23 / 47
23 大人
しおりを挟む
「ネルとミラのおかげで魅惑の誘惑から逃れられたからよかったけど、二人とも早く精霊の森に帰らないとダメだよ?」
僕は二人を連れてゼノビアの屋敷から出て街の宿屋に3人一部屋の部屋を取った。
ゼノビアはネルとミラも屋敷にいればいいと言ってくれたけど、「お上品な礼儀作法がわからないから街の宿がいい」と言うミラの言葉にゼノビアたちは折れてくれたのだ。
おそらく、ミラのニーナへの態度を心配してのことだろう。
オスカーを庇っていること自体大事なのに、ニーナに何かあればオスカーの兄だけでなく、王までも挙兵するかもしれない。
王様は一人娘のニーナのことを溺愛しているそうだ。
それにしても、オスカーとニーナの父親であるこの国の王様は一体どんな人物なのだろうか?
第一王子が勝手に始めた王位継承権をかけた争いを放置しているなんて。
王様が介入して、誰を王太子にするのかはっきりしてしまえばいいのではないだろうか?
王子たちの能力を見るために争わせるにしても、その方法を提示したり、命の危険がないように配慮することくらいはできそうなのに。
第一王子が自分が王太子と決められても邪魔な存在は全て排除しないと気が治らないタイプだったとしても、それはまた別の話だし、優秀な者なんてそこかしこにいるから、そんな人たちを自分が不安だからと殺して回っていては国は立ち行かないだろう。
オスカーが先に反抗的な態度を見せたとかならばまだしも、第一王子の手の者に襲われるようなことがなければオスカーは大人しくしていただろうに……たぶん。
国が滅びそうなほど兄がばかだと判断した時には、妹や婚約者のために愚かな王太子や王様をあっさりと裏切る可能性もありそうだが。
今がその時なのだろうか?
この領地というか、この国にいること自体がヤバイような気がしてきた。
部屋の扉がノックされ、ガルフレッドが顔を出した。
「3人とも、飯どうする?」
「一緒に食べに行きます」
ガルフレッドはいつもゼノビアの屋敷ではなく宿屋を使っているらしい。
貴族の作法とは無縁なため、堅苦しい環境が苦手だという。
屋敷を出る時にオスカーとゼノビアを説得しやすかったのは、ガルフレッドの存在もある。
この宿もガルフレッドのおすすめだ。
安くて、宿屋の主人も気さくでいい人だという。
ただ、元冒険者で体格がかなり良く、頬に傷があることもあって見た目が怖い。
小さな子供が一目見て目に涙を浮かべるレベルの怖さだ。
そのため、冒険者以外の客がこの宿に泊まることは滅多にないらしい。
「子供たちよ、いっぱい食べろよ!」
受付でネルとミラを見た時の主人は感動していたが、今も食堂に来たネルとミラに山盛りの肉と野菜を持ってきてくれた。
お腹壊させる気か?
「あの、ご主人、こんな量を食べたらお腹を壊すので、普通の……小さなサイズでいいです」
「おう、そうか……でも、坊やは二人より大きいからこれくら食べられるだろう!」
宿の主人はそう豪快に笑って僕の前にさらに山盛りの皿を置いた。
「坊やって、僕のことですか?」
「そうだが?」
「僕はもうすぐ成人です!!」
僕の言葉にネルとミラ以外のその場の人々が驚いたように僕を見た。
ガルフレッドまで「え?」っていう顔をしている。
それからガーハッハッハっと一斉に笑い出す。
「わかるよ。大人に憧れる年頃だもんなー!」
「いっぱい食べていっぱい遊んで、早く大きくなれよ!」
「だが、酒はやめとけよ? 小さな体には悪いもんだからよ!」
「この宿を使ってるってことは冒険者希望か?」
「その小さな体じゃ一瞬で魔物の餌食になっちまう!」
「今はまだ年寄りの手伝い程度の依頼にしておけよ?」
大人に憧れる年頃ってなに!?
僕は本当に数ヶ月後には成人なんだけど!?
お酒といえば、貴族は成人になる誕生日に盛大なパーティーを開き、そこで乾杯する。
その時に万が一下戸だったら倒れてしまうかもしれないから、お酒に慣らすために14歳くらいからちょっとずつ飲まされたりするわけだが、僕にはその機会はなかった。
これまではお酒に興味はなかったし、節約していたというのもあって飲んでみようなんて思ったことはなかったけど、飲むとしたらお金に余裕のある今なのではないだろうか!?
ガルフレッドがいるから、僕が酔っ払っちゃってもネルとミラの面倒は見てもらえそうだし!
「店主! 僕にもお酒を一杯ください!」
「ガーハッハッハッ! あいよ!」
店主はジョッキ一杯の金色の飲み物を持ってきてくれた。
僕はそれをごくごくと飲んだ。
「っ!? 美味しい!!」
すごく爽やかでフルーティーな香りのするあま~いリンゴジュースだ!!
「美味しいけど、違う!!」
甘くてすごく美味しいけど、僕が求めているものとは違うんだ!!!
店主はネルとミラにも同じものを持ってきてくれ、二人もごくごくと飲んで満足そうにしている。
「森の果実には劣るけど、まぁまぁね」
「森のものより風味は劣るけど、これこれで」
二人には「精霊の森」や「青の果樹園」「白の泉」なんて言葉は言わないように前もって注意しておいた。
ちなみに、りんごはこの領地の特産らしい。
どおりで甘くて瑞々しくて美味しいわけだ。
僕は二人を連れてゼノビアの屋敷から出て街の宿屋に3人一部屋の部屋を取った。
ゼノビアはネルとミラも屋敷にいればいいと言ってくれたけど、「お上品な礼儀作法がわからないから街の宿がいい」と言うミラの言葉にゼノビアたちは折れてくれたのだ。
おそらく、ミラのニーナへの態度を心配してのことだろう。
オスカーを庇っていること自体大事なのに、ニーナに何かあればオスカーの兄だけでなく、王までも挙兵するかもしれない。
王様は一人娘のニーナのことを溺愛しているそうだ。
それにしても、オスカーとニーナの父親であるこの国の王様は一体どんな人物なのだろうか?
第一王子が勝手に始めた王位継承権をかけた争いを放置しているなんて。
王様が介入して、誰を王太子にするのかはっきりしてしまえばいいのではないだろうか?
王子たちの能力を見るために争わせるにしても、その方法を提示したり、命の危険がないように配慮することくらいはできそうなのに。
第一王子が自分が王太子と決められても邪魔な存在は全て排除しないと気が治らないタイプだったとしても、それはまた別の話だし、優秀な者なんてそこかしこにいるから、そんな人たちを自分が不安だからと殺して回っていては国は立ち行かないだろう。
オスカーが先に反抗的な態度を見せたとかならばまだしも、第一王子の手の者に襲われるようなことがなければオスカーは大人しくしていただろうに……たぶん。
国が滅びそうなほど兄がばかだと判断した時には、妹や婚約者のために愚かな王太子や王様をあっさりと裏切る可能性もありそうだが。
今がその時なのだろうか?
この領地というか、この国にいること自体がヤバイような気がしてきた。
部屋の扉がノックされ、ガルフレッドが顔を出した。
「3人とも、飯どうする?」
「一緒に食べに行きます」
ガルフレッドはいつもゼノビアの屋敷ではなく宿屋を使っているらしい。
貴族の作法とは無縁なため、堅苦しい環境が苦手だという。
屋敷を出る時にオスカーとゼノビアを説得しやすかったのは、ガルフレッドの存在もある。
この宿もガルフレッドのおすすめだ。
安くて、宿屋の主人も気さくでいい人だという。
ただ、元冒険者で体格がかなり良く、頬に傷があることもあって見た目が怖い。
小さな子供が一目見て目に涙を浮かべるレベルの怖さだ。
そのため、冒険者以外の客がこの宿に泊まることは滅多にないらしい。
「子供たちよ、いっぱい食べろよ!」
受付でネルとミラを見た時の主人は感動していたが、今も食堂に来たネルとミラに山盛りの肉と野菜を持ってきてくれた。
お腹壊させる気か?
「あの、ご主人、こんな量を食べたらお腹を壊すので、普通の……小さなサイズでいいです」
「おう、そうか……でも、坊やは二人より大きいからこれくら食べられるだろう!」
宿の主人はそう豪快に笑って僕の前にさらに山盛りの皿を置いた。
「坊やって、僕のことですか?」
「そうだが?」
「僕はもうすぐ成人です!!」
僕の言葉にネルとミラ以外のその場の人々が驚いたように僕を見た。
ガルフレッドまで「え?」っていう顔をしている。
それからガーハッハッハっと一斉に笑い出す。
「わかるよ。大人に憧れる年頃だもんなー!」
「いっぱい食べていっぱい遊んで、早く大きくなれよ!」
「だが、酒はやめとけよ? 小さな体には悪いもんだからよ!」
「この宿を使ってるってことは冒険者希望か?」
「その小さな体じゃ一瞬で魔物の餌食になっちまう!」
「今はまだ年寄りの手伝い程度の依頼にしておけよ?」
大人に憧れる年頃ってなに!?
僕は本当に数ヶ月後には成人なんだけど!?
お酒といえば、貴族は成人になる誕生日に盛大なパーティーを開き、そこで乾杯する。
その時に万が一下戸だったら倒れてしまうかもしれないから、お酒に慣らすために14歳くらいからちょっとずつ飲まされたりするわけだが、僕にはその機会はなかった。
これまではお酒に興味はなかったし、節約していたというのもあって飲んでみようなんて思ったことはなかったけど、飲むとしたらお金に余裕のある今なのではないだろうか!?
ガルフレッドがいるから、僕が酔っ払っちゃってもネルとミラの面倒は見てもらえそうだし!
「店主! 僕にもお酒を一杯ください!」
「ガーハッハッハッ! あいよ!」
店主はジョッキ一杯の金色の飲み物を持ってきてくれた。
僕はそれをごくごくと飲んだ。
「っ!? 美味しい!!」
すごく爽やかでフルーティーな香りのするあま~いリンゴジュースだ!!
「美味しいけど、違う!!」
甘くてすごく美味しいけど、僕が求めているものとは違うんだ!!!
店主はネルとミラにも同じものを持ってきてくれ、二人もごくごくと飲んで満足そうにしている。
「森の果実には劣るけど、まぁまぁね」
「森のものより風味は劣るけど、これこれで」
二人には「精霊の森」や「青の果樹園」「白の泉」なんて言葉は言わないように前もって注意しておいた。
ちなみに、りんごはこの領地の特産らしい。
どおりで甘くて瑞々しくて美味しいわけだ。
126
あなたにおすすめの小説
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる