精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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神の如くは白と黒8

 キキをそのままジョカさんたちに任せると、私はすぐにお姉ちゃんたちが戦っているあの祠の前へと転移した
 転移してすぐに目の前の光景に絶句し、思わずへたり込んだ
 お姉ちゃん以外の三鬼仙が全員血まみれで倒れている。でもまだ息がある!
 体のあちこちに穴が開いてるみたいで、お姉ちゃんもお腹の当たりがぽっかりと空いているのが見えた
 確かに精神生命体であるお姉ちゃんを傷つけてるってことは、相手はそう言った者を殺しうるんだ
 私はすぐにお姉ちゃんの横に並ぶと相手をしっかり見た
 ところどころをお姉ちゃんたちに攻撃されて、傷ついてはいるみたいなんだけど、黒い靄を纏った少女は相変わらず不気味に笑いながら、カタカタと首を動かしこっちを見ている
「ハ、ハクラ、キキは?」
「大丈夫、今ジョカさんたちに見てもらってるから」
「そう、安心したわ。それならこいつを倒すことだけを考えましょう」
「うん、でも・・・」
「負けることなんて考えないの! いくわよ!」
 お姉ちゃんに叱咤されて私はハッとし、襲ってくる尖った触手を刀でいなした
 私が構えるのは神刀“散雪”、氷雪を纏わせることで斬りつけた相手を絶対零度で凍らせる他に、一刀から二刀に変形させることもできる
 私は一番得意なその二刀の構えで縦回転をしながら斬りつけていった
 右腕の大太刀で叩き切るように動き、左手の小太刀で刺し貫く
 それを連続で繰り返すことで恐ろしいほどの回転力を産むの
「ぐ、ぎぎぎ」
「よくも私の友達を! こんなに傷つけてくれたわね!」
 回転は止まらない、止めさせない
 グッと回転させる刀に力を込めて凍らせる速度もさらに上げていくと、不気味な少女はたまらず大きく飛びのいていた
 どうやら相手は私の氷結が苦手みたい
 凍った箇所が動かしにくいみたいで、しきりにペロペロなめて溶かしていた
「アグレロ! マグニレスタ! ヴァルクダデロイッヒレド!」
「なにか、しゃべってる?」
「そうみたいね、でも、この世界の言語じゃないわ」
 少女は地団太を踏みながら怒り、また私達めがけて走ってくるんだけど、私は触れば凍ってしまう氷の壁を作ってそれを防いだ
 勢いをつけすぎたあまりに壁に激突し、その少女はカチカチに凍ってその場に崩れ落ちた。比喩じゃなくてガラガラと本当に崩れ落ちたの
「ハクラありがとう、助かったわ」
「それよりみんなを!」
「ええそうね」
 倒れたみんなを治療して回る
 幸いなことに致命傷は避けてたみたいで、意外とみんな元気だったよ
 で、最後のアカネを治療し終えてほっと安心していたら、背中に激痛が走って、私の胸からずるりと尖った触手が飛び出した
 精神生命体であるはずの私の胸に激痛が走って、体が宙に浮いた
 痛い、ものすごく痛い
 そのまま私は振りぬかれるように放り投げられて、地面に叩きつけられた
 痛いし動けないし声が出ない
 どうやらあの触手には私達のような精神生命体の力を壊すような力があるみたい
 ぼんやりとした頭でそこまで考えて、段々と体から力が抜けていくのが分かった
 そっか、キキもこうやって死んだんだ
 私も、もう、ダメかも
 と思ったけどいつまでたっても意識は途切れないし、段々と痛みも引いて動けるようになってきた
 そのとたんお姉ちゃんが泣き叫んでいる声が聞こえるようになる
「ハクラ! ハクラ! なんてこと。よくも私のハクラを! グチャグチャに殺してやる!」
 お姉ちゃんの力が膨れ上がって爆発のような圧力を感じる
 まわりを見るとみんなもその力に押されて動きにくそうにしてた
「お前のせいで! 私のハクラがぁあああ!」
 さっきの氷漬けで少女は死んだんじゃなくて、ただ単に靄に戻っただけだったみたい
 どうやらその靄が正体みたいね
 戦いに参加しようかとも思ったけど、お姉ちゃんがちょっとすごすぎて。っていうかお姉ちゃんの姿が変わってる
 真っ赤な一本角は鋭くとがって輝き、薄暗く光る鎧のような着物が勝手に装衣されていく驚いてみていると、アカネの声がした
「ハ、ハクラちゃん? その姿」
「え?」
 私は自分の着物を確認して驚いた
 淡く光る白い甲冑のような着物が装備されていて、もっていた神刀にも変化が見られた
 そう言えば仙人達に聞いたことがある
 鬼神へ至った鬼族は生体武具という特殊な武具を生み出すことができるって
 ここに来て、私とお姉ちゃんはようやく鬼神に成れたってことなのかな?
 それにグングン力が湧いてきて自分の持つ生体武具をどう扱えばいいのか手に取るように分かった
「お姉ちゃん!」
「ハクラ、その姿」
「うん、これなら倒せる」
「ええ、二人で、倒しましょう」
 お姉ちゃんのほうも神刀“クロアゲハ”が変質していて、その力が私にも伝わってくる
 そこで理解した
 私達は双子、それ故に二人で一つ、この力は二人で紡いでいくものなんだ
「「連鎖神威、黒闇白光くらやみびゃっこう」」
 お姉ちゃんが白く光り、私が黒く染まると、靄に刀を向けた
 二人で罰点を描くようにその靄を斬ると靄の本体がすっぱりと斬れ、少女の悲鳴と共に空気に溶けるように消えた
 それを見てお姉ちゃんと顔を見合わせ、私達はその場に倒れ込むように眠っちゃった

 後々聞いた話なんだけど、鬼神には種類がいくつかあるみたい
 お姉ちゃんの場合は闇鬼あんき羅刹女神らせつにょのかみ、私は光鬼子母神こうきしもじんというみたい
 ただこういった種類があるって言うのが分かったのも、私達が鬼神に成ったからだってニャコ様が言っていた
 そうそう、無事全快したキキにみんなが泣きついてたんだけど、私が一番泣いてたかも
 でもこれで元通り、かな?
 何か忘れてる気もするけどね
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