精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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桃源郷20

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 第十七階層
 扉をくぐった先は辺り一面が真っ赤な大部屋で、部屋中をくるくると踊っている変な人がいた
 真っ赤なドレスを着たネコミミの女性で、髪の色まで真っ赤だ
 その女性はこちらに気づくとくるくるとバレリーナのように向かってきた
「えーっと、あなたが私の試練を受ける方ですねー。私はアラファラと言いましてー、ニャコ様に仕える天使の一人ですー」
「こ、こんにちは」
「はいこんにちはー。早速試練を開始しますかー?」
「はい、よろしくお願いします」
「話が早くていいですねー。では説明からしますねー。ここでは私と戦ってもらいますー。私は舞闘という特殊な戦い方をするのですがー、あなたは魔法などと言った力を一切使わずに戦ってもらいますねー。もちろん私も力は使いませんよー」
「分かりました! 頑張ります!」
 マコさんもやる気満々みたいだ。今までみたいに自分の力を使っちゃ駄目って言うのは厳しいかもしれないけど、僕だってちゃんと戦闘の訓練はしてるんだ
 マコさんもいるし、ここは勝たせてもらいましょう
「ではかかって来なさい」
 アラファラさんの雰囲気が変わって、おっとりとした垂目がキリッと吊り上がる
 バレリーナのような優雅な動きは切れのある格闘家の動きになり、くるくるとした回転は踊りじゃなくて舞闘のそれになる
「先手必勝! 行くよマコさん!」
「はい!」
 二人で一斉にかかる
 僕は右から、マコさんは左から攻めるんだけど、かなりの手数で攻めてもまるで花びらでも相手しているかのようにふわりふわりといなされる
 可憐な舞いは見ているこちらも翻弄して、攻撃がずらされてる感じ
 マコさんもその舞いにクラクラしているようで、時折頭をブンブン振っている
「ほら、休んでいては倒せませんよ!」
 疲れたマコさんが一瞬動きを止めたところに回転の加わった強烈な蹴りがお見舞いされ、マコさんは壁に叩きつけられた
「くふぅ、油断、しました」
「油断は命取りと知りなさい!」
 あっという間にマコさんとの間合いを詰めるアラファラさん
 それにぎょっとしたマコさんはすぐに頭をガードした
 でもそのガードをすり抜けるように脳天に踵落としが決まって、マコさんは脳震盪を起こして気を失った
「次はあなたですね」
「あのマコさんが手も足も出ないなんて」
「これでも私は天界では上位の方の格闘家なのです。舐めてもらっては困ります」
「舐めては、無いんだけど。とにかく僕も気を引き締めさせてもらうよ」
「そうしなさいな」
 そして今度は僕が間合いを詰められる
 これはまずいと思ってすぐに狙っていると思われる頭をガードした
 でもまたしてもガードをすり抜けるように脳天に足が迫る
 今度は予想できたから、すんでのところで転がって躱した
 地面に穴が開くほどの踵落とし。こんなものを喰らったマコさんは大丈夫だろうか?
 そう思ってちらっとマコさんを見ると、何と彼女、もう目を覚まして立ち上がっていた
「あら、小一時間は目覚めないほどの衝撃だったはずですが?」
「あいにく、私は毎日のようにジョカ様のしごきを受けてきたので、この程度どうってことありません!」
 頭のてっぺんにたんこぶを作って、涙目のマコさんだけど、さすがかなりの根性だ
 ブンブンと頭を振って顔をペチペチと叩くと構えた
 さっきと違う構え?
「何度来ようとも同じです」
「今度は先ほどと違いますよ。私独自の格闘術です」
 マコさんはスッと心を静めてアラファラさんとの間合いを詰めた
 速い!
「なっ!?」
「言ったでしょう? 私独自の格闘術です。私の体に馴染んでいるのですよ」
 長く伸びた爪を生かした獣のような格闘術
 これにはアラファラさんも面食らったようで、対応しかねている
 虎のようにしなやかに動き、獅子のように力強く打ち込む
 人型用に磨かれたであろう格闘術はあれよあれよという間にマコさんに追い詰められていった
「くっ、そのような動き、ずるいです!」
「ずるくなどありません! これこそ戦術ですよ!」
 撃ち合いへし合い、爪による生傷がアラファラさんのキレイな肌に赤く光る
 部屋やドレスの赤とも相まって美しいとさえ思えるよ
「ぐぬ、私も奥の手を使うしかありませんね」
「その前に倒させてもらいます!」
 僕はすっかり蚊帳の外で、二人の戦いをただ眺めるしかなかった
「美猫舞闘術奥義、真蛇蛇尾またたび!」
 アラファラさんはしなやかに美しく舞いながら怒涛の如く拳と蹴りを撃ち込み続けた
獣牙虎術じゅうがこじゅつ奥義、虎群憤闘こぐんふんとう!」
 それに対抗するように素早く猛々しくマコさんが爪で応戦する
 壁が崩れ、地面が割れるほどの猛攻はしばらくの間続き、同時に二人は倒れた
 固唾を飲んで見守っていた僕も慌てて二人に駆け寄ると、ボロボロのドレスを纏ったアラファラさんは完全に気を失っているのに対し、マコさんはぜぇぜぇと息つきながら立ち上がった
「はぁはぁ、私の、勝ちですね!」
「そうみたいだね。お疲れ様マコさん。僕、出番がなかったけど、凄いもの見れたよ」
「う、イタタタ、あうー、お気に入りのドレスでしたのにー」
 あ、アラファラさんも起きあがった
 ドレスがズタズタになって嘆いてるみたい
「うー、仕方ありませんー。またニャコ様におねだりしますー」
 にゃ、ニャコ様っておねだり通じるんだ
「合格ですねー。本当はあなたの実力を見なきゃだったんですけどー、まあいいでしょうー」
「い、いいんですか」
「いいのいいのー。さぁ先に進んでー。ここからだから、本当にきついのは」
「う、それ聞くと怖いなぁ」
「ふふふ、ちょっと怖がらせたかっただけー。頑張ってねー」
 二人、凄い戦いだった。いいもの見れたよ
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