精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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妖怪族の国53

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 セツ、ムラサメ、シノノにその場を任せて僕たちは次なる場所へ移動した
 ミズキさんは相変わらずポーカーフェイスなんだけど、これからの見通しも立ってどことなく嬉しそうだ
「次はこちらです」
 ミズキさんが案内してくれたのは巨大な穴の開いた荒野だった。まるでクレーターみたいだ
「ここはその昔、空から厄災が降り注ぎ、かつての蛇王と呼ばれる妖蛇族の族長がそれを受け止めたと言われる場所です」
 本当にクレーターだったのか。多分厄災と言うのは隕石のことだね
 それにしてもそれを受け止めるって、とんでもない人がいたもんだ
「蛇王ジャクズレ様は燃え盛る厄災を受け止め、無限にも続くような痛みに耐え、幾度となく焼かれ、再生し、この周辺に住む民を守りました。ただ、ジャクズレ様は自身の強力な再生能力をもってしても治らないほどの大きな傷を負ってしまい、その傷が原因で亡くなられました。そんな彼を称えて作られたのが、あの穴の中央に立つ巨像です」
 確かに中央に大きな妖蛇族の男性の像が立ってる
 大きさは十メートルくらいかな。精悍な顔立ちの男性だね
 そして彼は勇ましく隕石を受け止めている
「この人って子孫はいないの?」
「いますよ」
「そうなんだ、あってみたいね」
 なんのけなしにそう言うと、ミズキさんが呼んできますと言って走って(蛇の足なので這ってかな?)行ってしまった
 数分後、一人の少女と一緒にミズキさんが戻って来た
「お待たせしました。この子が次期族長のミナです」
 連れてこられたミナちゃんもミズキさんと同じく無口でポーカーフェイス
 かなりしっかりした子みたい
「ミナです。この度は我らが里に訪れていただき大変恐縮にございます。ひいては精霊様にこの里を楽しんでいただけるよう精いっぱい務めさせていただきます」
 丁寧すぎるほど丁寧にあいさつしてくれるミナちゃん。うわぁ、小っちゃくて可愛いなぁ
 ミナちゃんはジャクズレさんの直系の子孫で、ミズキさんのいとこの娘だそうだ
 この里では実力至上主義なんだけど、ミナちゃんは既に頭角を現してて、同年代どころか上の世代も追い抜くほどの実力者らしい
「ではここからはミナにもついてきてもらいましょう。ミナ、大丈夫ですか?」
「はい、ミズキ様」
「フフ、いつものようにお姉ちゃんでもいいのですよ?」
 これはこれは・・・。どうやらミナちゃんは背伸びしてミズキさんと同じようにふるまってるっぽいね
 お姉ちゃんって呼んでるのがばれて顔を真っ赤にしてる
「お、お姉ちゃん、精霊様の前です! やめてくださいよ!」
 ミズキさんのポーカーフェイスも崩れてる。どうやら本当の妹のように可愛がってるみたいだ
「き、気を取り直しまして、次はこちらです。妖蛇族の伝統料理、怪鳥陰摩羅鬼おんもらきの卵を使った卵料理屋です」
 妖蛇族の卵料理というのは結構有名らしい。特に特製出汁を使った卵焼きは絶品!
 それを聞いて食べないという選択肢はない!
 店はやっぱり繁盛していて、少し待たなきゃいけない
 三十分ほど待って店内へ
 内装は当然和装。卵を焼いている良い匂いが!
 おススメをいくつか頼んで行儀よく待っていると、ふんわりと甘い香りが漂ってきた
「お待たせいたしました。怪鳥卵焼き、茶わん蒸し、ゆで卵、溶き卵の甘辛煮と生卵の卵どんぶりです」
 うわわわわ! なんとなんと、黄金に輝く卵料理のすごさに圧倒される
「いただきましょうリディエラ様」
 エンシュが待ちきれないと言った様子で一筋の涎をたらしてる
「その前に涎、拭こうねエンシュ」
 僕は懐からハンカチを取り出して拭いてあげて、ようやくいただきますと言って食べ始めた
「何これ!? こんなに美味しい卵食べたことない!」
 卵焼きから食べてみたんだけど、程よい甘みと出汁のうまみがじんわりとにじみ出て来るかのようだ
 それにこの卵どんぶり、フワトロ卵がご飯に絡んで口でとろける。ほっぺが落ちそうとはこのことだよ
 大満足ですはい
 卵だけだったんだけど、よく考えられていて、絶品としか言いようがなかった
「いかがでしたか? 卵料理は」
「すっごくおいしかったです!」
 また食べに来よう。今度は母さんも一緒にね
 この時は一緒に行けると思ってた。でもそれはもっともっと先の話になってしまう。
 僕はまだまだこんな他愛のない生活が続くと思ってたんだ
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