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プロローグ
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「ルシファー様、こちらはマリアージュ・スールのウーバ・ハイランズです」
そう言って、端正な顔立ちの青年が俺の前にティーカップを置く。何やら呪文のような名前を言っていたが、要するに最高級茶葉という理解で間違いないだろう。
「ありがとう」
俺は紅茶を一口飲み、口内に広がる香りと深い味わいを堪能する。
「また腕を上げたみたいだね」
「ルシファー様に美味しい紅茶を飲んでいただきたい一心で精進しております」
実に爽やかな品性漂う笑顔だ。
真っ白なシャツに黒い執事服を身に纏った青年は俺の専属の執事だ。
俺は白い皿に並べられたクッキーを一枚手に取り、一口噛んだ。それはサクッといい食感がして、次いで、甘い香りが口内を満たした。
「このクッキーも美味しいね」
「はい。丹精込めて作らせていただきました」
やはりか……と、俺は笑顔のまま執事を見る。
「執事の仕事だけでも忙しいんだから、おやつは厨房の者に任せたらいいと思うよ?」
「ルシファー様のお身体を構成するものを他の者に任せるなどできません。しかし、まだ料理は修行中ですから、料理長にルシファー様のお食事を作る栄誉は譲っておりますが……」
そこでなぜか彼は悔しそうな表情を見せる。
「いや、本当に忙しいんだから、無理しないで……」
その時、外から騎士たちの声が響いた。
「ワイバーンだ! ワイバーンが出たぞ!!」
その声に急いでベランダに出て空を見ると、確かに一匹のワイバーンの姿を見つけることができた。それも、こちらに向かってきているようだ。
大きな翼を羽ばたかせて急速にこちらへと向かってきたワイバーンは、まるでいい標的でも見つけたかのようにその口を開き、何かを溜めるように頭を上に向けた。おそらく火を吹くのだろう。
チッ! と、舌打ちが聞こえて隣を見れば、執事の端正な顔が歪み、額に深いしわが刻まれていた。
しかし、執事は俺の視線に気づくと、すぐにその表情を取り繕った。
「ルシファー様、少しの間、お傍を離れることをお許しください」
「ああ。気をつけてな」
執事はベランダの柵に足をかけて踏み込むと、ワイバーンへ向かって一気に跳躍した。
まるで飛行魔術でも使っているかのような跳躍力だ。
ワイバーンの口から放たれた火球をいつの間にか手にしていた剣で切り裂き、ワイバーンの上顎というか、鼻の上に左手をかけると一回転してワイバーンの頭の上に着地した。
そして、剣を振りかぶると、ワイバーンの頭頂部に突き刺した。
ワイバーンは痛ましい悲鳴をあげて上空から落下し、騎士たちは歓声を上げた。
「……」
ワイバーンの頭から地面に着地して騎士団長と一言二言言葉を交わした執事を見ていると、執事は不意に俺の方へと視線を向けて笑顔で手を振ってくれた。
俺はその執事になんとも言えない気持ちで手を振り返す。
彼と出会ったのは俺がまだ六歳の頃だった。
俺は彼を弟のように可愛がり、その成長を見守ってきたのだが……どうして、こんな"とんでも執事”に育ってしまったのだろうか?
そう言って、端正な顔立ちの青年が俺の前にティーカップを置く。何やら呪文のような名前を言っていたが、要するに最高級茶葉という理解で間違いないだろう。
「ありがとう」
俺は紅茶を一口飲み、口内に広がる香りと深い味わいを堪能する。
「また腕を上げたみたいだね」
「ルシファー様に美味しい紅茶を飲んでいただきたい一心で精進しております」
実に爽やかな品性漂う笑顔だ。
真っ白なシャツに黒い執事服を身に纏った青年は俺の専属の執事だ。
俺は白い皿に並べられたクッキーを一枚手に取り、一口噛んだ。それはサクッといい食感がして、次いで、甘い香りが口内を満たした。
「このクッキーも美味しいね」
「はい。丹精込めて作らせていただきました」
やはりか……と、俺は笑顔のまま執事を見る。
「執事の仕事だけでも忙しいんだから、おやつは厨房の者に任せたらいいと思うよ?」
「ルシファー様のお身体を構成するものを他の者に任せるなどできません。しかし、まだ料理は修行中ですから、料理長にルシファー様のお食事を作る栄誉は譲っておりますが……」
そこでなぜか彼は悔しそうな表情を見せる。
「いや、本当に忙しいんだから、無理しないで……」
その時、外から騎士たちの声が響いた。
「ワイバーンだ! ワイバーンが出たぞ!!」
その声に急いでベランダに出て空を見ると、確かに一匹のワイバーンの姿を見つけることができた。それも、こちらに向かってきているようだ。
大きな翼を羽ばたかせて急速にこちらへと向かってきたワイバーンは、まるでいい標的でも見つけたかのようにその口を開き、何かを溜めるように頭を上に向けた。おそらく火を吹くのだろう。
チッ! と、舌打ちが聞こえて隣を見れば、執事の端正な顔が歪み、額に深いしわが刻まれていた。
しかし、執事は俺の視線に気づくと、すぐにその表情を取り繕った。
「ルシファー様、少しの間、お傍を離れることをお許しください」
「ああ。気をつけてな」
執事はベランダの柵に足をかけて踏み込むと、ワイバーンへ向かって一気に跳躍した。
まるで飛行魔術でも使っているかのような跳躍力だ。
ワイバーンの口から放たれた火球をいつの間にか手にしていた剣で切り裂き、ワイバーンの上顎というか、鼻の上に左手をかけると一回転してワイバーンの頭の上に着地した。
そして、剣を振りかぶると、ワイバーンの頭頂部に突き刺した。
ワイバーンは痛ましい悲鳴をあげて上空から落下し、騎士たちは歓声を上げた。
「……」
ワイバーンの頭から地面に着地して騎士団長と一言二言言葉を交わした執事を見ていると、執事は不意に俺の方へと視線を向けて笑顔で手を振ってくれた。
俺はその執事になんとも言えない気持ちで手を振り返す。
彼と出会ったのは俺がまだ六歳の頃だった。
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