【本編完結】蜂の王 〜 触れられなくてもそばにいたい 〜

はぴねこ

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【番外編】 2823キール

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「ん……」

 蜂の王の巣の中で、俺たちは肌を触れ合わせた。

 何度もその腕にメス蜂たちを抱いてきたであろうS蜂の木蓮の腕は思った以上にずっと細く、体は華奢で、肌は柔らかく、俺は木蓮の体を思いっきり抱きしめることに戸惑った。

 ただただ、柔らかく真綿のように包み込んでやりたくて、俺は自分でも驚くほど慎重に木蓮の肌に触れた。
 木蓮は俺の指が触れるたびにその身を震わせたり、甘い声を漏らした。

「敏感だな」

 こんなに敏感でこれまでどうやってメス蜂を満足させてきたのだろうか?

「キール、だから……」

 木蓮が小さな声で言った。

「僕、こんなに感じたことないのに……」

 つまり、普段はこんなに敏感じゃないってことだろうか?

「キールに触れられると、それだけで……」

 俺が触れたから、こんなに敏感に反応しているというのか?

 木蓮の潤んだ瞳が俺をまっすぐに見つめてきて、その艶かしさだけで俺は果てそうになる。

「木蓮……」

 俺は気を紛らわすように木蓮にキスをした。
 まだ木蓮の中に入ってもいないのに果てるわけにはいかない。

 木蓮はまだ処女なのだから、しっかり解す必要がある。
 メス蜂のように体が変化していて、自然と濡れるはずだとゼスからは説明を受けているが、それでも木蓮の体の負担はできるだけ減らしたい。
 それに、何より、木蓮に気持ち良くなって欲しい。

 だから、丁寧に、やわやわな全身を愛撫したい。
 それなのに……

「っ……」
「キール、大丈夫?」

 木蓮と始まりの合図のようなキスをしたところから徐々にそそり立ってきていた俺の俺が痛い。
 これまでこんなになったことがなかったから、痛くなるなんて小説や漫画だけの話だと思っていた。

 木蓮は俺の張り詰めたものを見つめ、その頬を染める。
 そんな木蓮の表情のちょっとした変化だけでも俺のものはさらに主張して痛みが増す。

 ただでさえ、そんな情けない状況なのに、何を思ったのか、木蓮が俺のものに触れた。
 細く、滑らかな指が俺のものに触れた瞬間、俺は思わず声を漏らし、中身が破裂するように出てしまった。

「わっ!」

 勢いよく飛び出した白い液体は木蓮の美しい顔を汚した。
 そのため、俺は自分の情けなさに落ち込んでいる暇もなく、慌ててティッシュで木蓮の顔を拭った。

「ごめん! 木蓮!」
「んーん。大丈夫」

 そう言いながら、木蓮は口元についていた白色の液体をペロリと舐めた。

「木蓮! 何してるんだ!?」
「変な味」

 無邪気に笑う木蓮のそんな姿だけで、俺の俺は反応して、また起き上がってきた。

「もう……すごい」

 そう再び俺の俺に手を伸ばしてきた木蓮の手を俺は慌てて掴んだ。

「木蓮、もう俺に情けない思いをさせないでくれ」
「……ごめん」

 無邪気に笑う木蓮の体を再びベッドに押し倒して、俺は木蓮に覆い被さる。

「木蓮は動くの禁止ね。俺に任せて」

「わかった」と素直に頷く姿が可愛くて、今度は心臓が酷く痛んだ。
 木蓮と一緒にいたら、もしかすると俺は幸せすぎてあっという間に寿命が縮んでしまうんじゃないだろうか?

「木蓮。俺、ちゃんと木蓮のことを守り抜きたいから、あんまり可愛くなりすぎないでほしい」

 俺の言葉が理解できなかったのか、木蓮が少し不思議そうな顔をした。
 それから木蓮はすぐに理解することを諦めたのか、にこりと微笑んだ。

「キールのことは僕が守ってあげるから、これからも一緒にいようね」

 やっぱり心臓が潰れそうなほど痛くて、俺は呼吸の仕方を思い出すために木蓮に深く口付けた。




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