86 / 103
74.
しおりを挟む
74.
全力で駆けつけた君は、リノの気配が見える建物の扉の前に立つ。
そして、呼吸を整えながら、全力で重厚な扉を蹴破った。
建物の中に入ると、白い煙のようなものが視界を遮り始めた。
この煙は 君の視界に映る、人を取り巻く煙のようでもある。
その子供ほどの大きさの煙は、君にすがりつくように周囲を取り囲む。
悪意はないといえ、フカワの瞳のままでは、視界を確保できないと判断した君は フカワの力を解き、室内を見渡した。
室内は 一見すると片付いているように見えるが、注意して見ると壁や床、置いてある家具にさえ、カッターナイフのような小型の刃物で切りつけたような跡が無数に残っている。
君は リノの気配を最初に見つけた奥の部屋に続く扉へと近づくと、その扉の奥から、腰が直角になるほど曲がった老人が姿を見せた。
「老いぼれの家に何用で ございますかな?」
「リノを返してもらおう。
リノは俺の大事なおと...。」
「りの?はて?
いったいなんの事やら?」
老人は君の言葉を遮り、見事なまでに とぼけてみせる。
「とぼけても無駄だ!
いますぐ、リノを返せ!」
「ですから、そんな名前の少女など知りませんよ。」
ふたたび、とぼける老人に君は声を荒げる。
「リノは大切な弟なんだ!
もし、これ以上...。」
老人は君の言葉を遮り、大声を出し怒鳴りつけるように話し始めた。
「はあ?
お、と、う、と!?
あの容姿で男!?
ふざけるな!
これから、たっぷり可愛がってやろうとした娘が、おとうと!?
それなら、さっさと殺して次の獲物を探さなくちゃならんわ!
クソがっ!!!」
全力で駆けつけた君は、リノの気配が見える建物の扉の前に立つ。
そして、呼吸を整えながら、全力で重厚な扉を蹴破った。
建物の中に入ると、白い煙のようなものが視界を遮り始めた。
この煙は 君の視界に映る、人を取り巻く煙のようでもある。
その子供ほどの大きさの煙は、君にすがりつくように周囲を取り囲む。
悪意はないといえ、フカワの瞳のままでは、視界を確保できないと判断した君は フカワの力を解き、室内を見渡した。
室内は 一見すると片付いているように見えるが、注意して見ると壁や床、置いてある家具にさえ、カッターナイフのような小型の刃物で切りつけたような跡が無数に残っている。
君は リノの気配を最初に見つけた奥の部屋に続く扉へと近づくと、その扉の奥から、腰が直角になるほど曲がった老人が姿を見せた。
「老いぼれの家に何用で ございますかな?」
「リノを返してもらおう。
リノは俺の大事なおと...。」
「りの?はて?
いったいなんの事やら?」
老人は君の言葉を遮り、見事なまでに とぼけてみせる。
「とぼけても無駄だ!
いますぐ、リノを返せ!」
「ですから、そんな名前の少女など知りませんよ。」
ふたたび、とぼける老人に君は声を荒げる。
「リノは大切な弟なんだ!
もし、これ以上...。」
老人は君の言葉を遮り、大声を出し怒鳴りつけるように話し始めた。
「はあ?
お、と、う、と!?
あの容姿で男!?
ふざけるな!
これから、たっぷり可愛がってやろうとした娘が、おとうと!?
それなら、さっさと殺して次の獲物を探さなくちゃならんわ!
クソがっ!!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる