71 / 89
7章・再会の喜び
準備6日目 先人の知恵
しおりを挟む
~アマゾネスの村(天女の秘湯 レヴィア)~
レヴィアは、温泉施設の見回りをしている。
そこに笑顔のハロルドがやってきた。
「レヴィア会長、すごい反響だよ。
温泉は気持ちがいいし、食事が美味しいし、まさに言うことなしだね。」
「よかった。料理人たちにも伝えておくよ。」
レヴィアは 大満足のハロルドと別れ、オババの元に向かった。
オババの元には、フラウとアルルがいて話をしている。
オババは レヴィアを見つけるとレヴィアに声をかけた。
「レヴィア様、昨日は、お疲れ様でした。どうじゃったでしょうか?」
「一応、思いは届けた。あとは本人の考えるところだ。」
「ありがとうございます。」
レヴィアとオババの会話が気になるのか、アルルがフラウに質問する。
「フラウさん、何かあったんですか?」
「オババ様の60年越しの、願いが届くかも知れないんだ。」
「届くといいですね。」
その日の昼には、ハロルド商会の得意客がハロルドと共に帰っていく。
レイヴァ達は、集合して会議を始める。
「皆さん、喜んでましたよね。」
お客の反応に、アルルが満足そうに話し出す。
ミザリもアルルの意見に同意して、頷きながらレヴィアに相談する。
「レヴィア姉さん、今度からレヴィア商会の支店を出すのはどうかな?」
「いや、あまり目立った行動は慎もう。あくまで自力がいいだろう。」
予想外のレヴィアの反応に、リリアスが口を挟む。
「どうして?アマゾネス村で稼ぐんだから、税金をアマゾネス村に渡してもいいんじゃないのかしら?」
リリアスの意見にレヴィアが答える。
「それもそうなんだけど、せっかく完全な自治権があるのに、この土地で商売する商会が増えることで、税金が期待できるから といった形で王国が考えて参入してしまえば、なにかしら揉める可能性も出てくるだろう。
あくまでレヴィア商会は、ここで商売をさせてもらっている。
という形がいいと思う。」
「ただ商売をすればいいって訳でもないんですね。」
レヴィアの先の先を見る考え方に、アルルは感心しているようだ。
ミザリは何故か自分のことのように、胸を張って答える。
「商会の運営って、そこが難しいけど面白いところなんだよね。」
レヴィアは、笑いながらミザリに同意し、そのままオババたち長老衆の方を向き提案する。
「先ほどの件を踏まえ、オババ達には アマゾネス通商協会を設立してもらおうと考えている。」
「アマゾネス通商協会ですかな?」
レヴィアは無言で頷き、話を続ける。
「レヴィア商会は、アマゾネス通商協会に加盟して、そこに加盟手数料を支払い、商売をする。
加盟手数料は低めに設定して、店の規模、従業員数、仕事の内容で加盟料を調整し、王国の商会と貿易をするんだ。
あくまで貿易という形であれば、王国もむやみに税金をかけたりは出来ないと考えている。
もちろん、飲食や装飾品の販売など、需要が被るものには、高めの加盟手数料をとって独占は崩さない。
絶対的なアマゾネスファーストの姿勢を最初から徹底して貫けばいい。
商会や商人組合も、フランダース傭兵団を抱えるアマゾネス通商協会に、武力で訴えることはないだろうからね。」
レヴィアの言葉に、フラウが反応し質問する。
「でもなぜ、王国は税金をかけてこないと言えるの?」
フラウの質問に、ミザリが答える。
「税金をかけると、加盟する商人が2重に支払う形になるからだよ。
そんな無茶なことは、商人協会や、商人組合が黙認するわけがないからね。
契約書を基準に行動する彼らと争うのは、王国としてもデメリットだし、場合によっては、商人たちから賠償金の請求を起こされてしまう可能性もあるからね。」
レヴィアも、ミザリの答えと同じ考えのようだが、補足で一言話す。
「まあ、ありえないけど、法の整備を行い、神託法を辞めれば、税金がかかる仕組みになるだろう。
だけど、そうなると教会との全面論争に発展してしまうから、結果、商人たちの独り勝ちになっちゃうからね。」
「レヴィア姉さん、いまの三つ巴の状況だからこそ、通商協会を立ち上げるんだね。」
「そう、レヴィア保険協会を立ち上げるようにね。」
「「「レヴィア保険協会?」」」
レヴィアとミザリは、にやけるだけで、保険協会の件は、教えてはくれなかった。
そのやり取りを見ていて、オババたちは、感心し開いた口がふさがらない。
「なかなか、レヴィア様の考えに及びませんなあ。」
「ほんと、オババさんの言う通りだよね。
ウィンター会長が、僕はレヴィア姉さんの足元にも及ばないって言ってた意味が、最近やっと分かったよ。」
レイザーも深く頷き、口を開く。
「出会ったころから、エイトもレヴィアも、別次元の考え方じゃからな。」
「やっぱり、本を読むのいいんでしょうね。」
アルルの一言に、レヴィアが笑顔で頷き、それに答える。
「そうだね。書物から得られる先人の知恵を吸収することが大事なんだろうね!」
自信満々に答えるレヴィア。
それを冷ややかに見つめるリリアス。
「でも、レヴィアが全知の書を見てる時間って、ほとんどファッションの特集じゃない?」
「・・・ああ、見られてたんだ。」
レヴィアは、温泉施設の見回りをしている。
そこに笑顔のハロルドがやってきた。
「レヴィア会長、すごい反響だよ。
温泉は気持ちがいいし、食事が美味しいし、まさに言うことなしだね。」
「よかった。料理人たちにも伝えておくよ。」
レヴィアは 大満足のハロルドと別れ、オババの元に向かった。
オババの元には、フラウとアルルがいて話をしている。
オババは レヴィアを見つけるとレヴィアに声をかけた。
「レヴィア様、昨日は、お疲れ様でした。どうじゃったでしょうか?」
「一応、思いは届けた。あとは本人の考えるところだ。」
「ありがとうございます。」
レヴィアとオババの会話が気になるのか、アルルがフラウに質問する。
「フラウさん、何かあったんですか?」
「オババ様の60年越しの、願いが届くかも知れないんだ。」
「届くといいですね。」
その日の昼には、ハロルド商会の得意客がハロルドと共に帰っていく。
レイヴァ達は、集合して会議を始める。
「皆さん、喜んでましたよね。」
お客の反応に、アルルが満足そうに話し出す。
ミザリもアルルの意見に同意して、頷きながらレヴィアに相談する。
「レヴィア姉さん、今度からレヴィア商会の支店を出すのはどうかな?」
「いや、あまり目立った行動は慎もう。あくまで自力がいいだろう。」
予想外のレヴィアの反応に、リリアスが口を挟む。
「どうして?アマゾネス村で稼ぐんだから、税金をアマゾネス村に渡してもいいんじゃないのかしら?」
リリアスの意見にレヴィアが答える。
「それもそうなんだけど、せっかく完全な自治権があるのに、この土地で商売する商会が増えることで、税金が期待できるから といった形で王国が考えて参入してしまえば、なにかしら揉める可能性も出てくるだろう。
あくまでレヴィア商会は、ここで商売をさせてもらっている。
という形がいいと思う。」
「ただ商売をすればいいって訳でもないんですね。」
レヴィアの先の先を見る考え方に、アルルは感心しているようだ。
ミザリは何故か自分のことのように、胸を張って答える。
「商会の運営って、そこが難しいけど面白いところなんだよね。」
レヴィアは、笑いながらミザリに同意し、そのままオババたち長老衆の方を向き提案する。
「先ほどの件を踏まえ、オババ達には アマゾネス通商協会を設立してもらおうと考えている。」
「アマゾネス通商協会ですかな?」
レヴィアは無言で頷き、話を続ける。
「レヴィア商会は、アマゾネス通商協会に加盟して、そこに加盟手数料を支払い、商売をする。
加盟手数料は低めに設定して、店の規模、従業員数、仕事の内容で加盟料を調整し、王国の商会と貿易をするんだ。
あくまで貿易という形であれば、王国もむやみに税金をかけたりは出来ないと考えている。
もちろん、飲食や装飾品の販売など、需要が被るものには、高めの加盟手数料をとって独占は崩さない。
絶対的なアマゾネスファーストの姿勢を最初から徹底して貫けばいい。
商会や商人組合も、フランダース傭兵団を抱えるアマゾネス通商協会に、武力で訴えることはないだろうからね。」
レヴィアの言葉に、フラウが反応し質問する。
「でもなぜ、王国は税金をかけてこないと言えるの?」
フラウの質問に、ミザリが答える。
「税金をかけると、加盟する商人が2重に支払う形になるからだよ。
そんな無茶なことは、商人協会や、商人組合が黙認するわけがないからね。
契約書を基準に行動する彼らと争うのは、王国としてもデメリットだし、場合によっては、商人たちから賠償金の請求を起こされてしまう可能性もあるからね。」
レヴィアも、ミザリの答えと同じ考えのようだが、補足で一言話す。
「まあ、ありえないけど、法の整備を行い、神託法を辞めれば、税金がかかる仕組みになるだろう。
だけど、そうなると教会との全面論争に発展してしまうから、結果、商人たちの独り勝ちになっちゃうからね。」
「レヴィア姉さん、いまの三つ巴の状況だからこそ、通商協会を立ち上げるんだね。」
「そう、レヴィア保険協会を立ち上げるようにね。」
「「「レヴィア保険協会?」」」
レヴィアとミザリは、にやけるだけで、保険協会の件は、教えてはくれなかった。
そのやり取りを見ていて、オババたちは、感心し開いた口がふさがらない。
「なかなか、レヴィア様の考えに及びませんなあ。」
「ほんと、オババさんの言う通りだよね。
ウィンター会長が、僕はレヴィア姉さんの足元にも及ばないって言ってた意味が、最近やっと分かったよ。」
レイザーも深く頷き、口を開く。
「出会ったころから、エイトもレヴィアも、別次元の考え方じゃからな。」
「やっぱり、本を読むのいいんでしょうね。」
アルルの一言に、レヴィアが笑顔で頷き、それに答える。
「そうだね。書物から得られる先人の知恵を吸収することが大事なんだろうね!」
自信満々に答えるレヴィア。
それを冷ややかに見つめるリリアス。
「でも、レヴィアが全知の書を見てる時間って、ほとんどファッションの特集じゃない?」
「・・・ああ、見られてたんだ。」
10
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
サラリーマン、少女になる。
あさき のぞみ
ファンタジー
目が覚めたら、俺は見知らぬ10歳の少女になっていた。
頼れるのは、唯一の理解者であるはずの同僚「まい」だけ。彼女はなぜか僕を**「娘」として扱い始め、僕の失われた体を巡る24時間の戦い**が幕を開ける。
手がかりは、謎の製薬会社と、10年前の空白の記憶。
時間がない。焦るほどに、この幼い体が僕の理性と尊厳を蝕んでいく。そして、僕は知る。最も近くで微笑んでいた人物こそが、この絶望的な運命の**「設計者」**であったことを。
あなたは、その愛から逃れられますか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる