精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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妖怪族の国25

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 気絶したため後からテュネに聞いた話なんだけど、カイトさんはショートソード一本でフェンリルを圧倒し、世界を喰らうといわれるフェンリルの力さえも切り裂いて見せたらしい
 力を切り裂くっていうのがよく分かんないけど、フェンリルは無事倒せたみたいだね
「大丈夫ですかリディエラ様?」
 僕を心配そうに見つめるテュネの顔
 その周りにエンシュたち、そしてクノエちゃんとレナちゃん
 で、彼女たちの後ろに一人の少年が立っていた
「お、目が覚めたみたいだね妖精王女ちゃん。名前はリディエラ? リディちゃんでいいかな?」
「は、はい、あの、ここは?」
「ここはわちの屋敷です。失礼ながらわちの部下たちに運ばせました」
 どうやら僕は魔力切れで昏倒していたらしい
 実はこの魔力切れによる昏倒、人間であればさほど問題はない
 それは体があるから。体が魂を保護しているから魔力さえ回復すれば元に戻る
 でも精神生命体である精霊や神や天使、神仙や鬼神、龍神、竜神何かは違う
 魔力切れを起こすことがほぼない精神生命体は、魔力や気力といった目に見えない力によって体を保護している
 つまりその魔力が切れるということは、存在を失うってことだ
 不老不死だといわれる精神生命体も、こうなればさすがに危ない
 今回も前回も、テュネたちが僕の体を保護してくれていたおかげで助かったんだ
「ご、ごめん。僕、また・・・。」
「無事ならばそれでいいのです。私達がリディエラ様を守れなかったのがいけないのです」
 四大精霊は一斉に涙を流す
 僕が死にかけた悲しさと、守れなかった悔しさで
「はいはいはいはい、しんみりはそこまで! 僕が間に合ったんだからよしとしてよ」
「しかしカイト様」
 ん?テュネが様付け? 彼は一体何者なんだろう
「さてリディちゃん。僕の名前はさっきも言った通りカイト・タキガミだ。今から四億年ほど前にこの世界に来た異世界人で、不老不死の能力と力量の破壊というスキルを持った元勇者だ。まぁ他にもスキルはあるんだけど今はいいや」
 カイトさんはもともとこの世界の勇者だったらしい
 四億年前の魔王をこの世界に流れてたった数日で倒し、さらには様々な場所で今まで放置されていたSSSランク以上の異世界から侵入してきた魔物を退治して回ったという
 この世界最強種の精霊達ですら手を焼くほどの魔物たちをだ
 でも四億年前の日本人だとしたら、彼はあまりにも現代的な話し方をしている気がする
 あの頃日本人はまだいないはず・・・
 じゃぁこの人って何なの? 
 まさかここに来るときタイムスリップまでしたってこと?
「不思議そうな顔をしてるね」
 カイトさんは僕に耳打ちするように話しかけた
「僕は本当に四億年前の日本から来てるよ。君たちの知らない超古代の日本さ。そう、神代《じんだい》の時代。日本神話は知っているよね?」
 どうやらこの人は僕が転生していることを知っているみたい
「は、はい。確かアマテラス様の出生や神々のおとぎ話のことですよね?」
「あれは本当にあったことでね。僕が生きていたのはその時代さ。そして僕は五色人文明と呼ばれる、始まりの人間の生き残り。五色の王のリーダー、黄金人のカイト」
 とんでもない話を聞いた気がする
 全ての世界の人間の祖。それはウガヤフキアエズ様、正式な名前はヒコナギサタケウガヤフキアエズ様という神様で、五色人はその人間の元になった人達らしい
 その中でも黄金人という日本人の元になった種族は五色人のリーダーだったらしい
 つまり彼は、日本人の祖ってこと?
「リディちゃんの考えていることで大体あってるよ。まぁ黄金人の役目はもう終わってるし、僕はここで気楽に暮らすと決めたんだ」
 彼のほとんどの力はここに来る以前から持っていたらしい
 この世界に渡った時に手に入れた能力はたった一つだけ。それが不老不死の能力だった
「僕のかつての仲間はみんな死に絶えた。でも僕はこの世界に来れて幸せだよ。母さんにも会えるしね」
 彼の母親はウガヤフキアエズ様の妻、あの有名な海神ワヅツミ様の娘、タマヨリヒメ様だ
 神話にも登場する有名な女神さまだね
「さてと、僕がここに来たのはあのフェンリルを倒すためだけじゃない。一番の目的はあの遺跡に封じられていた得体のしれないモノ。あれはこの世界だけじゃない。全ての世界に影響を及ぼすモノだ。そしてもう一つ。君に会いに来た」
「僕に、ですか?」
 話が大きすぎて油断していた。まさか僕に話が及ぶと思ってなかったから
「うん。まだ話せないけど君の人格、人望、力。どれをもってしても素晴らしいと思う。これからもっと旅を続けて力をつけるといい。その時にまた会おう」
 自分の用件だけ伝えてカイトさんは消えた
 文字通り目の前で消えちゃった
「相変わらずですね、あの方は」
 そっか、テュネたちは勇者を全員知ってるんだった
 それにしても、とんでもないことを知ったような・・・
 まぁでも旅を続けるようにカイトさんも言ってたし、このまま続けよう
 次は妖猫族の国。レナちゃんにまた会う約束をしてから僕の回復を待って妖猫族の里へと出立した
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