272 / 1,022
妖怪族の国62
第五階層への階段を降りると大広間になっていて、その中央に宝箱がぽつんと置かれていた
これはあれだね。いわゆるボス部屋ってやつかな?
さっきの妖狸忍者マスターが落とした鍵を使うんだろう。ってことはこの迷宮には鍵の守護者と宝箱の守護者がいるってことか
意を決して前に進む僕とタカラちゃん
「王女様、強い気配がビンビンとするんだよ。きっとさっきよりも強い魔物がいるんだよ」
「うん、気を引き締めて行こう」
宝箱の前まで来ると、案の定この部屋に仕掛けられた装置が作動した
宝箱は周囲の床ごとくるりと回転して地面に隠れてしまった
やや後に轟音が響いておくの大きな扉から大きな六本の尾を持つ狸が現れる
「あれは幻六狸《げんろくだぬき》だよ。妖魔獣の中でもトップクラスに強い危険な魔獣なんだよ」
タカラちゃんの説明によると、この幻六狸は幻術を使っていつの間にか忍び寄り、その鋭い爪や牙で相手の急所を突いてくるらしい
また、尻尾が六本あり、それぞれが魔獣となって襲って来るそうだ
「早速狙ってるんだよ。王女様、気を付けるんだよ」
「何言ってるのタカラちゃん! そこには何もいないよ!」
どうやらタカラちゃんは既に相手の術中のようで、あらぬ方向を向いてそこに攻撃態勢を取っている
しかし幻六狸はまるでタカラちゃんの方を見ていない。僕ばかりをじっと見つめ、ときおり恥ずかしそうに身もだえしていた
幻六狸の行動はよく分からないけど、ひとまずタカラちゃんにかかった幻術を解いた
「パチッと来たんだよ!」
いまだ襲ってこない幻六狸を見ながらゆっくりと後ろに下がる
僕は魔法を練って撃ってみた
「フレイファル!」
鳥の形をした燃え盛る炎をぶつける。直撃だ
中位魔法だから少しは威力がある。 直撃すれば火傷くらいでは済まないはずだ
でも上がった煙が引き、幻六狸の様子を見るとまるで無傷
涼しい顔をしている。ていうか僕をじっと見つめてとにかく顔を赤らめて恥ずかしがっている
これはちょっとかわいいかもしれない
「何で攻撃してこないんだよ? この妖魔獣は結構攻撃的だったはずなんだよ?」
確かにこれまでの魔物や魔獣はこちらに敵意を向けて、僕らを見るや否やすぐに襲ってきた
それなのに幻六狸は未だに攻撃するそぶりどころか、敵意すら向けてこない
それどころか幻六狸からは僕に対する好意が感じられるんだよね
しばらく無言の時間が続いたけど、意を決したのか幻六狸の方が先に動いた
幻六狸は妖術で変化する。その体を白い煙が包み込んだ
「ゲホゲホ、煙たいんだよ」
タカラちゃんは煙を少し吸い込んでむせている
「すいません、煙かったですか?」
煙が晴れてそこにはふさふさの丸い尻尾を六本携えた、少しぽっちゃりした可愛らしい垂れ目の女性が立っていた
「え? 幻六狸が人型に化けるなんて聞いたことないんだよ」
「そりゃそうですよ~。私は幻六狸じゃないですもの」
どういうことなのか話を聞いてみると、彼女は今回ここの守護を任された六尾狸《ろくびり》のフウカさんというらしい
六尾狸はこの世界にはいない妖怪族で、タカラちゃんが知らないのも無理はなかった
迷宮は異世界と通じているって確か聞いたような。それでフウカさんがここの守護者になったのかな?
「いやね、私の世界には貴方みたいに強い精霊はいないのよね。しかも、こ~んなに可愛い子もいないのよ」
フウカさんは僕を抱き上げると頬ずりしてきた。大きな胸が僕を包み込んでいる
「ふへぇ、なんて良い匂い。それに柔らか~い。ねーねーお嬢ちゃん、私の世界に来る気はな~い?」
僕をガッチリと抱きしめて放さないフウカさんはそう言った
でも僕はこの世界を守る使命がある。それは聞けない相談だった
「そっかぁ、まぁそのうちってことかな?」
「それは、どういうこと」
あれ? 僕が抱きかかえられたまま振り向くとフウカさんは消えていた
「私、もとの世界に戻るね~。守護者の役目、果たしてない気がするけど、まぁいっかぁ。またいつか会おうねリディエラちゃん」
声だけが聞こえる。フウカさんの金木犀きんもくせいのような香りだけがそこには残っていた
「何だったんだろうね今の」
「分からないんだよ。でも、この世界にはたくさんの異世界から来た人がいるんだよ。きっとあの人もいった人達と同じような人だったんだよ。迷宮と次元扉、異世界門、転移ゲート。本で読んだ知識だけど、いろんな方法で世界どうしは繋がっているんだよ」
うー、なんだか頭が混乱してきたけど、要は異世界とこの世界は繋がってて、そこから人が行ったり来たりってことかな?
じゃぁ、この世界から別世界へ行った人もいるってこと?
分からないけどもしそうだとしたら、異世界旅行もありじゃない!?
そう思うとワクワクしてきた。もしそのことを知っている人がいたら詳しく話を聞いてみよっと
あ、母さんに聞けばいいんだ。そうだそうしよう!
僕は次に帰った時にそのことを聞いてみることにして、鍵を使って宝箱を開けた
・・・
空箱でした
はい、狸の宝箱は空箱です
これはあれだね。いわゆるボス部屋ってやつかな?
さっきの妖狸忍者マスターが落とした鍵を使うんだろう。ってことはこの迷宮には鍵の守護者と宝箱の守護者がいるってことか
意を決して前に進む僕とタカラちゃん
「王女様、強い気配がビンビンとするんだよ。きっとさっきよりも強い魔物がいるんだよ」
「うん、気を引き締めて行こう」
宝箱の前まで来ると、案の定この部屋に仕掛けられた装置が作動した
宝箱は周囲の床ごとくるりと回転して地面に隠れてしまった
やや後に轟音が響いておくの大きな扉から大きな六本の尾を持つ狸が現れる
「あれは幻六狸《げんろくだぬき》だよ。妖魔獣の中でもトップクラスに強い危険な魔獣なんだよ」
タカラちゃんの説明によると、この幻六狸は幻術を使っていつの間にか忍び寄り、その鋭い爪や牙で相手の急所を突いてくるらしい
また、尻尾が六本あり、それぞれが魔獣となって襲って来るそうだ
「早速狙ってるんだよ。王女様、気を付けるんだよ」
「何言ってるのタカラちゃん! そこには何もいないよ!」
どうやらタカラちゃんは既に相手の術中のようで、あらぬ方向を向いてそこに攻撃態勢を取っている
しかし幻六狸はまるでタカラちゃんの方を見ていない。僕ばかりをじっと見つめ、ときおり恥ずかしそうに身もだえしていた
幻六狸の行動はよく分からないけど、ひとまずタカラちゃんにかかった幻術を解いた
「パチッと来たんだよ!」
いまだ襲ってこない幻六狸を見ながらゆっくりと後ろに下がる
僕は魔法を練って撃ってみた
「フレイファル!」
鳥の形をした燃え盛る炎をぶつける。直撃だ
中位魔法だから少しは威力がある。 直撃すれば火傷くらいでは済まないはずだ
でも上がった煙が引き、幻六狸の様子を見るとまるで無傷
涼しい顔をしている。ていうか僕をじっと見つめてとにかく顔を赤らめて恥ずかしがっている
これはちょっとかわいいかもしれない
「何で攻撃してこないんだよ? この妖魔獣は結構攻撃的だったはずなんだよ?」
確かにこれまでの魔物や魔獣はこちらに敵意を向けて、僕らを見るや否やすぐに襲ってきた
それなのに幻六狸は未だに攻撃するそぶりどころか、敵意すら向けてこない
それどころか幻六狸からは僕に対する好意が感じられるんだよね
しばらく無言の時間が続いたけど、意を決したのか幻六狸の方が先に動いた
幻六狸は妖術で変化する。その体を白い煙が包み込んだ
「ゲホゲホ、煙たいんだよ」
タカラちゃんは煙を少し吸い込んでむせている
「すいません、煙かったですか?」
煙が晴れてそこにはふさふさの丸い尻尾を六本携えた、少しぽっちゃりした可愛らしい垂れ目の女性が立っていた
「え? 幻六狸が人型に化けるなんて聞いたことないんだよ」
「そりゃそうですよ~。私は幻六狸じゃないですもの」
どういうことなのか話を聞いてみると、彼女は今回ここの守護を任された六尾狸《ろくびり》のフウカさんというらしい
六尾狸はこの世界にはいない妖怪族で、タカラちゃんが知らないのも無理はなかった
迷宮は異世界と通じているって確か聞いたような。それでフウカさんがここの守護者になったのかな?
「いやね、私の世界には貴方みたいに強い精霊はいないのよね。しかも、こ~んなに可愛い子もいないのよ」
フウカさんは僕を抱き上げると頬ずりしてきた。大きな胸が僕を包み込んでいる
「ふへぇ、なんて良い匂い。それに柔らか~い。ねーねーお嬢ちゃん、私の世界に来る気はな~い?」
僕をガッチリと抱きしめて放さないフウカさんはそう言った
でも僕はこの世界を守る使命がある。それは聞けない相談だった
「そっかぁ、まぁそのうちってことかな?」
「それは、どういうこと」
あれ? 僕が抱きかかえられたまま振り向くとフウカさんは消えていた
「私、もとの世界に戻るね~。守護者の役目、果たしてない気がするけど、まぁいっかぁ。またいつか会おうねリディエラちゃん」
声だけが聞こえる。フウカさんの金木犀きんもくせいのような香りだけがそこには残っていた
「何だったんだろうね今の」
「分からないんだよ。でも、この世界にはたくさんの異世界から来た人がいるんだよ。きっとあの人もいった人達と同じような人だったんだよ。迷宮と次元扉、異世界門、転移ゲート。本で読んだ知識だけど、いろんな方法で世界どうしは繋がっているんだよ」
うー、なんだか頭が混乱してきたけど、要は異世界とこの世界は繋がってて、そこから人が行ったり来たりってことかな?
じゃぁ、この世界から別世界へ行った人もいるってこと?
分からないけどもしそうだとしたら、異世界旅行もありじゃない!?
そう思うとワクワクしてきた。もしそのことを知っている人がいたら詳しく話を聞いてみよっと
あ、母さんに聞けばいいんだ。そうだそうしよう!
僕は次に帰った時にそのことを聞いてみることにして、鍵を使って宝箱を開けた
・・・
空箱でした
はい、狸の宝箱は空箱です
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。
とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。
…‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。
「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」
これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め)
小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。