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「そっか。ならいいんだ。
 なんか無駄に知識があって生態系の心配とかしたんだけど...。
 そうだよな、そもそも生物の種類も少ないし、分かりやすい構成だもんな。」

君を見上げながら。リノが頬を膨らませる。

「リュート兄ちゃん、いまヘルへイアスをバカにしただろ!
 おいらたちモニュマール人は、ヘルへイアスを誇りに思ってるんだぜ!」

「あ、ゴメン。
 バカにするつもりは無かったんだけど...。
 ヘルへイアスって何?」

「いま立ってるところだよ。
 女神オキロンの大地、獄炎と極寒の間、ヘルへイアス。」

「今朝の神話の話か。ところで、リノは神話に詳しかったみたいだけど、そういった話が好きなのか?」

「え、あ、う...うん。
 父ちゃんと母ちゃんが毎日 話してくれていたんだよ。」

悲しい表情をみせるリノの頭を撫ぜながら、君は。

「最高の両親だよな。
 いつかは、そういう父親になりたいよ。」

君の言葉に、リノが精一杯の笑顔で答える。

「おいらも大人になったら、父ちゃんや母ちゃんみたいになりたいな。もちろんリュート兄ちゃんも一緒だぜ!」

「お、おう。」

「よーし!
 もう少し歩いたら、野宿の準備して神話を聞かせてやるよ。
 リュート兄ちゃんも、ちゃんと覚えなよ。」

「そだな。
 ヨロシクな、リノ。」

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