伝説の六勇者(従者リュートの物語)

78.

78.

「嫌だよ！
　おいら一人だけ逃げるなんて！
　逃げるんなら、リュート兄ちゃんも一緒だからな！
　それに、本物の六勇者は リュート兄ちゃんだって、おいら信じてるから！」

「...そだな。
　リノ、一緒に逃げるとするか。
　俺がリノの背中を守ってやるから、先に行くんだ。
　リノが立ち止まると、俺も走れないからな。何があっても絶対に立ち止まるなよ。
　リノ、止まったら負けな。」

君は リノを逃がす為に、周囲を飛び交う人形に牽制攻撃を入れた。

「いくぞ、リノ！」

君の号令に従うように、リノは涙を吹きながら、外へと走り出す。

（ごめんな、リノ。）


リノが無事に逃げたのを確認した君は、街に被害が及ばないよう 扉の前で立ち止まり、クルリと方向を変えた。


「重装のネット、悪いが最期まで付き合ってくれよ。」

重曹のネットは、ニタニタとした表情のまま動かない。

「どうした、人形を壊されたことに怒ってるのか？
　それなら、お互い様だ。お前は...。」

「お互い様だと！！！
　貴様ら下等な人間と！
　クソがっ！
　し、しかし、人形に攻撃しても無駄だ！
　人形の変わりは、常時１０００体以上はあるからな！」

そう言い放つと、重装のネットは 八体の人形を操り攻撃を仕掛けてくる。自身の防御力に自身があるのだろうか、相変わらず無防備のままの攻撃だ。