不憫な推しキャラを救おうとしただけなのに【幼児ブロマンス期→BL期 成長物語】

はぴねこ

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魔法学園<二年生>編

264 適任者 05

 集まった人々の多さに愕然としている私の隣に大きな気配が立った。

「其方がこれまで隠していたものを披露すると言えばまぁ、こうなるであろうな」
「オーロ皇帝はどうしてここにいるのですか?」
「アニーアの女王の報告の中に面白いものが見れそうだと書いてあったからな」

 アニーア王国の女王は我々との晩餐の後にすぐ国に帰っていたが、その後、オーロ皇帝に余計な報告をしたようだ。

「そういえば、今、我が帝国内の王国の王族や貴族たちの間ではある噂が流れているそうだぞ?」
「噂、ですか?」
「ああ。これまで私が見逃していた悪事もリヒトは見逃してはくれず、私がリヒトに裁定者としての権限を認めたという噂らしい」
「完全なる誤解ではないですか」

「そうでもなかろう」とオーロ皇帝が笑った。

「ハンスギア王国の王族がバカなのは問題だとは思っていたが、魔獣が狩られることは私は特に何も思っていなかった。バカな王族を構っている時間はなかったから放置していたが、その結果、国民は私が思っていたよりもひどい状況のようだから、私が放置していたバカを処罰してくれたリヒトを神のように崇める国民もいるだろう。それに、其方に王族を罰する許可を与えたのは私だからな、裁定者としての権限を与えたというのもあながち間違いではない」

 大きな手が私の頭を撫でた。

「そういうことだから、ハンスギア王国のことは最後まで面倒を見てくれ」

 そう言ったオーロ皇帝を私はジト目で見る。

「王と王妃の最終的な断罪は私がまだ子供だからとオーロ皇帝が預かってくれたのですから、ハンスギア王国の後の問題もオーロ皇帝が処理していただければいいと思います。私は子供ですので」
「子供とは言ってもあと二年で成人ではないか? 成人した時のために重鎮や役職を持つ貴族たちの見直しなど、国政改革を経験しておいて損はないだろう」
「オーロ皇帝の直轄地としてしまえば一番楽だと思います」
「まだ若いのに楽をしようとするな」

 高らかにオーロ皇帝は笑った。
 私の頭をぐしゃぐしゃと撫でるオーロ皇帝の手を魔塔主が掴んで止める。

「リヒト様、舞台は整いましたよ」

 オーロ皇帝のせいで私の髪が乱れていたのか、カルロが櫛で整えてくれる。

「魔塔主が整えたのは、光の聖剣のデータを取るための準備でしょう?」

 そのために魔塔主は魔塔の魔法使いたちとオルニスの者たちを揃えたのだ。
 なんか見たことのない魔導具が色々と用意されている。

「細かいことを気にする必要はありませんよ」

 国ひとつを簡単に吹き飛ばすことができる魔法使いとは思えないほどの爽やかないいい笑顔である。

「リヒト様、本当によろしいのでしょうか?」

 騎士団長は言葉とは裏腹にワクワクした様子だ。

「ハンスギア王国の騎士団を使うために披露するのならば、我が国の騎士団に見せて欲しいと言ったのは騎士団長ではないですか?」
「要望を聞き入れていただいたこと深く感謝しております」

 第五補佐官にはハンスギア王国の建国神話について調べてもらった。
 案の定、ハンスギア王国の建国神話もエトワール王国の建国神話とさして変わらず、光の聖剣を持った者が国を創っていた。

 ハンスギア王国の自滅に自国の騎士団を巻き込むつもりのなかった私は、ハンスギア王国の問題はできるだけハンスギア王国の者たちに解決してもらうことにしたのだ。

 つまり、ハンスギア王国の貴族を鎮静化させるための軍事制圧が必要ならば、それを行うのはハンスギア王国の武力を使えばいいだろうという結論を得て、騎士団憧れの建国神話の英雄の力を借りることにしたのである。

 第五補佐官からハンスギア王国の建国神話についての報告を受けたのが昨日の昼過ぎであり、その後に両親にハンスギア王国の騎士たちを使うために光の聖剣を彼らに見せることにしたという報告をすれば、父上と母上は自分たちも見たいと言い出し、宰相が他国の騎士が先にエトワール王国の王子である私の光の聖剣を見るのはおかしいと言い出し、騎士団長を呼び出して話をしたところ、このような場を設けることになってしまった……

 私が想像していたよりもずっと、光の聖剣とはすごい威力があるようだ。
 魔法の攻撃力という意味ではなく、権威的な意味で。

「リヒト様、浮遊で後ろの騎士たちにもリヒト様の姿が見えるようにしないとですよ。光の聖剣の大きさも大剣でお願いします。後ろにいる者たちにも見えるように」

 魔塔主が色々と細かい注文をしてくる。
 魔塔主のことは面倒ではあったが、我が国の騎士たちの期待には応えたいと思った。
 私は素直に浮遊の魔法で訓練場全てが見渡せる高さまで昇り、手のひらに光属性の魔力を集めるように意識を集中させた。
 ただの光の塊ではなく、できるだけ彼らには美しい剣を見せてあげたいと思った。

 私の手に光の聖剣が現れると、歓声が響き渡った。


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