精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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神の如くは白と黒5

 ベルネッサ神殿を管理していた人たちには事前に避難してもらっている
 この神殿はもともと闇獣ベルネッサの封印が解けないよう見守るための神殿で、常に人が見張っていたのにもかかわらず封印は解けてしまったのよね
 しかも封印が解ける兆しが全くなかったのに、突如として、監視している人の目の前で黒い煙が吹きあがったみたい
 これは明らかに異常なことで、誰かが解かない限り解除されるはずのなかった封印が解けた
 つまりそれをやった人物がいるはずなの
 でもここを監視している人たちじゃないことは確かね
 だってそう言った危険性を危惧していたからこそ、監視は複数人で常に行っていたんだから
 つまり封印が解けたときにその封印に触った人間は誰もいなかった
 ここの封印を解くには複雑な呪文を唱えながらその手を付けて魔力を流し込まないといけないらしくて、それをした人間がいなかったってことは管理者たちは白ってことね
「お姉ちゃん、どう思う? やっぱりこれも一連の」
「ええそうね、他の事件と状況は似てるし、ほぼ間違いないわ。でもそんなことを考えるのはあとね。今はそのベルネッサを倒すことだけを考えましょう」
「うん、確か相手は呪いを振りまく危険な魔獣で、その呪いの効果も多岐にわたるみたい。でもお姉ちゃんなら大丈夫よね? だってお姉ちゃん呪いの効かない体だもんね」
「ハクラ、絶対なんてことはないわ。私に効く呪力もあるかもしれないもの、想定は常にあらゆる可能性を考慮しなくちゃ」
 はぇ~、やっぱりお姉ちゃんはすごいなぁ
 私もまだまだね、もっと考えて行動しないとね!
「着いたわ、あれがベルネッサ神殿ね。う、何てまがまがしい魔力かしら、ここからでも感じるなんて」
 まだ目視で辛うじて神殿が見える距離だけど、それにもかかわらずこれだけの魔力を感じるのは敵が恐らくSランクオーバー、いえ厄災かそれ以上の可能性もある
 神話級とまでは行かないけれど、それに近い実力だと思う
 こんなのを勇者が封じたの!?
 てことはその代の勇者はかなりの実力者だったってことね
 そんなことを考えていると、突如体に突き刺さるような殺意を感じた
「お姉ちゃん!」
「ええ、すぐにでも戦闘に移れる準備をしなさい! この魔獣、もうこっちに気づいてるわ!」
 お姉ちゃんがそう言った瞬間私めがけて黒い刃が飛んで来た
「うひゃぁ! 危ないよ!」
 私は神刀“散雪”でその刃を防いだ
「へー、これを止めるんだ」
 その刃を飛ばしたと思われるのは顔立ちの整った黒髪の少年で、頭から捻じれた角が生えている
 何この子、いきなりこんな
 いや、分かってる。神殿にあった魔力の気配と同じ
 この子は、ベルネッサなんだ
「僕を討伐に来たんだろうけど、そうはいかないよ。僕はこの国に復讐するんだ。何百年もあんなせまっ苦しい神殿になんて封じやがって。この国の人間全てを皆殺しにしてやる」
 私達の聞いた話だと、ベルネッサの見た目は角の生えた真っ黒なライオン
 呪いを振りまきながら駆け回ったって聞いたんだけど、今の姿は人型で、それも私好みのイケメン
 いくらイケメンだからって、私は攻撃をためらうわけじゃないけどね
「まあ、君たちが僕を止めるというのなら止めてみなよ。出来なかったらこの国は亡びる。世界は滅びる。ハハハハハ! いくよ!」
 ベルネッサの呪いを込めた刃がお姉ちゃんに振りぬかれけど、お姉ちゃんはその攻撃を指だけで止めて刃を砕いた
「な!? 僕の剣が」
「その程度の呪力で私を仕留めれると思っていたなんて、滑稽すぎて笑えもしないわ」
 お姉ちゃんの呪力が体の外側に溢れ出て来る
 近くにいるだけで体の芯まで凍りそうな恐ろしさで、私は思わず身震いした
 あれを私に向けられていたらおしっこを漏らす自信があるよ
「呪術秘奥義、怨浄《おんじょう》」
 お姉ちゃんが呪術の奥義をベルネッサに行使すると、ベルネッサの呪力は簡単に撃ち負けてその身を浄化させた
「なんで!? 僕の呪力は完璧だったのに! 前よりももっと強い恨みで、力も増していたのに!」
「お前は何か勘違いをしているようね。呪とはもともと願いや思い。決して人を傷つけるためのものじゃないのよ。それを知らずにただ怨念や呪いのためにその力を使った時点で、その力は決してお前のものにはならない。呪力は人を守り怨を浄化するためにあるのよ」
 お姉ちゃんから今感じる力は、優しくて暖かい力
 これが本来の呪力
 呪いなんてマイナス方面の力じゃ決してたどり着けない呪の本来の力、そして境地
 お姉ちゃんは昔から呪力が高かったから、それを正しく扱えるよういつも精進していた
 だからこそここまで呪力の極みに達せたんだと思う
「く、そうか、この優しい力、確かに僕じゃ出せないね。封印される前の僕は、力におぼれてた。何でもできると思って暴れた。それがそもそもの間違いだったんだ・・・。そうだ、僕が悪い。恨むなんて、筋違い、だ、った・・・ん、だ」
 ベルネッサは光に包まれて消えた
 これでこの神殿の役目も終わり
 多分呪いに掛かっていた皇帝陛下も元に戻ってると思う
 戻って報告しなくちゃね
「帰りましょうかハクラ」
「うん」
 お姉ちゃんの後について歩き始めると、私の足に何かが触った
「キャッ! なに!?」
 その足元には小さな黒猫。でも頭に捻じれた角が、生えて
「もしかしてベルネッサ?」
「うん、僕だよ」
「「ええええええ!!」」
 あのクールなお姉ちゃんまでも驚いて私と一緒に声をあげた
「なぜかわかんないけど、気づいたらこの姿だったよ。どう?可愛くない?」
「う、うん、可愛いんだけど・・・。どうしようお姉ちゃん」
「そうね、もう怨念は感じないから害はないんじゃない? お前はどうしたいの?」
「えっと、出来たら僕を皇帝のとこに連れて行って欲しいかな? まずは謝りたいんだ。僕の愚かな行為を」
 そっか、ベルネッサが呪いを振りまいたから皇帝陛下も床に臥せってたんだもんね。でも、許されるかどうかは分からないのよね
 なんせ皇帝の命が危なかったんだもの
「いいんだそれでも、僕はそれだけのことをしたんだから」
「まあ私達からも助力してあげるわ。何とか温情を取れるくらいには粘ってみてあげるわよ。それに・・・」
 あ、わかった。お姉ちゃんの意図が
 そっか、そりゃこれだけ可愛くなっちゃってるんだもの
 放っておけないんだね
 そう、お姉ちゃんは大の猫派なのです
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