精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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黒の国24 後編

 青い髪の少女はゆっくりとこちらに歩いてきた
「初めまして、わたくしは詩季、ナンバー2のフユノですわ」
 優雅なお辞儀、お嬢様みたいだ
 それにしてもナンバー2? この人も詩季さんって名前なのかな?
「少し、勘違いをしているようですので説明をさせていただきますわね」
 え? 心、読まれてる?
「わたくしも八十一階層にいた詩季ですわ。あの時はナツキでしたけど」
 ん? んん? 訳が分からないぞ
 もしかして、二重人格?
「それも違いますわ。わたくしたちはそれぞれ別人にして同一人物ですの」
 詩季さんの体が光る
 そして髪の色が赤くなり、髪型が変わってショートヘアになった
 さらに言うと顔まで活発そうに変わってる
「やぁ、また会ったね。あたしの自己紹介はあそこでしたからいいよね? ナツキって呼んでよ。それとさっきのはフユノね」
 少し、わかってきた
 また詩季さんが変わる
 今度は黄色い少しカールのかかった肩までの髪におとなしそうな顔立ち
「わ、私は、詩季、ナンバー3のアキナ、です」
 そしてまた姿が変わる
 今度は桜色のボサボサな髪にダルそうな目つきの顔
 可愛い顔してるのにそんな表情でいいの?ってほどダルそうだ
「あーめんどくさ、めんどいから名前だけね。詩季、ナンバー4のハルナ」
 そっか、この四人、四人で一つの体を共有してるんだ
「正解ですわ」
 またフユノさんに変わった
「わたくしたちの自己紹介はこれで終わりですわ。では、勝負いたしましょう」
 雰囲気が変わった
 今まではただの女の子、殺気も何もない、姿が変わる以外は本当に普通の女の子だった
 でも今は違う
 アクシアさんよりも歴戦を潜り抜けてきたかのような風格と威圧感があった
「行きますわよ。強化!」
 フユノさんは自身を最大に強化しているみたいだ
 そして姿がナツキさんに変わった
「フユノ、凄いやる気だったね」
 いや、そういうあなたはもっと力が高まってるんですけど・・・
 ナツキさんは自身の力を開放して足のホルダーにかけていた銃を手にする
「さてと、んじゃやりますか」
 姿が消えた
 でもこれ、テレポートじゃない。単純に身体能力だけで僕らより速いんだ
 音が遅れてやって来る
「せりゃぁ!」
 銃で殴りつけるようにしてクノエちゃんの脇腹を狙う
 それをクノエちゃんは刀で弾いた
「甘いよ」
 弾かれた銃を撃ち、その反動で軌道を変えてクノエちゃんの頭部を捕らえた
 クノエちゃんは回転しながら吹っ飛んで壁に思いっきり叩きつけられて戦闘不能になった
「い、一撃で・・・」
 ナツキさんはまだまだ本気に見えない
 これは一筋縄じゃ行かなそうだ
 銃は未だまともに使ってきていない。体術だけで僕らを圧倒していた
「エンシュ、足止めを!」
 指示を飛ばして僕とフーレンは一旦後ろに下がる
 エンシュの脚撃はナツキさんと互角に張り合ってたけど、あの銃の反動で相手を殴る攻撃はどこで撃つのか分からないので軌道が読めない
 着実にエンシュの体力を奪っていくけど、僕の回復魔法で何とかもっていた
 そこで僕は危なそうなエンシュのサポートのためにメダリオンでゴーレムを召喚
 召喚された三体のゴーレムは壁になるようにエンシュとナツキさんの間に入る
 しかしそれでもナツキさんは止めることができなかった
 ついに銃を本気で使い始めたらしい
 どうやらこの銃、弾は圧縮された空気の塊みたいで、敵にあたると一気に膨れ上がって炸裂するみたいだ
 それによりゴーレム三体はあっさりと倒された
「くそ、何て強さなんだ」
 僕はすぐにポチちゃんのオーブを取り出して召喚した
「うぬ! すぐに呼んでくれるとは思わなかったぞ!」
 召喚されたポチさんはナツキを見る
「あやつがわしらの敵なわけじゃな」
 触手をうねうねと伸ばし、拳のように固める
「烏賊式格闘術!」
 触手を鞭のように地面に打ち付けるとナツキさんとの間合いを一気に詰めた
 そこから拳と触手による連撃
 これにはナツキさんも思わずひるんで体勢が崩れた
 そこをすかさずエンシュが蹴り上げる
 吹き飛んだナツキさんをフーレンの魔法で打ち砕いた
 ナツキさんは一気に赤くなって地面に打ち付けられる
「油断、しちゃったな」
 ナツキさんの姿が変わってアキナさんになった
「す、すいません」
 なぜか謝るアキナさん
 おもむろに自分の手を自分の胸に宛がった
「リカバリー」
 どうやらアキナさんの能力は傷を癒す事みたいで、赤かった体はすぐに元に戻った
「う、ふりだしじゃないか」
 またナツキさんに代わる
「ふー、危なかった。ありがとうアキナ」
 ぎろりとポチちゃんを睨む
「ちょっと本気、だすね」
 え? 今までのって本気じゃなかったんだ
 ナツキさんの持っている銃が何やら光り始めた
 そして変形し、刀のツカのようになる
「オーラブレード」
 その手には神流さんが持っていたようなオーラで出来た剣が握られている
「フユノ、力ちょっと借りるね」
 そう言ったとたん、ナツキさんの髪の色が変わり、赤に青いメッシュが入って視界から消えた
 これは高速移動じゃなくて、テレポーテーション?
 僕の後ろに現れるナツキさん
「うわっ!」
 慌てて防御結界を張るけど、あっさり破壊された
 そのまま僕は斬りつけられる
「ぐぅ!」
 吹っ飛んだ僕は体力のほとんどを持っていかれてしまった
 慌てて回復しようとすると、目の前にナツキさんが出現した
「遅いよ」
 剣が僕に迫る
「アースクエイク!」
 間一髪でアスラムの攻撃が間に合い、ナツキさんは体勢をくずして尻もちをついた
「今です!」
 テュネ、アスラム、エンシュによる総攻撃がナツキさんにクリーンヒットした
 やった! これで勝て・・・
 視界が変わった
 何が起こったのか分からないまま僕はナツキさんに斬りつけられた
 かろうじてほんの少しの体力が残ったけどこのままじゃ逃げきれない
 テュネたちも何が起こったのか分からないって顔をしている
「ちょっとだけ時間を戻させてもらったよ」
 時間が、戻る? そんなの反則じゃないか・・・
「それっ」
 また僕を斬りつけようとするナツキさん
 今度はテュネの弓による攻撃で助かった
「リディエラ様!」
 エンシュが僕を抱えて転がる
「あらら、またやられちゃった。あたしも学習能力がないなぁ」
 また視界からナツキさんが消え、フーレンの後ろに現れると、攻撃をクリーンヒットさせてフーレンを戦闘不能にした
「よしっと。これであと四人だね」
 現れては消え、消えては現れを繰り返すナツキさん
 どこに現れるの予測できない
 でも
「そこだ!」
 気配の読める僕たちはすでに攻略法を見つけていた
 ナツキさんは攻撃の時必ず背後に現れて、右側から攻撃する癖があった
 常に気配を読んで、自分の後ろに現れたら攻撃
 テュネたちも気づいたようで、エンシュの後ろに現れたナツキさんを後ろ回し蹴りで蹴り上げ、アスラムの巨大金槌で地面に叩きつけた
「う、わ、あたしの動きが、読まれてる?」
 すぐに回復して立ちあがるけど、もはや攻撃の読まれているナツキさんは全く攻撃が通らなくなって悔しがる
「もう! なんでなんでなんで!」
 するとナツキさんがまた入れ替わった
 今度はハルナさんだ
 ダルそうな目つきでこちらを見据えている
「うん、めんどくさいからすぐ終わらせるね」
 また何が起こったのか分からなかった
 気づくと僕は戦闘不能になってたんだ
「リディエラ様! そんな、一体どうやって」
「はぁ、はぁ、これ、疲れるから、あんま、やりたくないん、だよね」
 ハルナさんの息が上がってる
「一体何をしたのです!」
「ん? ふつうにさ、時間を止めて、ぼっこぼこに殴り続けた」
 時間、停止? またしても反則技じゃないか・・・
 どうあっても勝てる気がしなくなってくる
「あ、勝てないと思ってる? 大丈夫、これ使えるのルール上二回までだから、もう使えないよ。私が出ちゃうと、それこそチート、反則だからね」
 ハルナさんはあっさりと引っ込んでナツキさんに戻った
「そういうこと、でも、あたしの動き、もう読まれちゃってるからこれ以上は無理っぽいんだよね。ってことでギブでーっす」
 まだまだ余力のありそうなナツキさんはギブアップ宣言をした
 それによりこの階層をクリアしたことになった
 なんだか腑に落ちないな
「いやさ、実際ハルナの力って反則級だから正直使いたくなかったんだよね。でも君たち予想以上に強いからさ」
 今後ハルナさんはこのゲームに参加しないらしい
 本人ももうめんどくさいって言って参加を拒否してるし、ま、いいのかな?
 辛くも九十階層をクリアして次への階段が現れた
「覚悟してね。最上階にいるのはあたしたちよりはるかに強い人だから。なんてったって・・・。あ、これ以上はネタバレ? ごめん、ハルナが言っちゃダメだって。まぁ頑張ってよ。これあげるから」
 もらったのはナツキさんが持っている銃に似た武器
「それ、量産型だけど多分君なら使えるよ」
 僕に銃を渡し、ナツキさんはまた会おうねと言って手を振った
 この銃、多分超能力に反応するんだよね?
 僕、そんなの使ったことないんですけど・・・
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