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第三章 魔道具を作ろう
リィカ、不機嫌中
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「いやぁ、すごかったね」
馬車の中、笑うサルマに、リィカはムスッとしている。
《水蒸気爆発》の大爆発で、宿やその周辺は大騒ぎになった。
当たり前である。
建物などに被害が出なかったのは、不幸中の幸いだ。
謝罪するリィカに付き添ったのがアレクだ。
そして、そのアレクに思い切り怒られた。
ここまでは、まあいい。自分がやらかしたのだから、しょうがない。
しかし、もう一人の当事者であるはずのユーリには、一切のお咎めなしで、本人も素知らぬ顔だ。
ついでに、迷惑を掛けたんだから償え、とアレクに言われて、気が付けばデートの約束を取り付けられていたのは、一体どういうことなのか。
絶対におかしい。
それなのに、誰も取り合ってくれない。
リィカは、絶賛不機嫌中だった。
ユーリは、リィカの不機嫌な様子を見ながら、心の中だけで謝罪する。
リィカを煽ったのは、自分だ。だから、一緒に謝ろうとしたのだ。
だというのに、気付けばアレクが割り込んでいた。
横目で睨まれて、引き下がった。
素知らぬ振りをする以外に、ユーリに手はなかった。
リィカとのデートを取り付けたアレクの手腕には、感心するしかない。
(そういうの、苦手だったはずなんですけどねぇ)
王宮にいた頃は、良くも悪くも、正面からぶつかっていくことしかできなかったはずなのに、リィカを口先で丸め込んで、デートの約束を取り付けてしまった。
手腕を発揮する方向性を間違えている気はするが、まあそこはいい。
(すいませんね、リィカ)
何をどう言った所で、アレクとリィカ、どちらの味方をするかと聞かれれば、自分はアレクの味方をする。
大切な友人の、初恋が叶って欲しい。
振り回されるリィカには申し訳ないとは思うが、可能な限りアレクに協力していくつもりでいた。
「それにしても、混成魔法、だっけ? 噂に聞いたことはあるけど、リィカちゃん、あんなのも使えたんだね」
リィカの不機嫌を物ともしないのがサルマだ。
気にせずに話しかけている。
「……使ったの、初めてですけど」
ムスッとしながらでも、無視はできないのか、返事はするリィカだ。
「へえ。初めてで、あんなに使えるものなんだ」
「ずっと上手くできなかったんですけど、魔道具作りで、魔力を使うのがすごくやりやすくなったから、できるかなって……」
できると思って、やりたいと思ってしまったのが、間違いだった。
我慢すれば良かったのに、それができなかった自分が悪い。とは思っていても、どうしても不機嫌になるリィカだ。
「魔道具作るのにそんな効果があるとはねぇ。でも、悪いことじゃないんだから、いいじゃないか」
サルマが不意に声を潜めた。
「(デートの一回くらい、付き合ってやんなさい。あんな理由こじつけないとデートにも誘えないって、可愛いもんだよ)」
不満そうな顔をしたリィカの背中を叩けば、さらに嫌そうな顔をされた。
馬車の中、笑うサルマに、リィカはムスッとしている。
《水蒸気爆発》の大爆発で、宿やその周辺は大騒ぎになった。
当たり前である。
建物などに被害が出なかったのは、不幸中の幸いだ。
謝罪するリィカに付き添ったのがアレクだ。
そして、そのアレクに思い切り怒られた。
ここまでは、まあいい。自分がやらかしたのだから、しょうがない。
しかし、もう一人の当事者であるはずのユーリには、一切のお咎めなしで、本人も素知らぬ顔だ。
ついでに、迷惑を掛けたんだから償え、とアレクに言われて、気が付けばデートの約束を取り付けられていたのは、一体どういうことなのか。
絶対におかしい。
それなのに、誰も取り合ってくれない。
リィカは、絶賛不機嫌中だった。
ユーリは、リィカの不機嫌な様子を見ながら、心の中だけで謝罪する。
リィカを煽ったのは、自分だ。だから、一緒に謝ろうとしたのだ。
だというのに、気付けばアレクが割り込んでいた。
横目で睨まれて、引き下がった。
素知らぬ振りをする以外に、ユーリに手はなかった。
リィカとのデートを取り付けたアレクの手腕には、感心するしかない。
(そういうの、苦手だったはずなんですけどねぇ)
王宮にいた頃は、良くも悪くも、正面からぶつかっていくことしかできなかったはずなのに、リィカを口先で丸め込んで、デートの約束を取り付けてしまった。
手腕を発揮する方向性を間違えている気はするが、まあそこはいい。
(すいませんね、リィカ)
何をどう言った所で、アレクとリィカ、どちらの味方をするかと聞かれれば、自分はアレクの味方をする。
大切な友人の、初恋が叶って欲しい。
振り回されるリィカには申し訳ないとは思うが、可能な限りアレクに協力していくつもりでいた。
「それにしても、混成魔法、だっけ? 噂に聞いたことはあるけど、リィカちゃん、あんなのも使えたんだね」
リィカの不機嫌を物ともしないのがサルマだ。
気にせずに話しかけている。
「……使ったの、初めてですけど」
ムスッとしながらでも、無視はできないのか、返事はするリィカだ。
「へえ。初めてで、あんなに使えるものなんだ」
「ずっと上手くできなかったんですけど、魔道具作りで、魔力を使うのがすごくやりやすくなったから、できるかなって……」
できると思って、やりたいと思ってしまったのが、間違いだった。
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「魔道具作るのにそんな効果があるとはねぇ。でも、悪いことじゃないんだから、いいじゃないか」
サルマが不意に声を潜めた。
「(デートの一回くらい、付き合ってやんなさい。あんな理由こじつけないとデートにも誘えないって、可愛いもんだよ)」
不満そうな顔をしたリィカの背中を叩けば、さらに嫌そうな顔をされた。
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