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(どうしよう、どうすれば、どうしたほうが上手く逃げれる?
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 フカワの頭に飛び乗ることが出来れば逃げれるかも!
 逃げる?一人で?
 リノはどうなる?
 体も小さく 特別な力もない。
 俺が逃げれば......。)

(死ヌヨ マチガイナク。
 ダカラ 忠告シタンダ。
 アノ時、弟ノコトバヲ キイテイレバ。)

頭の中に いつもの誰かの声が鳴り響く。

(モウ傷ツケルノハヤメヨウヨ。
 君ハ...。)

「俺は、
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 辻道 エイルシッド 龍人だ!
 かかってこい!蛇ヤロー!」


君の怒号に呼応するように、フカワが君に向かって 大きく口を開き襲いかかってきた。





「リュート兄ちゃん、いまだ!」

フカワの背後にある馬車の残骸に意識を集中していた君は、リノの号令に合わせて 馬車の残骸を引き寄せ実体化させた!


ダーーーン!


フカワの恐ろしい牙は、馬車の残骸に刺さり、その衝撃で押し出された波に君たちは流される。
フカワは 深く刺さった牙を引き抜こうと激しく暴れている。


「チャンスだ!
 いまのうちに、逃げようぜ!」

(戦うか...いや、リノの言うとおり逃げよう。
 もしかすれば、もう襲ってこないかもしれない。)

君とリノは、少しでもフカワから距離を取るために泳ぎだした。
それが無謀だと、頭では分かっていたのだが......。


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