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桃源郷15
やるせないほどの敗北感を味わいながら僕は第十二階層へと来ていた
ここは白と黒のタイルが敷き詰められた大部屋で、白いタイルに対して黒いタイルが数枚しかない
何か変だなぁって思いつつ白いタイルに足を踏み出すと、スーッとタイルが動いて端にあった黒いタイルまで移動させられてしまった
幸いタイルのない地面の横だったのですぐにマコさんのところまで戻れたけど、なるほど、移動式の床ってことはどこに移動するのかを見極めて進む必要があるね
かなり奥の方に次の階層への扉が見えるから、結構時間がかかるかも。それに飛んで行こうとしたら何か見えない力にかき消されて全然飛べなかったんだよね
つまり自分の頭で考えながら進まないといけないってことだ
うーん、僕頭悪いからなぁ。しかもこのタイル、どこに移動するのか何も書かれていないからどこを踏めばどう行くのかは覚えなきゃいけない
今踏んだタイルはここだから、ここからここまでは右端に移動させられるって言うのは覚えたんだけどね
「精霊様、私が行って覚えてまいりますので少々お待ちください」
「え!?」
マコさんは僕にそう言うとあっという間に行ってしまった
それも恐るべき速度で次から次へとパネルを移って行って、グングン遠くに進む
で、数十分でパターンや配列を理解してゴールまでの道順を導き出してから僕の元まで戻って来た
「こういったパズルや謎解き、私得意なんです!」
「ありがとうマコさん。おかげで楽に進めるよ」
嬉しそうなマコさんの後ろについて僕はタイルに乗った
するとどういうわけか、僕とマコさんは別々に移動させられちゃったじゃないか
困っているとマコさんはまたスタート地点に戻って僕の方へ来てくれた
「どうやら二人一緒に進むと別れさせられてしまうようです。私が指示しますのでその通りにタイルを踏んで行ってください」
「うん助かるよ!」
「まずはこのタイルを踏んでください」
元の場所に戻って来た僕はマコさんの指示通りのタイルに乗って行ってあっさりと扉の前までたどり着いた
それを見たマコさんはほっと安心したように同じようにタイルに乗って僕のいるところまで来ると、最後のタイルの所で躓いて僕に倒れ込んできた
「あう、申し訳ありません精霊様」
「うっぷ、だいじょぶ」
マコさんの豊満な胸に僕の顔が埋まりこんでいる
花のいい香りがする
思わずそのままマコさんに抱き着き続けてしまった
「あの、精霊様? 大丈夫ですか?」
「あ、うん、次に行こっか」
第十三階層に来ると船が一艘置いてあって、大きな湖が広がっている
その中心にちっちゃな島があった
「ひっ」
「精霊様、大丈夫ですか? もしかして」
「う、うん、ちょっとね」
少し前の海での出来事が頭をよぎる
もしまたあんな奴が出てきたらと思うと体が震えてしまった
どうやら僕はあの時の大男のせいで水辺というのがトラウマになってしまったようだ
「心配しないで下さい精霊様! 精霊様のことは私が必ずお守りいたします!」
「う、うん、ありがとうマコさん」
「精霊様は私の胸にでも顔をうずめて見ないようにしておいてください。次に目を開けたときはこの階層もクリアしていますよ」
「う、うん」
マコさんの大きな胸に安心しながら目をつむる
小舟に乗る音がしてマコさんがこぎ出したのが分かった
ゆっくりと、なるべく揺らさないようにこいでくれているみたいで、本当に安心して任せられた
で、抱っこされたまま小島に降り立つ
「うーん、特に何もないですね。向こう岸にも何もないみたいですし、次の階層への扉も見当たりませんね」
「もしかして、何か出てくるのかな? 前みたいに」
「その可能性は高そうです」
それを聞いて僕は体が小刻みに震えるのが分かった
あの時の記憶が蘇って怖い
「大丈夫、大丈夫ですよ精霊様」
マコさんがギュッと抱きしめてくれたおかげで少し震えも収まった
その時、水からザバァという大きな音がして、無い心臓が口から飛び出そうなほど驚いた
また震えが来るけど、マコさんにしがみついてたら僕の頭にそっと手を置いて落ち着かせてくれる
「精霊様、どうやら大丈夫みたいですよ。今出て来たのはマーマンと呼ばれる種族です。精霊様を見て平伏しているようです」
僕は恐る恐る目を開けてそのマーマンを見て見ると、魚の顔に人の体を持った人たちがこちらを尊敬のまなざしで見ていた
「精霊様だ。精霊様が来られた」
「これで俺たちは救われる」
「精霊様、どうかこの村を救ってください」
そうやってすがられると僕は精霊としての役目を果たさなきゃって気持ちになった
彼らの話を聞くところによると、ここ最近この水中にある村に汚れた水が流れこむようになったらしい
原因は川上にある人間達で、汚水を捨てているからなんだそうだ
人間達に汚水を流さないよう相談に行ったけど、それを頼みに行った人たちは気持ち悪いと言われ石を投げられたそうだ
聞く耳を持たないってことか
他種族を虐げてるなんて、僕のいる世界とは事情が違うみたい
こっちの世界は人間族も他種族と仲がいいし、ハーフだって驚くほど多い
魔族との和解以来種族間の争いがないんだ
うーん、どうすれば人間達に汚水を捨てないよう説得できるだろう?
この世界にも精霊がいるみたいだから会ってみようかな?
マーマンたちにそう言って僕は精霊がどこにいるかを探知した
すると案外近くにいることが分かった
それは、この川上だ
とりあえずそこにいる精霊に話を聞いてみよう
ここは白と黒のタイルが敷き詰められた大部屋で、白いタイルに対して黒いタイルが数枚しかない
何か変だなぁって思いつつ白いタイルに足を踏み出すと、スーッとタイルが動いて端にあった黒いタイルまで移動させられてしまった
幸いタイルのない地面の横だったのですぐにマコさんのところまで戻れたけど、なるほど、移動式の床ってことはどこに移動するのかを見極めて進む必要があるね
かなり奥の方に次の階層への扉が見えるから、結構時間がかかるかも。それに飛んで行こうとしたら何か見えない力にかき消されて全然飛べなかったんだよね
つまり自分の頭で考えながら進まないといけないってことだ
うーん、僕頭悪いからなぁ。しかもこのタイル、どこに移動するのか何も書かれていないからどこを踏めばどう行くのかは覚えなきゃいけない
今踏んだタイルはここだから、ここからここまでは右端に移動させられるって言うのは覚えたんだけどね
「精霊様、私が行って覚えてまいりますので少々お待ちください」
「え!?」
マコさんは僕にそう言うとあっという間に行ってしまった
それも恐るべき速度で次から次へとパネルを移って行って、グングン遠くに進む
で、数十分でパターンや配列を理解してゴールまでの道順を導き出してから僕の元まで戻って来た
「こういったパズルや謎解き、私得意なんです!」
「ありがとうマコさん。おかげで楽に進めるよ」
嬉しそうなマコさんの後ろについて僕はタイルに乗った
するとどういうわけか、僕とマコさんは別々に移動させられちゃったじゃないか
困っているとマコさんはまたスタート地点に戻って僕の方へ来てくれた
「どうやら二人一緒に進むと別れさせられてしまうようです。私が指示しますのでその通りにタイルを踏んで行ってください」
「うん助かるよ!」
「まずはこのタイルを踏んでください」
元の場所に戻って来た僕はマコさんの指示通りのタイルに乗って行ってあっさりと扉の前までたどり着いた
それを見たマコさんはほっと安心したように同じようにタイルに乗って僕のいるところまで来ると、最後のタイルの所で躓いて僕に倒れ込んできた
「あう、申し訳ありません精霊様」
「うっぷ、だいじょぶ」
マコさんの豊満な胸に僕の顔が埋まりこんでいる
花のいい香りがする
思わずそのままマコさんに抱き着き続けてしまった
「あの、精霊様? 大丈夫ですか?」
「あ、うん、次に行こっか」
第十三階層に来ると船が一艘置いてあって、大きな湖が広がっている
その中心にちっちゃな島があった
「ひっ」
「精霊様、大丈夫ですか? もしかして」
「う、うん、ちょっとね」
少し前の海での出来事が頭をよぎる
もしまたあんな奴が出てきたらと思うと体が震えてしまった
どうやら僕はあの時の大男のせいで水辺というのがトラウマになってしまったようだ
「心配しないで下さい精霊様! 精霊様のことは私が必ずお守りいたします!」
「う、うん、ありがとうマコさん」
「精霊様は私の胸にでも顔をうずめて見ないようにしておいてください。次に目を開けたときはこの階層もクリアしていますよ」
「う、うん」
マコさんの大きな胸に安心しながら目をつむる
小舟に乗る音がしてマコさんがこぎ出したのが分かった
ゆっくりと、なるべく揺らさないようにこいでくれているみたいで、本当に安心して任せられた
で、抱っこされたまま小島に降り立つ
「うーん、特に何もないですね。向こう岸にも何もないみたいですし、次の階層への扉も見当たりませんね」
「もしかして、何か出てくるのかな? 前みたいに」
「その可能性は高そうです」
それを聞いて僕は体が小刻みに震えるのが分かった
あの時の記憶が蘇って怖い
「大丈夫、大丈夫ですよ精霊様」
マコさんがギュッと抱きしめてくれたおかげで少し震えも収まった
その時、水からザバァという大きな音がして、無い心臓が口から飛び出そうなほど驚いた
また震えが来るけど、マコさんにしがみついてたら僕の頭にそっと手を置いて落ち着かせてくれる
「精霊様、どうやら大丈夫みたいですよ。今出て来たのはマーマンと呼ばれる種族です。精霊様を見て平伏しているようです」
僕は恐る恐る目を開けてそのマーマンを見て見ると、魚の顔に人の体を持った人たちがこちらを尊敬のまなざしで見ていた
「精霊様だ。精霊様が来られた」
「これで俺たちは救われる」
「精霊様、どうかこの村を救ってください」
そうやってすがられると僕は精霊としての役目を果たさなきゃって気持ちになった
彼らの話を聞くところによると、ここ最近この水中にある村に汚れた水が流れこむようになったらしい
原因は川上にある人間達で、汚水を捨てているからなんだそうだ
人間達に汚水を流さないよう相談に行ったけど、それを頼みに行った人たちは気持ち悪いと言われ石を投げられたそうだ
聞く耳を持たないってことか
他種族を虐げてるなんて、僕のいる世界とは事情が違うみたい
こっちの世界は人間族も他種族と仲がいいし、ハーフだって驚くほど多い
魔族との和解以来種族間の争いがないんだ
うーん、どうすれば人間達に汚水を捨てないよう説得できるだろう?
この世界にも精霊がいるみたいだから会ってみようかな?
マーマンたちにそう言って僕は精霊がどこにいるかを探知した
すると案外近くにいることが分かった
それは、この川上だ
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