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私の従者はやっぱりイケメンらしい
しおりを挟む「……これ、絶対アマンダに叱られるわね」
私は現在の自分の状況を把握し、頭を抱える。
私は今の今までずっと、ヴォルクとタイガに抱き締められたまま眠っていたという事だ。(フランお兄様は自室に戻った、ハイタカはソファーで寝てる)
多分、あの後ヴォルクとタイガがお兄様とハイタカに駄々をこねそのまま眠ったんだろうと想像は出来るものの……私をパジャマに着替えさせたのは誰なんだろうとサァーと血の気が引く。それも、今着ているパジャマは私がいつも着ている比較的大人しめなデザインのものとは掛け離れていて、全体的な色は淡いピンクと紫で統一されヒラヒラとフリルが沢山ついているものだった。ここまで来るとファンシーという部類じゃなくもはやロリータと云われる部類に分けられる程。
勿論私が購入した覚えも一切無いし、そもそもこちらの世界でもこんな衣類があったのかと驚きを隠せない。一体誰が用意したんだろうという疑問を捨て、ヴォルクとタイガの方に意識を向ける。
こんな場面を起こしに来たアマンダが見たら発狂する所の話では無いだろうと苦笑する。
一緒に寝ている人物の片方が神様でもう片方も使い魔だろうと二人が男性だと言う事は変えられない事実だ。私はこれでもマトリックス=ノーブランという王族の婚約者がいる身。そんな婚約者がいる人物が婚約者以外の男性と同じベットで寝るなどと言う行為を行うなど不貞を疑われても仕方の無い事なのだ。
それは本人達にそんな気がなくても。
だからこそ、私はアマンダにこの状況を目撃される前に何とかしないといけない。
「起きてヴォルク、タイガ」
二人の顔を\_(´・ω・`)っぺちぺちと叩いてみる。しかし、起きる気配など一切感じられない。もはや、微動だにせず綺麗な寝顔のまま静かに寝息をたてている。そして、やはりイケメンというのは寝顔さえも絵になるそうで私はついうっとりと二人の顔に見蕩れてしまう。
【アレン様、おはようございます。どうしたんですか?二人の寝顔を眺めて。】
「えぇ、おはようハイタカ。いや、やっぱりね貴方達皆、顔立ちがあまりにも良いもんだから見蕩れてしまったのよ」
私が二人の寝顔を眺めているとハイタカも起きてきたようでいつの間にか執事服の方にも着替え、準備も完璧に済ませたようだった。ハイタカは私の答えにありがとうございますと言ったあとベットで気持ちよさそうに寝ていたタイガを容赦なく叩き起した。それで驚いて起きたタイガがヴォルクを蹴り飛ばすもんだからヴォルクも起きて来て、何故か狼スタイルで毛ずくろいをしていた。
私はそして気付いてしまった。最初からハイタカに任せたら良かったんだじゃないかと。
「ヴォルクとタイガもおはよう、どうちゃんと寝れた?」
【うん、おはようアレン。逆にアレンと一緒に寝るのが気持ち良すぎて寝過ぎた】
【……おはよう主。】
タイガはその後闇オーラが見え隠れしたハイタカに無理矢理引き摺られ部屋を後にしていき、ヴォルクもその後についていき部屋には私一人なった。
多分、二人共お説教を受けるんだろうなと他人事のように思う。
そんな事より今はアマンダだ。そうだ、この明らかに誰が居たという痕跡をアマンダが来る前に隠滅しないといけない。しかし、アマンダが来るまでだいたい後五分。たった五分でハイタカがついさっきまで寝ていたソファーと私達三人が寝ていたベットを綺麗に片付けないといけないのだ。このソファーとベットが通常サイズのよくある大きさなら何とかなっただろう。だが、しかしここはそんな一般家庭じゃなく貴族のお屋敷なのだ。一つ一つの家具の大きさは明らかに大きく、装飾も豪華で本当に前世の私の給料何年分だろうかと気が遠くなる程。そんな家具をたった五分であのアマンダにバレないようになんて不可能なのだ。もう、言い訳以外どうしよう無い。だが、どうやって言い訳をしろと?
「お嬢様、おはようございます。」
……なんてこった、いつもより少し来るのが早いじゃないか。言い訳も思いつかないこの状況。私はもう素直に怒られるしかないらしいです。
「お嬢様……あの動物達はどこに行ったんですか?」
「……え?動物達?」
「えぇ、そうですよソファーでは鷹が1匹、ベットではお嬢様と一緒に虎と狼が寝ていたではありませんか」
「……あぁ、そうだったわね~。あの子達なら庭じゃないかしら?」
「いや、しかしお嬢様凄いですわ。虎に狼、鷹まで従えてしまうなんて」
……うん、そういう事にしよう。てか、ヴォルクはいいとしてあの二人も変化?出来るのか。多分、名前が鷹と虎がつくからその動物になったんだろうけど私そんな事全く知らないわよ。後でもふもふの刑に処すわ。でも、人間スタイルのヴォルクも一応、話しておかないとね。
【アレン様、おはようございます】
【アレンー、おはよう】
「……おはよう」
あら?三人共着替えたようね。ハイタカとタイガも燕尾服が中々似合うんだけど、ヴォルクの燕尾服もいいわね。また今度、三人の服を買いに行きたい所ね。
あぁ、これが前世の世界ならどれだけよかっただろう。あんな服やこんな服が通販で直ぐに用意出来たのに、それができないのが悔しい。
よくあるラノベなら色々、こっちの世界でも開発したりして何とかするんだろうが私は前世でも今世でもしがない一般市民ですので諦めます。
「お嬢様、それでは早く用意して学園に行きますよ」
「…えぇ」
私、昨日あの件でいろんな貴族にも目をつけられたし、ヒロインと会ったら嫌だから行きたくない。
とも言えず私はアマンダとハイタカに学園に連行されたのだった
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