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第十章 カトリーズの悪夢
暁斗の戦い①
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ハルバードを持つ男が、暁斗に斬りかかってきた。
大きく振りかぶって、振り下ろす。
「――くそっ」
暁斗はそれを後ろに下がって躱す。
難なく躱せたが、向こうの方がリーチが長い。
懐に入り込まなければ、ダメージも与えられない。
「……………!」
そこまで考えて、重要なことに気付いた。
魔法は使えない。
剣技は使えるみたいだが、剣技だけではダメージは与えられない。
(魔力付与はできるの?)
できなければ、魔族にダメージを与える方法がない。
ハルバードが、横から振るわれる。
暁斗は、聖剣に魔力を纏わせる。
さらに、魔力の付与をする。
――できた。
「【獅子斬釘撃】!」
発動させた剣技は、ハルバードを弾く。
「よし!」
間を置かず、相手に詰め寄ろうとする。
「――暁斗!」
響いた父の声に、足を止めた。
赤い毛色の、馬の魔物が横から突進してきた。
「――くっ!」
咄嗟に聖剣を盾代わりにしたものの、勢いは殺せずにそのまま跳ね飛ばされる。
「うあああぁぁぁぁぁ!」
地面に叩き付けられ、転がって、痛みに悲鳴を上げる。
――ブオン!
悲鳴を上げながらもその音を聞けたのは、幸いなのか、不幸なのか。
暁斗が目を開けると、目の前にモーニングスターのトゲトゲのついた鉄球が迫っていた。
それを認識しても、体が動かない。
思わず目を瞑った。
「【光速剣】!」
光の、横に切り払う剣技。
泰基の声だ。
暁斗が目を開けると、モーニングスターの鉄球は、離れた場所にある。
(父さんが、弾き飛ばしてくれたんだ)
そう理解して、泰基を見ようとしたら、先に声を掛けられた。
「気をつけろ、暁斗! 一対一じゃないんだ!」
その叫びにハッとして、視線を敵に戻す。
元々、暁斗は対複数を相手にするのが苦手だった。
魔物を相手に、多少は慣れてきたとは言っても、苦手意識は残ったままだ。
まして、今回の相手は魔物と魔族の混合。そこに中距離武器の攻撃まで飛んでくる。
対するこちらは、魔法が使えない。
「不利すぎだよ……」
思わず、そうこぼす。
ハルバードを持つ魔族はニヤッと笑い、馬の魔物に手をやる。
「我が名はポタルゴス。そして、こいつの名はピュールだ。勇者よ、勝負だ」
暁斗は顔をしかめる。
厄介だった。
(そう考えると、あの結界って一対一で戦えるから、まだ戦いやすかったかも)
魔族が発動させる黒い結界。
結界の効果は頂けないが、誰の邪魔が入ることもなく、戦う事ができたのだ。
暁斗は聖剣を構える。
『魔力を流せ、アキト。あの武器と打ち合える』
(分かった)
聖剣の声に、簡潔に答えた。
※ ※ ※
時は遡り、ユグドラシルの島でのこと。
バルと手合わせをした。魔剣との初対決だ。
バルが、魔剣に魔力を流して強度を増してきた時、聖剣が言ったのだ。
『アキト! 魔力を流せ!』
何のことか分からないままに、魔力付与をするかのように魔力を流せば、魔力が聖剣を覆った。
覆った魔力がバルの魔剣の威力を受け止め、火花を散らしながら弾いた。
『フン、小童が調子に乗るな』
(……小童って)
『魔剣となって千年程度だ。小童で十分』
どういうこと、と思いながらも、その言い様に思わず「あはは」と引き攣った笑いが零れてしまったのだが。
魔力付与をするときは、剣技を発動時か、エンチャントの魔法に対してか、どちらかの時に行っていた。
しかし、実は聖剣グラムも、バルの持つ魔剣フォルテュードと同様に、持つ能力がある。……あった、らしい。
刀身に魔力を流すと、流した魔力が、聖剣の刀身を覆うのだ。
その状態になると、魔力への干渉が可能になる。例えば、剣で魔法を斬る、という事なんかも可能になるのだ。
そして、もう一つ。
魔力が聖剣を保護するので、強度が増すのだ。とはいっても、バルの魔剣ほどの強度にはならないので、武器破壊までには至らない。
それを聞いたとき、暁斗は思わず言ったものだ。
『もっと早く教えてよ!』
もしかして聖剣に魔力を流すだけで、魔族にダメージを与えられたのではないだろうか。
キリムと戦った時も、もしかしたら聖剣で炎を断ち切る、なんて事が出来たかもしれない。
『……………………前に言ったであろう。魔力付与をする者は久しぶりだと。それを説明したところで、できる勇者がいなかった。だから、我もつい、忘れてしまっていたのだ』
聖剣は黙り込んだ後、ゴニョゴニョ言い訳するように言った。
『つい、じゃない! 教えれば、できるようになったかもしれないじゃん!』
剣で魔法を斬るなんて、ロマンだ。カッコいい。
できるなら、やりたいと思うはずだ。自分だってやりたい。
『出来ぬのに、教えてどうする』
『だから、できたかもしれないじゃん、って言ってるの!』
思わぬ聖剣の考えの固さに、暁斗が突っ込んだのは、しょうがないだろう。
※ ※ ※
暁斗は、聖剣に魔力を流す。
魔力が覆ったのが分かる。
魔法は使えないから、魔法を斬る、という効果は今は意味がないが。
(――使えない、よね?)
自分たちだけが使えなくて、相手だけが使える。
仕掛けたのが相手である以上、そんな不平等だってあり得る。
『心配するな。これはおそらく魔封陣だろう。仕掛けた者であろうと、この中にいれば魔法は使えぬ。だからこそ、威力のある武器を揃えてきたのだろう』
魔封陣とは初耳だが、相手も魔法が使えない、というのが分かれば、それで良い。
(グラムは、あの武器を知ってるの?)
『知っている。かなり昔だがな。剣技が編み出される前は、様々な武器があったのだ』
それを聞いて、暁斗は思いだした。
ポールとパールと戦って川に落ちたアレクとリィカを探してたどり着いた教会から、一番近い街レソント。そこで、ユーリの剣を見るために、バルとユーリと一緒に武器屋に出かけた。
武器屋の中に剣しかなく、この世界に来てから、武器は剣しか見ていない、という事に気付いて、二人に聞いたのだ。
『武器って、剣しかないの?』
その問いに、一瞬疑問を浮かべた二人だったが、すぐに得心が行ったような表情を浮かべた。
『確か、大昔は色々な武器があった、って聞いた事あるな』
暁斗が、へぇっ、とつぶやく。
『どんな武器? なんで今はないの?』
『えーとだな……』
暁斗に突っ込まれて、バルが口ごもる。
それをユーリが冷たい目で見た。
『剣士であるバルの方に関係ある話でしょうに、なぜ説明できないんですか』
呆れて突っ込み、そして暁斗に説明してくれた。
たまに見つかる昔の記録に、明らかに剣の形状とは違う、剣では無理そうな攻撃の記述が時々見つかるそうだ。
だがもう、今ではどんな武器だったのか、分からない。
剣技とは、文字通り“剣のための技”。他の武器では使えない。
剣技で、一撃の威力を増す事ができるだけでなく、遠距離の攻撃まで出来るようになった。
武器で、遠距離の攻撃もできる。魔法が不得手な者であっても、剣技ならばできる。
そうなってくると、剣を使う者が多くなる。
そして、次第に他の武器は使われなくなり、忘れ去られていったのだ。
『よくぞ、あの者は昔のものを引っ張り出してきたものだ』
ある意味感心するように、グラムはカストルを評する。
確かに、昔存在していたものなら、それを調べて再現したという可能性は十分あるだろう。
※ ※ ※
ポタルゴスが振るってきたハルバードを、暁斗は真っ向から受け止めた。
――ガギィィィィィン!
金属同士がぶつかる、高い音がした。
「ほう……」
ポタルゴスは口を歪める。
小細工なしに受け止めるとは思わなかった。
ハルバードは、その重量故に、やろうと思えば普通の剣であればたたき折れる。それを真っ向から受け止めて、聖剣には傷一つもついていない。
(さすがは、聖剣グラムということか)
これまでに、何度も魔王を葬ってきている武器。
面白くなってきた。
ズン、と剣を持つ暁斗の手に、衝撃が走った。
聖剣に魔力を流すことで、真っ向から受け止めることは出来たが、かかる負担は大きい。
(バル相手の時以上だよ)
バルと手合わせをすると、一撃一撃の威力が大きいので、まともに受け止めると力負けしてしまう。
そこは魔法や剣技でフォローするのだが、今はその魔法が使えない。
(力比べは、程々にしとかないと)
敵は、目の前の相手だけではないのだ。
暁斗は、聖剣に魔力を流す。
剣技で、ハルバードを弾いて攻撃する。
だが、暁斗のその考えは読まれていた。
「ピュール!」
「…………!」
赤い毛色の馬が、自分に突進してきている。
気配でそれを感じた。
「【天馬翼轟閃】!」
密着した状態から、剣技を放つ。
風の、直接攻撃の剣技。
「――ぅおっ!?」
――ドォン
小さな爆発が起こり、ハルバードを弾く。
そのままの流れで、自分に向かってくる馬、ピュールに斬り付けるが、軽やかな動きで暁斗の剣を躱した。
「【百舌衝鳴閃】!」
躱された瞬間、暁斗は剣技を放つ。
風の、縦に切り落とす剣技。
「――ヒィン!?」
ピュールは躱しきれず、胸前に剣技が命中した。
ピュールはよろけたものの、しっかり四本の足で立つ。
出血はしているものの、傷は浅かった。
だが、傷つけられた痛みからか、目がつり上がり、表情が凶悪になった。
暁斗はその表情に、怯むものを感じながらもすぐに視線を戻す。
間髪入れずにポタルゴスが斬りかかってきた。
暁斗は、今度は受け止めずにハルバードを弾く。
ポタルゴスの懐に入ろうとして、咄嗟に横に躱す。
斧の部分が弾かれたとみるや、その流れを利用してハルバードを回転させ、石突部分で突いてきたのだ。
(ホント、厄介)
日本でゲームをしていたときは、ハルバードカッコいい、などと思っていたが、実際に戦うとなると、ひどくやりにくい武器だった。
※ ※ ※
そう。
カッコいい、と思っていた武器だ。
バトルアックスも、ウォーハンマーも、モーニングスターも、ゲームでお馴染みの武器ばかりだ。
だからこそ、その武器が何なのか、暁斗もすぐ分かった。
(カストルが、本当に、昔の武器を調べて再現しただけなら、それでいいんだけど)
それでも、どうしても気になる。
もう一つ、可能性があるからだ。
大きく振りかぶって、振り下ろす。
「――くそっ」
暁斗はそれを後ろに下がって躱す。
難なく躱せたが、向こうの方がリーチが長い。
懐に入り込まなければ、ダメージも与えられない。
「……………!」
そこまで考えて、重要なことに気付いた。
魔法は使えない。
剣技は使えるみたいだが、剣技だけではダメージは与えられない。
(魔力付与はできるの?)
できなければ、魔族にダメージを与える方法がない。
ハルバードが、横から振るわれる。
暁斗は、聖剣に魔力を纏わせる。
さらに、魔力の付与をする。
――できた。
「【獅子斬釘撃】!」
発動させた剣技は、ハルバードを弾く。
「よし!」
間を置かず、相手に詰め寄ろうとする。
「――暁斗!」
響いた父の声に、足を止めた。
赤い毛色の、馬の魔物が横から突進してきた。
「――くっ!」
咄嗟に聖剣を盾代わりにしたものの、勢いは殺せずにそのまま跳ね飛ばされる。
「うあああぁぁぁぁぁ!」
地面に叩き付けられ、転がって、痛みに悲鳴を上げる。
――ブオン!
悲鳴を上げながらもその音を聞けたのは、幸いなのか、不幸なのか。
暁斗が目を開けると、目の前にモーニングスターのトゲトゲのついた鉄球が迫っていた。
それを認識しても、体が動かない。
思わず目を瞑った。
「【光速剣】!」
光の、横に切り払う剣技。
泰基の声だ。
暁斗が目を開けると、モーニングスターの鉄球は、離れた場所にある。
(父さんが、弾き飛ばしてくれたんだ)
そう理解して、泰基を見ようとしたら、先に声を掛けられた。
「気をつけろ、暁斗! 一対一じゃないんだ!」
その叫びにハッとして、視線を敵に戻す。
元々、暁斗は対複数を相手にするのが苦手だった。
魔物を相手に、多少は慣れてきたとは言っても、苦手意識は残ったままだ。
まして、今回の相手は魔物と魔族の混合。そこに中距離武器の攻撃まで飛んでくる。
対するこちらは、魔法が使えない。
「不利すぎだよ……」
思わず、そうこぼす。
ハルバードを持つ魔族はニヤッと笑い、馬の魔物に手をやる。
「我が名はポタルゴス。そして、こいつの名はピュールだ。勇者よ、勝負だ」
暁斗は顔をしかめる。
厄介だった。
(そう考えると、あの結界って一対一で戦えるから、まだ戦いやすかったかも)
魔族が発動させる黒い結界。
結界の効果は頂けないが、誰の邪魔が入ることもなく、戦う事ができたのだ。
暁斗は聖剣を構える。
『魔力を流せ、アキト。あの武器と打ち合える』
(分かった)
聖剣の声に、簡潔に答えた。
※ ※ ※
時は遡り、ユグドラシルの島でのこと。
バルと手合わせをした。魔剣との初対決だ。
バルが、魔剣に魔力を流して強度を増してきた時、聖剣が言ったのだ。
『アキト! 魔力を流せ!』
何のことか分からないままに、魔力付与をするかのように魔力を流せば、魔力が聖剣を覆った。
覆った魔力がバルの魔剣の威力を受け止め、火花を散らしながら弾いた。
『フン、小童が調子に乗るな』
(……小童って)
『魔剣となって千年程度だ。小童で十分』
どういうこと、と思いながらも、その言い様に思わず「あはは」と引き攣った笑いが零れてしまったのだが。
魔力付与をするときは、剣技を発動時か、エンチャントの魔法に対してか、どちらかの時に行っていた。
しかし、実は聖剣グラムも、バルの持つ魔剣フォルテュードと同様に、持つ能力がある。……あった、らしい。
刀身に魔力を流すと、流した魔力が、聖剣の刀身を覆うのだ。
その状態になると、魔力への干渉が可能になる。例えば、剣で魔法を斬る、という事なんかも可能になるのだ。
そして、もう一つ。
魔力が聖剣を保護するので、強度が増すのだ。とはいっても、バルの魔剣ほどの強度にはならないので、武器破壊までには至らない。
それを聞いたとき、暁斗は思わず言ったものだ。
『もっと早く教えてよ!』
もしかして聖剣に魔力を流すだけで、魔族にダメージを与えられたのではないだろうか。
キリムと戦った時も、もしかしたら聖剣で炎を断ち切る、なんて事が出来たかもしれない。
『……………………前に言ったであろう。魔力付与をする者は久しぶりだと。それを説明したところで、できる勇者がいなかった。だから、我もつい、忘れてしまっていたのだ』
聖剣は黙り込んだ後、ゴニョゴニョ言い訳するように言った。
『つい、じゃない! 教えれば、できるようになったかもしれないじゃん!』
剣で魔法を斬るなんて、ロマンだ。カッコいい。
できるなら、やりたいと思うはずだ。自分だってやりたい。
『出来ぬのに、教えてどうする』
『だから、できたかもしれないじゃん、って言ってるの!』
思わぬ聖剣の考えの固さに、暁斗が突っ込んだのは、しょうがないだろう。
※ ※ ※
暁斗は、聖剣に魔力を流す。
魔力が覆ったのが分かる。
魔法は使えないから、魔法を斬る、という効果は今は意味がないが。
(――使えない、よね?)
自分たちだけが使えなくて、相手だけが使える。
仕掛けたのが相手である以上、そんな不平等だってあり得る。
『心配するな。これはおそらく魔封陣だろう。仕掛けた者であろうと、この中にいれば魔法は使えぬ。だからこそ、威力のある武器を揃えてきたのだろう』
魔封陣とは初耳だが、相手も魔法が使えない、というのが分かれば、それで良い。
(グラムは、あの武器を知ってるの?)
『知っている。かなり昔だがな。剣技が編み出される前は、様々な武器があったのだ』
それを聞いて、暁斗は思いだした。
ポールとパールと戦って川に落ちたアレクとリィカを探してたどり着いた教会から、一番近い街レソント。そこで、ユーリの剣を見るために、バルとユーリと一緒に武器屋に出かけた。
武器屋の中に剣しかなく、この世界に来てから、武器は剣しか見ていない、という事に気付いて、二人に聞いたのだ。
『武器って、剣しかないの?』
その問いに、一瞬疑問を浮かべた二人だったが、すぐに得心が行ったような表情を浮かべた。
『確か、大昔は色々な武器があった、って聞いた事あるな』
暁斗が、へぇっ、とつぶやく。
『どんな武器? なんで今はないの?』
『えーとだな……』
暁斗に突っ込まれて、バルが口ごもる。
それをユーリが冷たい目で見た。
『剣士であるバルの方に関係ある話でしょうに、なぜ説明できないんですか』
呆れて突っ込み、そして暁斗に説明してくれた。
たまに見つかる昔の記録に、明らかに剣の形状とは違う、剣では無理そうな攻撃の記述が時々見つかるそうだ。
だがもう、今ではどんな武器だったのか、分からない。
剣技とは、文字通り“剣のための技”。他の武器では使えない。
剣技で、一撃の威力を増す事ができるだけでなく、遠距離の攻撃まで出来るようになった。
武器で、遠距離の攻撃もできる。魔法が不得手な者であっても、剣技ならばできる。
そうなってくると、剣を使う者が多くなる。
そして、次第に他の武器は使われなくなり、忘れ去られていったのだ。
『よくぞ、あの者は昔のものを引っ張り出してきたものだ』
ある意味感心するように、グラムはカストルを評する。
確かに、昔存在していたものなら、それを調べて再現したという可能性は十分あるだろう。
※ ※ ※
ポタルゴスが振るってきたハルバードを、暁斗は真っ向から受け止めた。
――ガギィィィィィン!
金属同士がぶつかる、高い音がした。
「ほう……」
ポタルゴスは口を歪める。
小細工なしに受け止めるとは思わなかった。
ハルバードは、その重量故に、やろうと思えば普通の剣であればたたき折れる。それを真っ向から受け止めて、聖剣には傷一つもついていない。
(さすがは、聖剣グラムということか)
これまでに、何度も魔王を葬ってきている武器。
面白くなってきた。
ズン、と剣を持つ暁斗の手に、衝撃が走った。
聖剣に魔力を流すことで、真っ向から受け止めることは出来たが、かかる負担は大きい。
(バル相手の時以上だよ)
バルと手合わせをすると、一撃一撃の威力が大きいので、まともに受け止めると力負けしてしまう。
そこは魔法や剣技でフォローするのだが、今はその魔法が使えない。
(力比べは、程々にしとかないと)
敵は、目の前の相手だけではないのだ。
暁斗は、聖剣に魔力を流す。
剣技で、ハルバードを弾いて攻撃する。
だが、暁斗のその考えは読まれていた。
「ピュール!」
「…………!」
赤い毛色の馬が、自分に突進してきている。
気配でそれを感じた。
「【天馬翼轟閃】!」
密着した状態から、剣技を放つ。
風の、直接攻撃の剣技。
「――ぅおっ!?」
――ドォン
小さな爆発が起こり、ハルバードを弾く。
そのままの流れで、自分に向かってくる馬、ピュールに斬り付けるが、軽やかな動きで暁斗の剣を躱した。
「【百舌衝鳴閃】!」
躱された瞬間、暁斗は剣技を放つ。
風の、縦に切り落とす剣技。
「――ヒィン!?」
ピュールは躱しきれず、胸前に剣技が命中した。
ピュールはよろけたものの、しっかり四本の足で立つ。
出血はしているものの、傷は浅かった。
だが、傷つけられた痛みからか、目がつり上がり、表情が凶悪になった。
暁斗はその表情に、怯むものを感じながらもすぐに視線を戻す。
間髪入れずにポタルゴスが斬りかかってきた。
暁斗は、今度は受け止めずにハルバードを弾く。
ポタルゴスの懐に入ろうとして、咄嗟に横に躱す。
斧の部分が弾かれたとみるや、その流れを利用してハルバードを回転させ、石突部分で突いてきたのだ。
(ホント、厄介)
日本でゲームをしていたときは、ハルバードカッコいい、などと思っていたが、実際に戦うとなると、ひどくやりにくい武器だった。
※ ※ ※
そう。
カッコいい、と思っていた武器だ。
バトルアックスも、ウォーハンマーも、モーニングスターも、ゲームでお馴染みの武器ばかりだ。
だからこそ、その武器が何なのか、暁斗もすぐ分かった。
(カストルが、本当に、昔の武器を調べて再現しただけなら、それでいいんだけど)
それでも、どうしても気になる。
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