」

「残念だけど、」

「いやいや、君は確認に行ってないよね!」

「・・・よく分かったね。」

「はぁ・・・。
 なんでそんなにゴロゴロできるの?
 能力も・・・、
 もしかしてニートなの?」

千紘の言葉に悪魔が笑顔で起き上がり、千紘の真横に近づく。

「千紘・・・?」

「な、なによ。
 ちょっと近いんだけど・・・。」

「あ、ごめん。
 思い出したのかもって・・・。
 いや、何でもない。」

少し寂しそうな顔を見せる悪魔に、本を読むのを止めた千紘が話しかける。

「君は何か思い出せたの?」

「あ、うん。
 俺の名前なんだけど、エイルって呼んでくれたら嬉しいかな。」

「エイル・・・。
 君の名前って・・・。」


千紘の反応に悪魔は何か期待しているようだ。



「君の名前って、悪魔っぽくない名前なんだね。」

「・・・そだな。」


悪魔は千紘に背を向けるように横になってしまった。


(なんだか面倒くさい悪魔だな・・・。)


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