精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

文字の大きさ
212 / 1,022

妖怪族の国24

 不思議な遺跡は今はまぁ気にしないようにしておこう
 気を取り直して第九階層だ
 ここは湿地帯みたいで、ぬかるみに脚を取られそう
 うん、飛ぼう
 こんな環境じゃ戦いにくいもんね
「クノエちゃん、レナちゃん、僕の手を」
 二人に手を取ってもらって宙に浮く
 正直僕じゃ二人を運ぶのはつらいけど、これも修行だと思って頑張る
「く、ん、ふくぅ」
「ちょリディエラちゃん、変な声が出てるわよ。わっちは大丈夫だから降ろしなさいよ」
「そ、そうですよリディエラちゃん」
 二人にそう言われたけど大丈夫、僕はさらに魔力の制度を上げた
「いい調子ですリディエラ様、そのまま魔力を維持してください」
「くん、ふっ、くふぅ」
 段々と魔力が安定して二人を持ち上げるのが楽になってきた
 実はこの浮遊が魔力コントロールに一番いい修行法らしい
 繊細なコントロールに加えて出力もいるからなんだけど、これを完璧にコントロールできるようになれば合成魔法も労せず操れるようになるはずだ
「もう少し出力を上げてみて下さい。コントロールはそのままを維持です」
 テュネに教えてもらいながら着実に上達していくのが分かった
 なんだか二人を抱えている気がしないくらいに軽々と飛べている
「さすがですリディエラ様、この短時間でもうコントロールできていますよ」
 一人で飛ぶぶんにはコントロールは簡単だったけど、僕が抱える人数が一人、二人と増えていくごとに使う魔力も比例して増えていく
 でも一度このコツをつかんでしまえば、あとは自転車に乗るようにいつでもコントロールが可能になる
 しかも十トンくらいの大岩だって持ち運べるくらいになるらしい
「どうやら階段が見えてきましたね。魔物も何もいなかったのでしょうか?」
 エンシュがキョロキョロと周りを見ている
 それにつられて僕も下を見てみると、湿地帯の水の中を何かが蠢いているのが見えた
「ね、ねぇ、あれ何かな? どう見ても生き物、だよね?」
「あれは、スネークドックですね。蛇のようにしなやかな骨と硬い鱗を持つ犬型の魔物で、主に水辺に生息する魔物です。一度引きずりこまれれば命はないと言われる凶悪な魔物ですね。歩いてここを渡っていれば誰かが餌食になっていたかもしれません」
 ひぃ、そんな危ない魔物がいたのか。浮遊して正解だったよ
 無事に湿地帯を過ぎて階段まで来ることができた
 魔物は湿地帯からは出ることができないみたいだからここは安全だ
「さぁ、次の階層へ行こう」

 ようやく最後の階層、第十階層だ
 ここはいわゆる主部屋で、迷宮最強の守護者が守っている
「ねぇ、あれ、だよね?」
「ええそうですね。しかしあれはまさか、神話クラスの魔物? いえ、神獣がいるとは思いませんでした」
 テュネが珍しく恐れている
 十階層の守護者はなんと、フェンリルという犬型の魔物の中でも最強、いや、神獣だから魔物じゃないのか
 当然さっき出てきたレッサーフェンリルなんかとは比べ物にならないくらいに強い
「フェンリルは神獣という名の通り種としての限界を突破した生物です。セルズクのフクちゃんも神獣でしたが、あの子とは全く異なるモノだと考えてください。フェンリルはそれこそ戦闘に特化した神をも砕く牙を持っているのです。この世界の、ましてや迷宮にいるようなモノではありません!」
 アスラムの説明が怖いんだけど
「そ、それって、強さで言うどのくらい?」
 恐る恐る聞いてみた
「SSSランクのその上・・・。神災クラスです」
 そんなにヤバい神獣がどうしてここに? 一体何が起こってるの?
 そんなことを考えているとフェンリルはこちらに目を向けて悠然と近づいてきた
 その魔力が痛いほど肌に伝わってくる
「リディエラ様、クノエ、レナ、離れていてください。これは、私達が全力で!」
 テュネが本気になっている
 めったに見ないテュネの本気
 そのあとに続くようにエンシュ、アスラム、フーレンがその魔力を解放する
 そしてここからが精霊の本領発揮。霊力を開放した
 これは魂その物にダメージを与える力。普段は危険すぎて閉じている力だ
 霊力を解放したことによってテュネたちは本来の姿に戻る
 いつもの精神生命体のような姿ではなく、神霊体としての姿だ
 体は人間の形を保ってるけど、体全体を霊力と魔力が包んで神々しいほどの力を感じる
「かつて世界を喰らったと言われる神獣相手では生命の女神の力も及ばないかもしれません」
「それってつまり、死んだら本当に死んじゃうってこと、じゃ・・・」
「そうなりますね。ですがリディエラ様とクノエ達はこの命に代えても守って見せます!」
「私たち~、この姿になった時負けたことはないんですよ~? きっと大丈夫です~」
 ダメだ
「さぁ早くお逃げください!」
 ダメだ
「私達、リディエラ様と一緒に旅ができて幸せでした」
「ダメだよ!」
 僕は四人の前に出て手を広げてフェンリルの攻撃を結界で・・・
 防げなかった
 牙は僕の眼前まで迫り、その口が閉じられるのを見た
 あぁ、死ぬときって、こんなにゆっくり時間が流れるんだ
 転生する前は病院で意識を失った状態で死んじゃったからわからなかったよ
 ごめんテュネ、エンシュ、アスラム、フーレン、クノエちゃん、皆・・・
 僕は死んじゃうみたい
 目をつむったけど死はいつまでたっても来なかった
 ゆっくりと目を開けると、そこに一人の男の子が立っている
「間に合ってよかった。大丈夫かな? 精霊の王女ちゃん?」
 その男の子はただのショートソード一本でフェンリルの牙を抑えていた
「いやぁ、異世界からの化け物がこんなところに現れるなんて思ってもみなかったよ。キュカ様のおかげでギリッギリ間に合ったってとこかな?」
「え? あ、あの、あなた、は?」
「そっか、名前教えてなかったね。俺はカイト。カイト・タキガミって言うんだ」
 この名前、もしかして日本人?
 僕は一瞬とはいえ全魔力を結集して作った結界を解除したとたん、気を失った
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた! ※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています