不憫な推しキャラを救おうとしただけなのに【幼児ブロマンス期→BL期 成長物語】

はぴねこ

文字の大きさ
243 / 292
魔法学園<二年生>編

241 リハビリ期間 01

 見舞いに来てくれたハバル曰く魔塔の総力を結集したという魔導具により、私は筋力を以前の状態に戻すリハビリを行った。
 魔導具は腰、腕、腿にそれぞれ装着するタイプで、全身の筋力強化を行なってくれた。

 魔導具をつけていれば数時間座っていたり、歩くことも可能なため、以前のように仕事を行うことは可能だった。
 しかし、魔導具を外しても以前のように動けるようになるまでは仕事をしてはいけないと両親にも乳母にも、他の面々にも言われてしまい、リハビリ以外の時間は子供の頃のように読書したり、魔塔主から魔法の訓練を受けたりして過ごした。

 もちろん、この場合の魔法の訓練とは、私が魔塔主の実験体になることと同義である。
 私としては剣の訓練も再開したかったのだが、それは全員に止められた。
 私の剣の指南役である騎士団長からも断られてしまったため、私は大人しく無難な筋力トレーニングから始めた。

 魔導具の性能が素晴らしくて調子に乗った私は腕立て伏せを100回やろうとしたが、それはカルロとヘンリックによって止められた。
 二人にかなり怒られた。

 ふた月も眠ってしまっていたのだから、せめて魔法学園に通う生徒たちの王国には迷惑をかけたことへの詫び状を出そうと思ったのだが、それは不要というか、むしろそれをしてしまうと問題になると第一補佐官が教えてくれた。

 第一補佐官が説明してくれたことによる、私が意識を失ってその後も意識を取り戻さないということを伝えてあるのはオーロ皇帝にだけで、各国には知らせていないそうだ。

 その方がいいと言ったのは生徒たちの方だそうだ。

 私が長い間意識を失っているというのはエトワール王国の弱点であり、弱っている時には必ずそこに付け込もうとする者が寄ってくるだろうと考えた生徒たちは、自身の両親がそうならないように私の件は口を閉ざしておいてくれるということだった。

 しかし、二年生の団結力だけではそれは無理であり、元々私に近づくために魔法学園に入った一年生たちは話してしまうのではないかと思ったが、そこは魔塔の契約書で縛ったそうだ。

 しかも、今回は、二年生全員で一年生を脅したそうだ……
 その結果、一年生の全員が私の早い復帰を願ってくれているらしい。
 よほど二年生が怖かったのだろう。

「そのようにリヒト様を守ってくれた皆様への感謝の意もこめて、今年のリヒト様の誕生日パーティーは例年よりも大々的に行う予定です」

 そうして、私のリハビリ期間に誕生日会の準備が加わった。
 リハビリ期間には一切の仕事をしてはいけないと言われていたために、それなら盛大な誕生日パーティーも行わなくていいのだろうと気を緩めていたら、まさかの展開に私はがっかりした。

 誕生日は家族だけで軽いお祝いで充分だと思っている私にとっては貴族を招いていの誕生日パーティーは公務だ。
 書類仕事よりもだいぶ面倒な仕事なのだが……

 しかし、それが今回迷惑をかけた学友へのお詫びになるというのならばするしかないのだろう。

 ちなみに、学友たちへの招待状は私が書かせてもらえることになった。
 最初はそれも第一補佐官に断られたのだが、学友たちへの招待状は手紙を書くのと変わらないからほぼ仕事ではないと暴論を展開したら苦笑しながら許してくれた。

 今年の二年生の授業を参考に来年の二年生の教科書案を作ろうとしてもそれは仕事だと禁止され、それなら来年の魔法学園の授業内容を考えたり、スケジュールを考えようとすればそれも仕事だと紙とペンを取り上げられてしまった。

 それなら、私もフェリックスの飛行魔導具の作成に加わろうかと思ったら、カルロとヘンリックに叱られた。

 王宮図書館の本は全て読んでしまっているし、この世界では1年間にほんの数冊しか新しい本が生み出されず、残念ながら私が眠っている間に出版された本はない。

 すでにお気に入りの本の再読は一周してしまい、本当にすることがなくて暇だったのだ。
 二年生の学友に少し長めの招待状を書くのもいいだろう。
 一年生にも定型分に一文、二文、付け加えよう。

「リヒト様、オーロ皇帝と皇太子殿下への招待状もお願いしてもよろしいでしょうか?」
「任せてください!」

 第一補佐官に私は張り切って答えた。

 オーロ皇帝と皇太子に手紙をしたためるとかいつもなら絶対にしないのだが、退屈は人の判断能力を奪うのだった。




感想 30

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。 ボクの名前は、クリストファー。 突然だけど、ボクには前世の記憶がある。 ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て 「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」 と思い出したのだ。 あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。 そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの! そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ! しかも、モブ。 繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ! ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。 どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ! ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。 その理由の第一は、ビジュアル! 夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。 涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!! イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー! ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ! 当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。 ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた! そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。 でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。 ジルベスターは優しい人なんだって。 あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの! なのに誰もそれを理解しようとしなかった。 そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!! ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。 なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。 でも何をしてもジルベスターは断罪された。 ボクはこの世界で大声で叫ぶ。 ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ! ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ! 最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ! ※表紙その他のイラストはAIにて作成致しております。(文字指定のみで作成しております) ⭐︎⭐︎⭐︎ ご拝読頂きありがとうございます! コメント、エール、いいねお待ちしております♡ 「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中! 連載続いておりますので、そちらもぜひ♡

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み