悪役令嬢?なら、トコトンやってあげましょう

七海のうえ

文字の大きさ
8 / 28

 私の従者はやっぱりイケメンらしい

しおりを挟む

「……これ、絶対アマンダに叱られるわね」

私は現在の自分の状況を把握し、頭を抱える。

私は今の今までずっと、ヴォルクとタイガに抱き締められたまま眠っていたという事だ。(フランお兄様は自室に戻った、ハイタカはソファーで寝てる)

多分、あの後ヴォルクとタイガがお兄様とハイタカに駄々をこねそのまま眠ったんだろうと想像は出来るものの……私をパジャマに着替えさせたのは誰なんだろうとサァーと血の気が引く。それも、今着ているパジャマは私がいつも着ている比較的大人しめなデザインのものとは掛け離れていて、全体的な色は淡いピンクと紫で統一されヒラヒラとフリルが沢山ついているものだった。ここまで来るとファンシーという部類じゃなくもはやロリータと云われる部類に分けられる程。

勿論私が購入した覚えも一切無いし、そもそもこちらの世界でもこんな衣類があったのかと驚きを隠せない。一体誰が用意したんだろうという疑問を捨て、ヴォルクとタイガの方に意識を向ける。

こんな場面を起こしに来たアマンダが見たら発狂する所の話では無いだろうと苦笑する。

一緒に寝ている人物の片方が神様でもう片方も使い魔だろうと二人が男性だと言う事は変えられない事実だ。私はこれでもマトリックス=ノーブランという王族の婚約者がいる身。そんな婚約者がいる人物が婚約者以外の男性と同じベットで寝るなどと言う行為を行うなど不貞を疑われても仕方の無い事なのだ。
それは本人達にそんな気がなくても。
だからこそ、私はアマンダにこの状況を目撃される前に何とかしないといけない。

「起きてヴォルク、タイガ」

二人の顔を\_(´・ω・`)っぺちぺちと叩いてみる。しかし、起きる気配など一切感じられない。もはや、微動だにせず綺麗な寝顔のまま静かに寝息をたてている。そして、やはりイケメンというのは寝顔さえも絵になるそうで私はついうっとりと二人の顔に見蕩れてしまう。

【アレン様、おはようございます。どうしたんですか?二人の寝顔を眺めて。】

「えぇ、おはようハイタカ。いや、やっぱりね貴方達皆、顔立ちがあまりにも良いもんだから見蕩れてしまったのよ」

私が二人の寝顔を眺めているとハイタカも起きてきたようでいつの間にか執事服の方にも着替え、準備も完璧に済ませたようだった。ハイタカは私の答えにありがとうございますと言ったあとベットで気持ちよさそうに寝ていたタイガを容赦なく叩き起した。それで驚いて起きたタイガがヴォルクを蹴り飛ばすもんだからヴォルクも起きて来て、何故か狼スタイルで毛ずくろいをしていた。
 私はそして気付いてしまった。最初からハイタカに任せたら良かったんだじゃないかと。
「ヴォルクとタイガもおはよう、どうちゃんと寝れた?」
【うん、おはようアレン。逆にアレンと一緒に寝るのが気持ち良すぎて寝過ぎた】
【……おはよう主。】

タイガはその後闇オーラが見え隠れしたハイタカに無理矢理引き摺られ部屋を後にしていき、ヴォルクもその後についていき部屋には私一人なった。
多分、二人共お説教を受けるんだろうなと他人事のように思う。
そんな事より今はアマンダだ。そうだ、この明らかに誰が居たという痕跡をアマンダが来る前に隠滅しないといけない。しかし、アマンダが来るまでだいたい後五分。たった五分でハイタカがついさっきまで寝ていたソファーと私達三人が寝ていたベットを綺麗に片付けないといけないのだ。このソファーとベットが通常サイズのよくある大きさなら何とかなっただろう。だが、しかしここはそんな一般家庭じゃなく貴族のお屋敷なのだ。一つ一つの家具の大きさは明らかに大きく、装飾も豪華で本当に前世の私の給料何年分だろうかと気が遠くなる程。そんな家具をたった五分でにバレないようになんて不可能なのだ。もう、言い訳以外どうしよう無い。だが、どうやって言い訳をしろと?

「お嬢様、おはようございます。」

……なんてこった、いつもより少し来るのが早いじゃないか。言い訳も思いつかないこの状況。私はもう素直に怒られるしかないらしいです。

「お嬢様……あの動物達はどこに行ったんですか?」

「……え?動物達?」

「えぇ、そうですよソファーでは鷹が1匹、ベットではお嬢様と一緒に虎と狼が寝ていたではありませんか」

「……あぁ、そうだったわね~。あの子達なら庭じゃないかしら?」

「いや、しかしお嬢様凄いですわ。虎に狼、鷹まで従えてしまうなんて」

……うん、そういう事にしよう。てか、ヴォルクはいいとしてあの二人も変化?出来るのか。多分、名前が鷹と虎がつくからその動物になったんだろうけど私そんな事全く知らないわよ。後でもふもふの刑に処すわ。でも、人間スタイルのヴォルクも一応、話しておかないとね。

【アレン様、おはようございます】
【アレンー、おはよう】
「……おはよう」

あら?三人共着替えたようね。ハイタカとタイガも燕尾服が中々似合うんだけど、ヴォルクの燕尾服もいいわね。また今度、三人の服を買いに行きたい所ね。
あぁ、これが前世の世界ならどれだけよかっただろう。あんな服やこんな服が通販で直ぐに用意出来たのに、それができないのが悔しい。
よくあるラノベなら色々、こっちの世界でも開発したりして何とかするんだろうが私は前世でも今世でもしがない一般市民ですので諦めます。

「お嬢様、それでは早く用意して学園に行きますよ」

「…えぇ」

私、昨日あの件でいろんな貴族にも目をつけられたし、ヒロインと会ったら嫌だから行きたくない。

とも言えず私はアマンダとハイタカに学園に連行されたのだった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。

パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。 将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。 平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。 根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。 その突然の失踪に、大騒ぎ。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...