精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

文字の大きさ
9 / 1,022

獣人の国3

 ガチャガチャと鎧が音を立てる。それは僕ら以外の冒険者がたてる音で、僕らは鎧を着ておらず軽装備だ
 魔法使いや精霊術師、占星術師や風水師、そういった職の人ならば軽装備も珍しくない。装備自体にエンチャントが施されているのでそれが防御力を底上げしているらしい
 ただ、僕らの装備にはそういったものが全く施されていない。なぜならセルフ精霊の加護があるからだ
 もともと有望な冒険者や勇者に授けるものだけど、自分自身に加護をかけることもできるんですよ
 主な効果は防御力の強化、攻撃力の強化という一般的なものから耐性、オートで回復など実は性能がすごい
 それもそのはずで、僕らは最上位に位置する精霊だ。本来は世界を救うほどの人物に加護を授ける存在なのだ。それを私的に使えるのも世界が平和である証拠なんだろうと思う

 しばらく歩いて行くと上流へとたどり着いたようだ。でも原因となるものは見つからないので、水の湧きだしている川の大本、山にある洞窟の中へと入ることにした
 中は肌寒いらしく、冒険者たちは薄手のコートのようなものを纏い始めてる
「お前ら寒くないのか?」
 そう聞かれて気づいたんだけど、僕は全くと言っていいほど暑さ寒さを感じない。これも精霊特有のものなのかな? 
 するとその疑問にテュネが答えてくれた。どうやら精霊王には耐性と言うよりも無効化と言っていいほどの強力な加護があるらしい。そりゃ暑さ寒さも感じないわけだ
 一応冒険者たちには耐性があることを伝えた。耐性がある人間も意外といることがあるので珍しくないんだそうだ
 洞窟を進むとわずかに水の音が聞こえてくる。チョロチョロといった弱弱しい音が洞窟内に響いてきて、光の魔法で洞窟内を照らしているため非常に明るく内部であるにもかかわらずよく見えた
 そして水がせき止められている原因が分かったよ
 なんと、水源に巨大な植物が芽吹いていたのだ。こんなものが詰まっていれば当然水は流れない
 冒険者たちは植物を焼くために炎系の魔法の詠唱を始めた。それに伴い僕とエンシュも炎の精霊魔法を行使する
 僕らの精霊魔法は普通の魔法と違って詠唱が必要ない。怪しまれるといけないので一応唱えたふりをして放ってみた
 かなり加減したつもりだったけど炎は予想以上に大きく燃え上がってしまってびっくり。大きく炎に包まれて大量の黒煙が出る
 これで水も流れ始めるはずだとみんなで安心したが、黒煙が晴れるとまるで傷のついていない植物がそこにあった
「なんだ? なぜ燃えない?」
 何人かが驚きの声をあげていると、植物ががさりと動いた気がした
「なんか、動いた気がするんだけど・・・」
 そう口にすると、オウルが「馬鹿言っちゃいけねぇ、植物が動いてたまるかよ」と言う
 それを合図にしたかのように植物がむくりと起き上がった。そして、まるで巨人のように立ち上がったのだ
 顔らしきものが見え、その中央にはぎょろりと一つ目がこちらを見据えている
「あれは、ミートイータープラントマンです。人間を喰らう凶悪な植物型の魔物ですよ」
 まるで講義でもするかのようにテュネが教えてくれた
 でもそんな悠長なことやってられないんだよテュネ、なぜなら今まさに僕らを食べようと襲ってきてるんですからね
「まずいぞ! あれはBランク指定の魔物だ! 俺らじゃ勝てねぇ、逃げるぞ!」
 リーダーオウルの采配は間違っていない。勝てなければ逃げる。それは当然のことなんだ
 勝てなければ、だけどね
 僕らは逃げる彼らを尻目に立ち向かった
 それを見てオウルが僕を引っ張って行こうとしてる。恐ろしさで足がすくんだと思ったんだろう
「嬢ちゃん! 速く逃げろ! 俺が食い止める!」
 嬉しかった。まだ会って間もない僕らを危険を顧みず守ってくれようとしているのだ。でも、僕らは喰われてやる気はない
「大丈夫だよオウルさん、僕らなら勝てるから」
「何言ってんだ! 気でも触れたのか!?」
 慌てるオウルさんをフーレンの風の牢獄でとらえて守るように後ろへと下げさせた、僕は力を解放した
 その姿は精霊王マクスウェルに戻っている。幸いフーレンの風の牢獄が視界を遮ってオウルからは見えていない
 僕は手に力を収束させた。光を圧縮し、撃ちだすために
 段々と近づいてくるプラントマンは既に目前へと迫っていた。それに向かって僕は手に溜めた光を解き放つ
 一瞬周囲が輝くとそこにはプラントマンの黒焦げになった死体が転がっているのが見える
 その死体が崩れ去ると同時に勢いよく水が噴き出してきた
 僕らはオウルさんたちを連れて一気に洞窟を抜け出すと、すでに外へ出ていたメンバーと共に洞窟から吹き出る水を見た

 湖に戻ると無事滝は流れ落ちるようになっていて、それこそまさに絶景かな絶景かな
 激しく叩きつける水の勢いと美しくかかる虹のコントラストは非常に心にしみわたる光景だった
「ありがとうございました! こちら報酬の金貨20枚です!」
 管理人さんが金貨の入った袋をオウルさんに渡した。それを見て僕らはまた滝を見に行こうとその場から離れようとした
「待ってくれ嬢ちゃん。これはあんたらのもんだ」
 へ?一体何を言ってるんだ?
 僕は別に報酬なんていらないんだけど・・・
「いいからもらってくれ、あんたらのおかげで俺らは無事帰れたんだ。感謝してんだぜ。それによ、まさかプラントマンまで倒しちまうとは思わなかった」
 そう言われると少しむずがゆかったけど、僕らは金貨2枚だけをもらってあとは全てオウルさんに渡した
「あとは皆さんで分けてください。僕らはこれだけあれば十分ですから」
 彼らは納得してくれなかったけど、無理やり押し付けてまた滝を見に行った
 滝は本当に素晴らしく、マイナスイオンとかそういう類が出ているのか、癒しまで与えてくれるようだった
 すると、湖の水面下に何か黒い影が見えた。じっと目を凝らすとそれはこちらに向かってくる
「ん?え? 何か来てる」
 僕がじっとそれを見ていると、それは湖から飛び上がった
 まるで蛇のような姿、鋭く生えた牙に大きく裂けた口、真っ赤な目に木の枝のような角、体色は神々しいまでに白い
 それはまさしく龍。その龍は僕の元に顔を寄せると静かに話しかけてきた
「御礼申し上げます、精霊の王よ。わたくしの名前はミスティ、霞龍にしてこの湖の守護霊獣です」
 彼女(牝らしい)は霞龍という龍で、この湖を守護しているそうだ
 周りの冒険者には話し声は聞こえていないようで、ただただ口を開けて驚いていた
 ミスティさんは滝を戻してくれたお礼をしたかったようで、彼女は僕にうろこをくれた
「そのうろこを天に掲げればわたくしの眷属があなた様に力を貸すでしょう。どうか、お持ちください」
 深々と頭を下げるミスティさん、僕は遠慮なくもらっておくことにした。
 そんな騒動もあったけど、僕らは存分に観光を楽しんでミューニアへと戻った
 次に向かうは犬型の獣人たちが住む街ワオニシアだ
 猫好きだが犬好きでもある僕は今から楽しみで仕方ないよ
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。