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第十章 カトリーズの悪夢
暁斗の戦い②
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ポタルゴスと切り結びながら、暁斗はモーニングスターが飛んでこないことに気付いていた。
それができるのは、父しかいない。父がすべて、弾いてくれているのだろう。
同時に、ピュールと呼ばれていた馬の魔物も、側にいないことに気付く。
あれ、と思ったが、すぐに分かった。
ピュールが父の側にいる。
「――えっ!?」
思わず泰基の方を向こうとして……、
「よそ見をしていて、良いのかな?」
ポタルゴスの攻撃に、断念せざるを得なかった。
唇を噛みしめ、思う。
(父さん、気をつけて……!)
だが、その願いは叶わなかった。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
泰基の悲鳴が、辺りに響いた。
「父さん!?」
チラリと見れば、炎の渦に巻かれている父の姿。
リィカが、テルフレイラで魔物の大群を相手に繰り出した《炎の竜巻》ほどではないけれど、それでも、人一人を相手にするには十分すぎるくらいの威力があるのが分かる。
泰基を気にする暁斗に、ポタルゴスがハルバードで攻撃を繰り出す。
「行かせぬぞ、勇者」
ポタルゴスが、口の端を上げて、愉快そうに言っている。
暁斗はカッとなった。頭に血が上った。それでいて、どこか冷静な部分を残している。そんな不思議な感覚。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!」
暁斗は雄叫びを上げる。
聖剣に、流せるだけの魔力を流す。
「――なにっ!?」
聖剣を覆っていた魔力が、大きく膨らむ。
「ぶっ飛べぇぇぇぇ!」
叫んだ瞬間、膨らんだ魔力が爆発するように弾けた。
その勢いに押されるように、ポタルゴスも後方に吹き飛ばされる。
「父さん!!」
暁斗はそれを確認もせず、ポタルゴスに背を向けて走り出した。
どんな場合でも、敵に背中を向けるなと言われるかもしれない。
でも、今は何よりも父が優先だった。
背中に軽い衝撃が走る。
ポタルゴスが、吹き飛ばされながらもハルバードのリーチを利用して攻撃してきた、と分かったが、暁斗は気にせずに全力で走った。
父の姿が見える。
生きている。
でも、立つ力もないんだろう。膝をついている。
容赦なく、魔族がモーニングスターを泰基に放ったのが見えた。――その、瞬間。
「【隼一閃】!」
暁斗は、剣技を放った。
※ ※ ※
暁斗は、泰基を守るように立った。
ギリギリ間に合った。
「暁斗、任せた」
父のその言葉が、嬉しかった。
モーニングスターを持つ魔族に加えて、ポタルゴスもこっちにきた。
そして、ピュールと、緑の毛色の馬の魔物。
魔族二体と、人食い馬二体。
その相手を、暁斗は一人でしなければならない。
けれど、負けるつもりはなかった。
負ければ、後ろにいる父が危ないのだから。
(――やってやる)
暁斗は、聖剣を構えた。
それができるのは、父しかいない。父がすべて、弾いてくれているのだろう。
同時に、ピュールと呼ばれていた馬の魔物も、側にいないことに気付く。
あれ、と思ったが、すぐに分かった。
ピュールが父の側にいる。
「――えっ!?」
思わず泰基の方を向こうとして……、
「よそ見をしていて、良いのかな?」
ポタルゴスの攻撃に、断念せざるを得なかった。
唇を噛みしめ、思う。
(父さん、気をつけて……!)
だが、その願いは叶わなかった。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
泰基の悲鳴が、辺りに響いた。
「父さん!?」
チラリと見れば、炎の渦に巻かれている父の姿。
リィカが、テルフレイラで魔物の大群を相手に繰り出した《炎の竜巻》ほどではないけれど、それでも、人一人を相手にするには十分すぎるくらいの威力があるのが分かる。
泰基を気にする暁斗に、ポタルゴスがハルバードで攻撃を繰り出す。
「行かせぬぞ、勇者」
ポタルゴスが、口の端を上げて、愉快そうに言っている。
暁斗はカッとなった。頭に血が上った。それでいて、どこか冷静な部分を残している。そんな不思議な感覚。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!」
暁斗は雄叫びを上げる。
聖剣に、流せるだけの魔力を流す。
「――なにっ!?」
聖剣を覆っていた魔力が、大きく膨らむ。
「ぶっ飛べぇぇぇぇ!」
叫んだ瞬間、膨らんだ魔力が爆発するように弾けた。
その勢いに押されるように、ポタルゴスも後方に吹き飛ばされる。
「父さん!!」
暁斗はそれを確認もせず、ポタルゴスに背を向けて走り出した。
どんな場合でも、敵に背中を向けるなと言われるかもしれない。
でも、今は何よりも父が優先だった。
背中に軽い衝撃が走る。
ポタルゴスが、吹き飛ばされながらもハルバードのリーチを利用して攻撃してきた、と分かったが、暁斗は気にせずに全力で走った。
父の姿が見える。
生きている。
でも、立つ力もないんだろう。膝をついている。
容赦なく、魔族がモーニングスターを泰基に放ったのが見えた。――その、瞬間。
「【隼一閃】!」
暁斗は、剣技を放った。
※ ※ ※
暁斗は、泰基を守るように立った。
ギリギリ間に合った。
「暁斗、任せた」
父のその言葉が、嬉しかった。
モーニングスターを持つ魔族に加えて、ポタルゴスもこっちにきた。
そして、ピュールと、緑の毛色の馬の魔物。
魔族二体と、人食い馬二体。
その相手を、暁斗は一人でしなければならない。
けれど、負けるつもりはなかった。
負ければ、後ろにいる父が危ないのだから。
(――やってやる)
暁斗は、聖剣を構えた。
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第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
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