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第十三章 魔国への道
樹林の中へ
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リィカたちは、樹林の中に足を踏み入れていた。
中に入ってすぐ魔物に襲われる、などという事態にはならなかった。木々が密集して生えているので、魔物がどうこういう前に、普通に歩くだけでも大変だ。
「魔物だって移動するんですから、こんな場所に魔物は来ませんよね」
「木の隙間を何とか潜り抜けてる感じだもんな」
獣道すらない。
下も、地面というよりは木の根っこの上を歩いている。びっしりと、良くこんな状態で木が生長したものだと思ってしまうくらいには、木が密集している。
体の大きいバルは、大分大変そうだ。
「木が少なくなって開けてきたら、逆に危ないかもな」
泰基は周囲を見渡して、ユーリに答えつつ言葉を続ける。確かにそうだ、と頷くリィカたちだが、バルだけは反応が違った。
「魔物がいてもいいから、このクソ狭いの何とかしてくれ」
「それはお前だけだ」
アレクが言い返すが、実際の所洒落にならない状況だ。
バルの場合、体が大きいだけではなく、剣も大剣だから木に引っかかって邪魔にしかならないので、アイテムボックスにしまっている。
もし突然魔物が襲ってきても、対応が遅れてしまうのだ。そう考えると、バルの言う事も最もだとも思ってしまう。
リィカは木の間をすり抜けながら、周囲を見る。渡された《結界》の魔石に手を触れる。
自分自身に戦える能力がなく、守られるしかできない状況というのは、結構精神的にキツい。やっぱり魔道具ができるまで待ってもらえば良かっただろうか、なんて考えてしまう。
「みんな、魔物の気配だ」
アレクの言葉に、リィカの肩がビクッと上がった。
「まだ離れている。初めての気配だが……Cランク程度か?」
「そうだな。AやBじゃなさそうだ」
「オレが前に出るよ。援護よろしく」
「分かった」
アレクは先頭を暁斗に譲る。自分の剣は心許ないし、バルは剣をすぐに出せない。ここは、暁斗が適任だ。
そして、前に進むこと、少し。
「――開けたよ! 【隼一閃】!」
「ガァッ!」
暁斗が叫ぶと同時に、剣技を放った。そして、聞こえた声は、魔物の悲鳴か。確かに、暁斗のいる辺りが明るくなっている。
開けた場所に出たアレクは、同時に剣を抜く。
「Cランクの魔物、豹だ!」
ヒョウが魔物化した魔物だ。油断していいわけではないが、今さらCランク相手に苦戦はしない。
「【百舌衝鳴閃】!」
アレクが剣技を放ち、豹は倒れた。それを確認して、改めて周囲を見渡す。
この辺りから、大分空間が広い。所々に生えている木はとんでもなく大きく上を覆っているので、日差しは遮られているが、場所そのものは開けている。
バルがアイテムボックスから、魔剣を取り出して装着している。全員が揃っているのを確認して、アレクはもう一度周囲を見た。
「……で、洞窟はどっちだ?」
全員がずっこけそうになった。
ユーリが代表して、ツッコミを入れる。
「そんなの、分かるわけないでしょう。虱潰しに探すしかないと思っていましたけど?」
「……確かにそうなんだが」
アレクが落ち込む。リィカが苦笑して、アレクに近寄って話しかける。
泰基も周囲を見回した。
「虱潰しは確かにそうだろうが、印くらいはつけておかないか。じゃないと、同じ所を見て回ったとしても気付けないし、そもそも帰れなくなる」
あ、と声が揃う。
誰もそのことに気付かなかった。
「最初から、それをするべきだったな」
「うわー、思いつかなかった」
「出られますかね、ここから」
「……そうか。帰るときは、またあの狭ぇ場所、通んなきゃなんねぇのかよ」
アレク、暁斗、ユーリがぼやく。
バルのぼやきは、やや種類が違ったが。
「でも、ここからつけるだけでも、違うよね」
「ああ。どっちにしても、さっきまではあれだけ木が密集していたんだ。印をつけたとしても、後から見つけられたかどうか」
木と木の隙間を通ってきたが、ほんの一本でも通り抜ける隙間を外れたら、もうそれだけで印を見つけるのは無理になりそうだ。
木の密集地帯は、ひたすら前に進めば、どこかで外に出ると願うしかないだろう。
泰基は、近くにある大木に剣で傷をつける。
「よし、これでいいだろ。アレク、どっちに行く?」
「じゃあ、こっちだ」
指で示したのは、右だ。
特に意味はない。
そして、さらに樹林の奥に向かって行くのだった。
中に入ってすぐ魔物に襲われる、などという事態にはならなかった。木々が密集して生えているので、魔物がどうこういう前に、普通に歩くだけでも大変だ。
「魔物だって移動するんですから、こんな場所に魔物は来ませんよね」
「木の隙間を何とか潜り抜けてる感じだもんな」
獣道すらない。
下も、地面というよりは木の根っこの上を歩いている。びっしりと、良くこんな状態で木が生長したものだと思ってしまうくらいには、木が密集している。
体の大きいバルは、大分大変そうだ。
「木が少なくなって開けてきたら、逆に危ないかもな」
泰基は周囲を見渡して、ユーリに答えつつ言葉を続ける。確かにそうだ、と頷くリィカたちだが、バルだけは反応が違った。
「魔物がいてもいいから、このクソ狭いの何とかしてくれ」
「それはお前だけだ」
アレクが言い返すが、実際の所洒落にならない状況だ。
バルの場合、体が大きいだけではなく、剣も大剣だから木に引っかかって邪魔にしかならないので、アイテムボックスにしまっている。
もし突然魔物が襲ってきても、対応が遅れてしまうのだ。そう考えると、バルの言う事も最もだとも思ってしまう。
リィカは木の間をすり抜けながら、周囲を見る。渡された《結界》の魔石に手を触れる。
自分自身に戦える能力がなく、守られるしかできない状況というのは、結構精神的にキツい。やっぱり魔道具ができるまで待ってもらえば良かっただろうか、なんて考えてしまう。
「みんな、魔物の気配だ」
アレクの言葉に、リィカの肩がビクッと上がった。
「まだ離れている。初めての気配だが……Cランク程度か?」
「そうだな。AやBじゃなさそうだ」
「オレが前に出るよ。援護よろしく」
「分かった」
アレクは先頭を暁斗に譲る。自分の剣は心許ないし、バルは剣をすぐに出せない。ここは、暁斗が適任だ。
そして、前に進むこと、少し。
「――開けたよ! 【隼一閃】!」
「ガァッ!」
暁斗が叫ぶと同時に、剣技を放った。そして、聞こえた声は、魔物の悲鳴か。確かに、暁斗のいる辺りが明るくなっている。
開けた場所に出たアレクは、同時に剣を抜く。
「Cランクの魔物、豹だ!」
ヒョウが魔物化した魔物だ。油断していいわけではないが、今さらCランク相手に苦戦はしない。
「【百舌衝鳴閃】!」
アレクが剣技を放ち、豹は倒れた。それを確認して、改めて周囲を見渡す。
この辺りから、大分空間が広い。所々に生えている木はとんでもなく大きく上を覆っているので、日差しは遮られているが、場所そのものは開けている。
バルがアイテムボックスから、魔剣を取り出して装着している。全員が揃っているのを確認して、アレクはもう一度周囲を見た。
「……で、洞窟はどっちだ?」
全員がずっこけそうになった。
ユーリが代表して、ツッコミを入れる。
「そんなの、分かるわけないでしょう。虱潰しに探すしかないと思っていましたけど?」
「……確かにそうなんだが」
アレクが落ち込む。リィカが苦笑して、アレクに近寄って話しかける。
泰基も周囲を見回した。
「虱潰しは確かにそうだろうが、印くらいはつけておかないか。じゃないと、同じ所を見て回ったとしても気付けないし、そもそも帰れなくなる」
あ、と声が揃う。
誰もそのことに気付かなかった。
「最初から、それをするべきだったな」
「うわー、思いつかなかった」
「出られますかね、ここから」
「……そうか。帰るときは、またあの狭ぇ場所、通んなきゃなんねぇのかよ」
アレク、暁斗、ユーリがぼやく。
バルのぼやきは、やや種類が違ったが。
「でも、ここからつけるだけでも、違うよね」
「ああ。どっちにしても、さっきまではあれだけ木が密集していたんだ。印をつけたとしても、後から見つけられたかどうか」
木と木の隙間を通ってきたが、ほんの一本でも通り抜ける隙間を外れたら、もうそれだけで印を見つけるのは無理になりそうだ。
木の密集地帯は、ひたすら前に進めば、どこかで外に出ると願うしかないだろう。
泰基は、近くにある大木に剣で傷をつける。
「よし、これでいいだろ。アレク、どっちに行く?」
「じゃあ、こっちだ」
指で示したのは、右だ。
特に意味はない。
そして、さらに樹林の奥に向かって行くのだった。
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