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魔法学園<三年生>編
273 魔法学園三年
秋になり、三年目の魔法学園 が開校した。
今年もたくさんの王族や貴族たちが受験してくれ、入学している。
今年は王族よりも上級貴族の方が多い。
入学式の際には思わず、この中でどれくらいの生徒たちが講師である魔塔の魔法使いたちを怒らせることなく強制退学にならずに済むのだろうかと憐憫を持って見渡してしまった。
そんな新入生たちのことはもちろん気にしてあげたいところなのだが、私にはそれ以上に気になることがあった。
それは、私、リヒトをはじめとした『星鏡のレイラ』の登場人物たちの年齢だ。
ゲームでは、ヒロインのナタリアが攻略対象の誰か一人を選び、エンディングが決定するのは十四歳だった。
それが今年なのだ。
私とカルロはある意味、攻略対象からは脱落している状態だ。
ゲームのようにナタリアが将来を共にする相手を選ぶ年となるのか、それともこれほどゲームと変わってしまった場合には、ゲームとは関係なく進むのかはわからない。
これまでこの世界で運命を変える役割を持っていた異世界の者たちと、もしも私が同じ役割を担っているのだとしたら、ゲームが見せていたのは変えるべき未来だったのだろうから、ゲームのことなどもはや関係ないのかもしれない。
しかし、私が気になっているのは飽き人くんの言っていた魔王という存在だ。
飽き人くんは前世のゲームの続編でカルロが魔王として登場したと言っていたけれど、それは魔塔主が否定してくれた。
魔王とは精神体であり、カルロが必ず魔王になるということではないし、今のカルロの状態ならば魔王に取り憑かれる可能性は極めて低いと言っていた。
「リヒト様? どうされましたか?」
カルロが眉尻を下げて私の顔を覗き込んできた。
今は始業式前だ。
調べたところで知ることもできないし、考えたところで結論も出ないことを考えるよりも、王子、王女たちを自国の国民のために尽力できる人材へと育てることのほうが大切だろう。
私は登壇して大講堂に集まる二年生と三年生を見渡して微笑んだ。
どういうわけか、多くの生徒の頬が少しばかり赤い気がする。
……みんな、風邪の引き始めだろうか?
夏の暑さが落ち着き風が涼やかなものになってきたところだから、体調を崩す者も多いのかもしれない。
医務室に多めにポーションを用意しておいた方がいいかもしれない。
第二補佐官に言って早めに用意してもらおう。
「リヒト様! 昨年に引き続き、我が国の魔虫討伐にご協力いただき、ありがとうございました!」
三年生の教室に入るなり、プタン王国のローナン王子がそう声をかけてきた。
「いえ、今年は二年生の実技訓練として行ってもらいましたから、私へのお礼は不要です」
しかし、魔法の実技訓練とはいえど、魔物討伐を頑張った学生たちには報酬が必要だろうか?
「頑張ってくれた二年生には学園側から何か報酬を与えた方がいいでしょうか?」
「それならば問題ございません! 私の方で用意させていただきました!」
「ローナン王子が用意してくださったのですか?」
どうやら、ローナン王子に気を使わせてしまったようだ。
「はい! リヒト様の昨年の魔虫討伐の活躍を話して聞かせてあげました!」
「ローナン王子……それは決して、報酬にはなり得ないかと思います」
「そんなことないですよ? 二年生はとても喜んでおりました!」
ローナン王子には全く悪気はないのだろうが、二年生はきっと不満を抱いたことだろう。
あの巨大で気持ちの悪い魔虫の討伐の報酬が、私の話などと……
「リヒト王子が魔虫を瞬殺した話をしてあげると、二年生は大興奮で、もっとリヒト様の話を聞かせてほしいとせがまれました!!」
「……ローナン王子、私の属性などについて話してしまったということですか?」
「いえ、リヒト様の一撃必殺の魔法で一瞬で魔虫が消えてしまったということしか話しておりません」
そんなぼんやりとした話で喜ぶのは幼稚園児か小学一、二年生くらいまでではないだろうか?
なんだ? 一撃必殺って?
結局、私はハバルを通して二年生に報酬の希望を聞くことにした。
その結果、すでにローナン王子からもらっているから特に必要ないという返答が返ってきた。
ハバルも魔虫討伐は魔法の実技授業のため、過度な報酬は必要とせず、ローナン王子が与えた報酬くらいがちょうどいいだろうという話だった。
え? 本当に、私の過去の失敗の話なんかでいいのだろうか?
巨大バッタが気持ち悪すぎて光属性の広範囲魔法を使って消し炭にしてしまったことは、私にとっては反省すべき失敗だったのだが……
********
ファンタジー大賞エントリー中。
『猫公爵と氷雪令嬢 ~政略結婚だけどヘタレ公子は無表情令嬢と熱愛希望~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/135536470/461991303
こちらもよかったら読んでみてくださいね~!
応援していただけますととっても嬉しいです☆
今年もたくさんの王族や貴族たちが受験してくれ、入学している。
今年は王族よりも上級貴族の方が多い。
入学式の際には思わず、この中でどれくらいの生徒たちが講師である魔塔の魔法使いたちを怒らせることなく強制退学にならずに済むのだろうかと憐憫を持って見渡してしまった。
そんな新入生たちのことはもちろん気にしてあげたいところなのだが、私にはそれ以上に気になることがあった。
それは、私、リヒトをはじめとした『星鏡のレイラ』の登場人物たちの年齢だ。
ゲームでは、ヒロインのナタリアが攻略対象の誰か一人を選び、エンディングが決定するのは十四歳だった。
それが今年なのだ。
私とカルロはある意味、攻略対象からは脱落している状態だ。
ゲームのようにナタリアが将来を共にする相手を選ぶ年となるのか、それともこれほどゲームと変わってしまった場合には、ゲームとは関係なく進むのかはわからない。
これまでこの世界で運命を変える役割を持っていた異世界の者たちと、もしも私が同じ役割を担っているのだとしたら、ゲームが見せていたのは変えるべき未来だったのだろうから、ゲームのことなどもはや関係ないのかもしれない。
しかし、私が気になっているのは飽き人くんの言っていた魔王という存在だ。
飽き人くんは前世のゲームの続編でカルロが魔王として登場したと言っていたけれど、それは魔塔主が否定してくれた。
魔王とは精神体であり、カルロが必ず魔王になるということではないし、今のカルロの状態ならば魔王に取り憑かれる可能性は極めて低いと言っていた。
「リヒト様? どうされましたか?」
カルロが眉尻を下げて私の顔を覗き込んできた。
今は始業式前だ。
調べたところで知ることもできないし、考えたところで結論も出ないことを考えるよりも、王子、王女たちを自国の国民のために尽力できる人材へと育てることのほうが大切だろう。
私は登壇して大講堂に集まる二年生と三年生を見渡して微笑んだ。
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……みんな、風邪の引き始めだろうか?
夏の暑さが落ち着き風が涼やかなものになってきたところだから、体調を崩す者も多いのかもしれない。
医務室に多めにポーションを用意しておいた方がいいかもしれない。
第二補佐官に言って早めに用意してもらおう。
「リヒト様! 昨年に引き続き、我が国の魔虫討伐にご協力いただき、ありがとうございました!」
三年生の教室に入るなり、プタン王国のローナン王子がそう声をかけてきた。
「いえ、今年は二年生の実技訓練として行ってもらいましたから、私へのお礼は不要です」
しかし、魔法の実技訓練とはいえど、魔物討伐を頑張った学生たちには報酬が必要だろうか?
「頑張ってくれた二年生には学園側から何か報酬を与えた方がいいでしょうか?」
「それならば問題ございません! 私の方で用意させていただきました!」
「ローナン王子が用意してくださったのですか?」
どうやら、ローナン王子に気を使わせてしまったようだ。
「はい! リヒト様の昨年の魔虫討伐の活躍を話して聞かせてあげました!」
「ローナン王子……それは決して、報酬にはなり得ないかと思います」
「そんなことないですよ? 二年生はとても喜んでおりました!」
ローナン王子には全く悪気はないのだろうが、二年生はきっと不満を抱いたことだろう。
あの巨大で気持ちの悪い魔虫の討伐の報酬が、私の話などと……
「リヒト王子が魔虫を瞬殺した話をしてあげると、二年生は大興奮で、もっとリヒト様の話を聞かせてほしいとせがまれました!!」
「……ローナン王子、私の属性などについて話してしまったということですか?」
「いえ、リヒト様の一撃必殺の魔法で一瞬で魔虫が消えてしまったということしか話しておりません」
そんなぼんやりとした話で喜ぶのは幼稚園児か小学一、二年生くらいまでではないだろうか?
なんだ? 一撃必殺って?
結局、私はハバルを通して二年生に報酬の希望を聞くことにした。
その結果、すでにローナン王子からもらっているから特に必要ないという返答が返ってきた。
ハバルも魔虫討伐は魔法の実技授業のため、過度な報酬は必要とせず、ローナン王子が与えた報酬くらいがちょうどいいだろうという話だった。
え? 本当に、私の過去の失敗の話なんかでいいのだろうか?
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