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第十二章 帝都ルベニア
VSバシリスク
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アレクが急に手綱を引いて、ラクダを止めた。
同時に、バルと暁斗も止まる。
「どうしたの?」
リィカが振り返って聞けば、アレクがある一方向を指さした。
「あちらに大きな気配がある。おそらくBランクの魔物だ」
その言葉に、ザワッとしたのはトラヴィスを始めとするルバドール帝国側だ。
砂漠にいるBランクの魔物と言われれば、一種類だけだ。
「どうする? 距離はあるから、このまま進んでも遭遇しない可能性の方が高い」
アレクがトラヴィスに聞いた。
聞かれたトラヴィスは、ラクダの上に布をかけて括り付けてある物に手を触れる。
リィカが作った鏡だ。二つともトラヴィスが持っているのだ。
「……いえ、バシリスクは遠くからでも震動を感じ取れます。距離があっても、近寄ってくる可能性が高いでしょう」
そう言うと、鏡を手に取る。
アレクの指さした方向に、進み始めた。
それを確認して、アレクも後を追う。
「少将閣下、鏡をお預かりします。お下がり下さい」
前を進むトラヴィスに、バスティアンが声を掛ける。
だが、不機嫌そうな顔をされた。
「なぜだ」
「……まさか、少将閣下ご本人が、鏡を持ってバシリスクの前に立つつもりではございませんよね?」
「そのつもりだが」
「……お願いですので、お止め下さい。そのような危険な行動を行うのは、我々部下の役目です」
この場合、バスティアンの方の言い分が正しい。
それはトラヴィスも分かる。
分かるが、鏡を持つ手に力が入る。
「……いやだが、この鏡を他の者に渡すわけには……!」
「かしこまりました。用が済めば閣下にお戻し致します。それでよろしいですね?」
これ以上は付き合いきれない。そう言わんばかりに、バスティアンは素っ気なく言って、鏡を奪い取る。
無理に引っ張り合いをして壊れることを恐れたのか、あっさりと手を離したトラヴィスは、恨めしそうに自分の副官を見ていた。
※ ※ ※
「来ました! バシリスクです!」
そう叫んだのは、護衛の一人だ。
バスティアンがトラヴィスから預かった鏡は、護衛の手に渡っている。
正面から走って向かってくるのは、確かにデカいトカゲという表現が良く合う魔物である。
事前に言われていた通りに、鏡を持った二人を除き、バシリスクの正面から退避する。
鏡を前に掲げた。
※ ※ ※
「……あ」
リィカは小さくつぶやいた。
石化の視線対策のための鏡。
石化対策でしかないから、毒を吐くなり、あるいはその鋭い爪で攻撃してくる場合、逃げるように声を掛ける事になっている。
けれど、横から見ていて分かった。
今、バシリスクの目から、何か魔力が放出された。
そしてそれが鏡に当たると、たちまちバシリスクは石化していく。
「やったっ……」
「よぉし!!」
「やりましたね!!」
「これで、厄介なバシリスクの対策ができた!!」
「鏡、バンザイ!」
「リィカ様、バンザイ!」
小さなリィカのつぶやきは、トラヴィスやバスティアン、護衛たちの大きな声にかき消された。
その喜びように、よほどに苦労していたことが伺えてしまう。
「リィカ嬢、感謝する。本当に、ありがとう……!」
トラヴィスに泣き出さんばかりに頭を下げられた。
感謝してくれるのは良いのだが、いささか大げさすぎる気がする。
だが、何か言わなければトラヴィスは頭を上げないだろう。
(どういたしまして……? いや、でもなんか違うよね?)
困って後ろを振り向けば、アレクが苦笑していた。
リィカの肩に手を置いて、トラヴィスへ答えてくれた。
「ケルー少将、リィカが困っている。頭を上げろ。――役に立ったのなら良かった」
「はい。心より感謝いたします」
アレクの言葉に従って顔を上げたトラヴィスは、もう一度だけ頭を下げた。
「ところで殿下、鏡の件でご相談があるのですが……」
「相談? なんだ……いや、待て。またバシリスクだな。二体……いや、三体か? まとめてくる」
「なっ!?」
何やら話を持ちかけたトラヴィスだが、アレクの言葉に一瞬呆けた後に驚きの声を上げる。
「……あ、この魔力がそうかな?」
同時にリィカも、バシリスクらしい魔力を見つける。
Bランクの魔物。魔力も強いから見つけやすい。
ほとんど一瞬で、凝縮した魔法八発を自らの周囲に生み出す。
それらを、感じる魔力に向けて放った。
その発動の早さに、ユーリを筆頭に周囲が唖然としたが、すぐアレクがつぶやいた。
「当たってないな」
「え」
リィカが、濁点が付きそうな声で呻く。
「一体だけは倒してるよ」
「まぐれ当たりじゃねぇ? 躱すそぶりすらしてなさそうだったぞ」
「………………」
続いて暁斗とバルにも言われて、リィカは黙って落ち込む。
魔力の気配だけを頼りに放ったのだが、ちゃんと読めていないのか、遠方まで命中させられるほどの精度がないのか。
こっちに向かってくる二体の魔物の魔力は感じるから、おそらく後者だろう。
「……もっと練習しないと、ダメだぁ」
「それはそうだが、とりあえずバシリスクを何とかするのが先だぞ」
アレクに言われて、リィカも目の前の問題に集中する。
感じる気配に、視線を向ける。
「鏡を前に出せ! 勇者様方を守れ!」
トラヴィスがようやく叫び、それで鏡を持つ二人も我に返ったように動き出すが、もう遅かった。
バシリスクが二体、姿を見せる。
一番近くにいるのは、泰基だった。
「父さん!」
「泰基!」
暁斗とリィカの声を聞きながら、泰基はバシリスクの目から魔力が放たれたのが分かった。
その瞬間、頭に浮かんだものに苦笑する。
「《反射鏡》!」
その魔法を唱えてみると、泰基の前に透明のガラスのような物が出現した。
一見《結界》に似ているようで、違う。
バシリスクの視線の魔力が《反射鏡》に当たり、たちまち一体のバシリスクが石化していった。
残りは一体。
「泰基、すごい!」
「よし、オレも!」
リィカが歓声をあげ、暁斗は意気込んでラクダを蹴って、バシリスクへ向かって空中に飛び出した。
「アキト! 無茶するな!」
アレクが叫ぶ。
同時に、バシリスクが口を大きく開く。
「毒です! 毒の息を吐きます! お気を付けて!」
トラヴィスが叫んだ。紫色のいかにも体に悪そうな霧が、暁斗に襲いかかる。
「《竜巻》!」
暁斗が魔法を唱えた。風の中級魔法だ。
その竜巻に紫色の霧は巻き込まれ、消えていく。
暁斗の持つ聖剣が輝く。
横に振り抜かれた聖剣は、見事にバシリスクの首を断ち切っていた。
砂の上に綺麗に着地を決めると、暁斗は剣を高々上げる。
「へへっ、やったっ!」
「やったじゃない。たまたま上手くいっただけだ」
Bランクの魔物を、苦戦することなく一人で倒したのだ。
喜んでいる暁斗に水を差すように言ったのは、泰基だった。
「たまたまじゃないよ。できると思って、やったんだ……」
褒められるわけじゃなく、言われた言葉に不満そうに言い返した暁斗だったが、途中で言葉が止まる。
泰基は怒っていなかった。だが、表情は何かに恐怖するように強張っていた。
「もし石化の視線をかけられたら、どうにもできなかっただろう? 回復できるからといって、何をしてもいいわけじゃない。他にも方法はあるんだ。危険な事はするな」
「……うん、ごめんなさい」
大丈夫だと思った。倒せると思ったから飛び出した。
それは間違いのない事実だけれど、泰基の目にはそう見えなかったんだろう。
泰基に心配を掛けたいわけではないのだ。暁斗は素直に謝った。
※ ※ ※
それからの砂漠の旅も、色々な魔物と遭遇した。
普通の動物から魔物化したのは、蠍の他に、蜥蜴、そして毒蛇。もちろん全て毒持ちだ。
ラクダも魔物化して現れる。
途中で何らかの理由で乗り手を失ったラクダが、砂漠を彷徨う内に魔物化してしまうのだろう。
魔王が生み出したとされる魔物の最たるものはバシリスクだが、もちろんそれ以外にもいる。
まずは、リィカが魔力を読み損なったEランクのヤクルス。
ちなみに、この砂漠の移動中、結局リィカはヤクルスの魔力を読み切れなかった。
ステュムパーリデスという怪鳥の群れ。群れでCランク扱いされている。
吐く息で毒をまき散らしてくる。それが群れでやってくるのだから、正直たまらない。
群れなので発見も難しくないので、軍が対応するときはできるだけ早く発見し、遠方から魔法で処理する、という対応を取っているということだ。
同じように対応した。
毒ではないが、眠らせてくるサンドマンという魔物。
姿が見えない魔物なので、気付けずに眠らされてしまう。眠らされるだけで攻撃はされないのだが、眠っている間に他の魔物に襲われる危険はある。
厄介だったが、気配が読めれば何ということはなく切り抜けられた。
トラヴィスが、本気で気配を読む訓練をするかどうかを悩んでいた。
そして、この砂漠では異彩を放つ、石でできた馬、セキバホウ。
文字通り全身が石の塊で、毒も何も使ってこないが、とにかく硬い。「なんで石が動くのかな?」というリィカの問いは、全員が疑問に思う事だった。
「砂漠に出てくる魔物全てに出会いましたね」
トラヴィスの、有り難くもなんともない発言もあるくらいに魔物と遭遇しながら、一行は帝都ルベニアへと到着した。
同時に、バルと暁斗も止まる。
「どうしたの?」
リィカが振り返って聞けば、アレクがある一方向を指さした。
「あちらに大きな気配がある。おそらくBランクの魔物だ」
その言葉に、ザワッとしたのはトラヴィスを始めとするルバドール帝国側だ。
砂漠にいるBランクの魔物と言われれば、一種類だけだ。
「どうする? 距離はあるから、このまま進んでも遭遇しない可能性の方が高い」
アレクがトラヴィスに聞いた。
聞かれたトラヴィスは、ラクダの上に布をかけて括り付けてある物に手を触れる。
リィカが作った鏡だ。二つともトラヴィスが持っているのだ。
「……いえ、バシリスクは遠くからでも震動を感じ取れます。距離があっても、近寄ってくる可能性が高いでしょう」
そう言うと、鏡を手に取る。
アレクの指さした方向に、進み始めた。
それを確認して、アレクも後を追う。
「少将閣下、鏡をお預かりします。お下がり下さい」
前を進むトラヴィスに、バスティアンが声を掛ける。
だが、不機嫌そうな顔をされた。
「なぜだ」
「……まさか、少将閣下ご本人が、鏡を持ってバシリスクの前に立つつもりではございませんよね?」
「そのつもりだが」
「……お願いですので、お止め下さい。そのような危険な行動を行うのは、我々部下の役目です」
この場合、バスティアンの方の言い分が正しい。
それはトラヴィスも分かる。
分かるが、鏡を持つ手に力が入る。
「……いやだが、この鏡を他の者に渡すわけには……!」
「かしこまりました。用が済めば閣下にお戻し致します。それでよろしいですね?」
これ以上は付き合いきれない。そう言わんばかりに、バスティアンは素っ気なく言って、鏡を奪い取る。
無理に引っ張り合いをして壊れることを恐れたのか、あっさりと手を離したトラヴィスは、恨めしそうに自分の副官を見ていた。
※ ※ ※
「来ました! バシリスクです!」
そう叫んだのは、護衛の一人だ。
バスティアンがトラヴィスから預かった鏡は、護衛の手に渡っている。
正面から走って向かってくるのは、確かにデカいトカゲという表現が良く合う魔物である。
事前に言われていた通りに、鏡を持った二人を除き、バシリスクの正面から退避する。
鏡を前に掲げた。
※ ※ ※
「……あ」
リィカは小さくつぶやいた。
石化の視線対策のための鏡。
石化対策でしかないから、毒を吐くなり、あるいはその鋭い爪で攻撃してくる場合、逃げるように声を掛ける事になっている。
けれど、横から見ていて分かった。
今、バシリスクの目から、何か魔力が放出された。
そしてそれが鏡に当たると、たちまちバシリスクは石化していく。
「やったっ……」
「よぉし!!」
「やりましたね!!」
「これで、厄介なバシリスクの対策ができた!!」
「鏡、バンザイ!」
「リィカ様、バンザイ!」
小さなリィカのつぶやきは、トラヴィスやバスティアン、護衛たちの大きな声にかき消された。
その喜びように、よほどに苦労していたことが伺えてしまう。
「リィカ嬢、感謝する。本当に、ありがとう……!」
トラヴィスに泣き出さんばかりに頭を下げられた。
感謝してくれるのは良いのだが、いささか大げさすぎる気がする。
だが、何か言わなければトラヴィスは頭を上げないだろう。
(どういたしまして……? いや、でもなんか違うよね?)
困って後ろを振り向けば、アレクが苦笑していた。
リィカの肩に手を置いて、トラヴィスへ答えてくれた。
「ケルー少将、リィカが困っている。頭を上げろ。――役に立ったのなら良かった」
「はい。心より感謝いたします」
アレクの言葉に従って顔を上げたトラヴィスは、もう一度だけ頭を下げた。
「ところで殿下、鏡の件でご相談があるのですが……」
「相談? なんだ……いや、待て。またバシリスクだな。二体……いや、三体か? まとめてくる」
「なっ!?」
何やら話を持ちかけたトラヴィスだが、アレクの言葉に一瞬呆けた後に驚きの声を上げる。
「……あ、この魔力がそうかな?」
同時にリィカも、バシリスクらしい魔力を見つける。
Bランクの魔物。魔力も強いから見つけやすい。
ほとんど一瞬で、凝縮した魔法八発を自らの周囲に生み出す。
それらを、感じる魔力に向けて放った。
その発動の早さに、ユーリを筆頭に周囲が唖然としたが、すぐアレクがつぶやいた。
「当たってないな」
「え」
リィカが、濁点が付きそうな声で呻く。
「一体だけは倒してるよ」
「まぐれ当たりじゃねぇ? 躱すそぶりすらしてなさそうだったぞ」
「………………」
続いて暁斗とバルにも言われて、リィカは黙って落ち込む。
魔力の気配だけを頼りに放ったのだが、ちゃんと読めていないのか、遠方まで命中させられるほどの精度がないのか。
こっちに向かってくる二体の魔物の魔力は感じるから、おそらく後者だろう。
「……もっと練習しないと、ダメだぁ」
「それはそうだが、とりあえずバシリスクを何とかするのが先だぞ」
アレクに言われて、リィカも目の前の問題に集中する。
感じる気配に、視線を向ける。
「鏡を前に出せ! 勇者様方を守れ!」
トラヴィスがようやく叫び、それで鏡を持つ二人も我に返ったように動き出すが、もう遅かった。
バシリスクが二体、姿を見せる。
一番近くにいるのは、泰基だった。
「父さん!」
「泰基!」
暁斗とリィカの声を聞きながら、泰基はバシリスクの目から魔力が放たれたのが分かった。
その瞬間、頭に浮かんだものに苦笑する。
「《反射鏡》!」
その魔法を唱えてみると、泰基の前に透明のガラスのような物が出現した。
一見《結界》に似ているようで、違う。
バシリスクの視線の魔力が《反射鏡》に当たり、たちまち一体のバシリスクが石化していった。
残りは一体。
「泰基、すごい!」
「よし、オレも!」
リィカが歓声をあげ、暁斗は意気込んでラクダを蹴って、バシリスクへ向かって空中に飛び出した。
「アキト! 無茶するな!」
アレクが叫ぶ。
同時に、バシリスクが口を大きく開く。
「毒です! 毒の息を吐きます! お気を付けて!」
トラヴィスが叫んだ。紫色のいかにも体に悪そうな霧が、暁斗に襲いかかる。
「《竜巻》!」
暁斗が魔法を唱えた。風の中級魔法だ。
その竜巻に紫色の霧は巻き込まれ、消えていく。
暁斗の持つ聖剣が輝く。
横に振り抜かれた聖剣は、見事にバシリスクの首を断ち切っていた。
砂の上に綺麗に着地を決めると、暁斗は剣を高々上げる。
「へへっ、やったっ!」
「やったじゃない。たまたま上手くいっただけだ」
Bランクの魔物を、苦戦することなく一人で倒したのだ。
喜んでいる暁斗に水を差すように言ったのは、泰基だった。
「たまたまじゃないよ。できると思って、やったんだ……」
褒められるわけじゃなく、言われた言葉に不満そうに言い返した暁斗だったが、途中で言葉が止まる。
泰基は怒っていなかった。だが、表情は何かに恐怖するように強張っていた。
「もし石化の視線をかけられたら、どうにもできなかっただろう? 回復できるからといって、何をしてもいいわけじゃない。他にも方法はあるんだ。危険な事はするな」
「……うん、ごめんなさい」
大丈夫だと思った。倒せると思ったから飛び出した。
それは間違いのない事実だけれど、泰基の目にはそう見えなかったんだろう。
泰基に心配を掛けたいわけではないのだ。暁斗は素直に謝った。
※ ※ ※
それからの砂漠の旅も、色々な魔物と遭遇した。
普通の動物から魔物化したのは、蠍の他に、蜥蜴、そして毒蛇。もちろん全て毒持ちだ。
ラクダも魔物化して現れる。
途中で何らかの理由で乗り手を失ったラクダが、砂漠を彷徨う内に魔物化してしまうのだろう。
魔王が生み出したとされる魔物の最たるものはバシリスクだが、もちろんそれ以外にもいる。
まずは、リィカが魔力を読み損なったEランクのヤクルス。
ちなみに、この砂漠の移動中、結局リィカはヤクルスの魔力を読み切れなかった。
ステュムパーリデスという怪鳥の群れ。群れでCランク扱いされている。
吐く息で毒をまき散らしてくる。それが群れでやってくるのだから、正直たまらない。
群れなので発見も難しくないので、軍が対応するときはできるだけ早く発見し、遠方から魔法で処理する、という対応を取っているということだ。
同じように対応した。
毒ではないが、眠らせてくるサンドマンという魔物。
姿が見えない魔物なので、気付けずに眠らされてしまう。眠らされるだけで攻撃はされないのだが、眠っている間に他の魔物に襲われる危険はある。
厄介だったが、気配が読めれば何ということはなく切り抜けられた。
トラヴィスが、本気で気配を読む訓練をするかどうかを悩んでいた。
そして、この砂漠では異彩を放つ、石でできた馬、セキバホウ。
文字通り全身が石の塊で、毒も何も使ってこないが、とにかく硬い。「なんで石が動くのかな?」というリィカの問いは、全員が疑問に思う事だった。
「砂漠に出てくる魔物全てに出会いましたね」
トラヴィスの、有り難くもなんともない発言もあるくらいに魔物と遭遇しながら、一行は帝都ルベニアへと到着した。
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