精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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竜人族の国12

 八階層の温泉は全員に解析というスキルが付与された
 相手の状態や状況、その全てを確認できるという異世界にあるスキルらしい
「こんな便利なスキルがあるのですね。この世界にはないスキル。欲しいですね」
 テュネはスキルや魔法、技術といったものの特性を研究するのが趣味で、当然異世界の力にも興味がある
 異世界の力について詳しいのもその研究の賜物だね

 第九階層に降りて中央を見ると、今度は忍者みたいな魔導人形が立っていた
 手にはクナイ、背中に大きな手裏剣。顔は忍者マスク?のようなもので覆われていて、目しか見えない
「あれは、忍でしょうか? 確かワコクという国にあのような隠密がいましたね。あ、ワコクはですね、異世界から来たサムライという種族が建国した国でして、領土はかなり小さいのですが、かつての魔王との戦いでは情報収集や戦闘で大いに活躍してくれました。そのため精霊の加護を受けている人物が多い国でもありますね。なんでも侍は居合術や抜刀術、忍は忍術という特別な力を持っているんだそうです」
 本当に侍と忍者だ
 てことは目の前の魔導人形はその忍を模して作られたのかな?
「動き出したようですね。気を付けてください、忍の速さと忍術の組み合わせは厄介だそうですよ」
 戦闘に関して達人の域のエンシュが注意してくれる
 忍術、ちょっと見てみたいな
 動き出した忍者人形は一瞬で僕の背後を取った
「え?」
「速い! リディエラ様!」
 一瞬すぎて反応が遅れちゃったけど、僕は相手のクナイを結界で防ぐ
「また消えた!」
 これが忍術!? 速いんじゃない、転移してるんだこれ
「ライトバレット!」
 僕は光魔法で走り回る忍者人形を狙い撃つ
 あ、当たらない、全然
「それならこれで!」
 僕は六階層で手に入れた力を使ってみることにした
「エンド、アルカナ」
 指を空に向けると、そこに星々の煌きが現れた
 星座の瞬きが始まり、それが二十一の大きな星の塊となって落ちてきた
 一つ一つが忍者人形を狙って追撃を始め、地面に落下していくんだけど、これも全然当たらなかった
 当たる寸前に転移して別の場所へ一気に移動しちゃうからだね
「これでも、ダメか」
「ならばこちらもスピードで翻弄するまでですよ!」
 ラキアさんが走り始める。すごい速さだけど、忍者人形には遠く及んでいない
「ウオラボルティガ!」
 テュネが忍者人形の動きを阻害するように電撃水流の魔法を撃ち始めた
 バシュンという音が心地いい
 忍者人形はそれでも容易くそれらを避けて、その上で僕らに攻撃を仕掛けてくる
 そこまでダメージを受けるわけじゃないんだけど、手数が半端じゃない
 突然消えて背後に現れるのも虚を突かれるし、忍術で突然空中からクナイが現れて飛んで来るし、攻撃が当たったと思ったら変わり身だし、分身の術で本体が分からなくなるし(ただこれは解析のスキルで判別できたよ)、たった一体だけなのに僕らの方が圧倒されている
 慌てたフーレンは巨大化して恰好の的になってるし、アスラムは相手の動きが速すぎて目を回してる
「美剣技最終奥義! 百花繚乱!」
 突如ラキアさんが叫び、その奥義を発動したとたん、彼女の動きが変わった
 ターンと足を地面に踏み込み、転移に追いつくほどの速さで忍者人形を追って行く
 さらにはその先々花が咲くように剣撃が咲き誇る
 すごいのが、転移先を読んでラキアさんが動いているところだった
 忍者人形はその動きを段々と制限されていき、やがて追いつめられた
「百花繚乱終の型、万界まんかい!」
 桜が満開に咲き乱れるように剣の残像が動き、追いつめられた忍者人形を切り裂いた
「ハアハア・・・。いかがでしたか、リディエラ様、これが美剣技の最終到達点の一つ、百花繚乱です」
 相当負担がかかるのか、ラキアさんは剣を杖代わりにしてて、足がガクガク震えている
「温泉が、湧いたみたいですね。お先に失礼しても、よろしいですか?」
「うん、もちろんだよ!」
 今回一番の功労者はラキアさんだもんね。ゆっくり浸かって疲れを癒してもらおう
 この温泉の効果は体力回復と“最大限”という効果だった
 この“最大限”というのは、全ての僕らの持つ力がいかんなく発揮できるというものだった
 つまり僕らは今までで一番いいコンディションで次の相手に挑めるってことだ
 六階層のスキルもまだ残ってるみたいだし、これならいけるかも
 それにしてもBランクから入れる迷宮の筈なのに、難易度がはるかに高いと思うんだけど
 もしかしてこれが件族のミカヅキさんが言ってた試練ってやつなのかな?
 各地で僕を鍛えてくれるって言ってたけど、これがそうなのかも
 だとしたら、僕全然役に立ってないじゃないか!
 少し落ち込みながらも次の階層に降りた
 落ち込んでも仕方ない、次の階層で頑張ればいいんだ
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