精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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獣人族の国再び12

 さて、次はどの扉に入るべきかな?
 ここの人達皆驚くほど強いし、それでいてまだ本気を出してないんだもん
 鬼神に成ったハクラちゃんですら危ういレベルだからねぇ
「絶桜鬼さんは神様にも引けを取らないほど強いと聞きました。ということは私がまだこの力を完全に使いこなせていないんだと思います」
「そっか、ハクラちゃんはまだまだ強くなれるってことかな? 僕も試練を乗り越えて行けば強くなれるってリュコ様が言ってたし、一緒に強くなろう!」
「はい!」
 うんうん、試練はまだまだあるみたいだし、一段ずつ着実に強くなっていってる実感はあるんだ
 神様から出される試練は僕を強くしてくれている
 そう思うとなんだか勇気が湧いてきて、この先どんな試練でも乗り越えられそうな気がしてきた
「よし、今度は左に行ってみよう」
「どんな敵が来ても負けませんよ!」
 左の扉を開けて中に入ると、今度は子犬のような目をした可愛い女の子が立っていた
 その子はウルウルとした瞳でこっちを見るとペコリとお辞儀をする
 凄く礼儀正しい子みたいで、お辞儀をした後近づいてきた
「あ、あの、私、ワコ様のお傍仕え天使のハチと申します。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
 思わず答えちゃった
 彼女はニコリと微笑んでいきなり空手のような構えをした
 目はキリッと吊り上がり、息をスーッと吐く
「そちらも構えてください。正々堂々、打ちのめして差し上げます!」
 小っちゃいのに、何というか、覇気が出ててプレッシャーがすごい
 多分これは気力を極限まで高めてるんだと思う
 気力は生命なら大体のものが持ってるけど、ここまで強い気力は見たことが無い
「ハクラちゃん」
「はい、この気の流れは多分気力の極みに達した者だけが纏う力の流れです。この世界にはここまで洗練された気力を使う者はいません」
「やっぱり、ね」
 ハチちゃんがドンと足を振り下ろすと、地面が龍のように波打って僕らを襲う
 危うく体勢を崩しそうになったけど、ハクラちゃんが気力と仙力を混ぜた力で同じように足を振り下ろし、その波を抑え込んだ
「なるほどです。あなたは気力はそこそこですが、仙力を使えるということですね。なるほどなるほど、やはり世界は広いのですね。同じような威力の力で相殺されましたか」
 ハチちゃんは嬉しそうで、ウキウキと飛び跳ねているのが可愛い
 でもまた戦闘態勢に戻って気力をさらに大きく体にまとった
一魂入拳いっこんにゅうけん! 世嗚波闇せおはやみ!」
 あれは、闇の力?
「闇の元でかなりつらく厳しい修行をして身につけた技です。これを避けるのは至難ですよ」
 ハチちゃんの拳が怪しく黒く光って、一瞬のうちに僕とハクラちゃんは地面に倒されていた
 激痛がお腹に走った
 ハクラちゃんの方は苦しそうに呻いてる
「うう、ぐ、がふっ」
「いたたた、足が、動かない」
 僕もハクラちゃんもダメージが大きすぎて立てないでいると、また拳に闇を纏ったハチちゃんの一撃が来る
 動かない足じゃなくて、手で立ち上がってハクラちゃんお掴み上げると放り上げる
 その直後に僕のお腹にまた重い一撃が抉りこまれた
 血液が通っていたなら大量吐血物の一撃だったよ
 でも何とか思いっきり壁に叩きつけられただけですんだ。痛すぎるけど・・・
 あれ? 投げあげたハクラちゃんが消えた
「隙あり!」
 あ、ハチちゃんの後ろ!? いつの間に
 ハクラちゃんは空中を蹴って刀を抜き放つとそこに神力を込めた
「もっと大きく、もっと力強く。神力を散雪に!」
 白い刀身が白く輝いて綺麗だ
 その峰でハチちゃんの背中を打つ
 でも簡単には背後を取らせてくれなくて、峰による一撃を足で止めていた
「いい判断でしたが、その遅さでは無駄ですね。簡単には私の背後は取らせませんよ」
 ハチちゃんは得意げになってて可愛い
 僕は痛みに耐えながら立ち上がるとハクラちゃんに目で合図を送った
 こちらの意図を読み取ってくれたのか、ハクラちゃんも瞬きで答えてくれる
「確かに今の一撃は止められましたが、次の一撃はこの体制では絶対に躱せませんよ」
「はったり、ですね」
「フフフ、それはどうですかねぇ」
 ハクラちゃんがこちらにまた瞬きで合図を送ってきた
 僕は拳に闇の力を溜めてハチちゃんの真後ろに転移すると背中を思いっきり殴りとばす
「あうぅ!!」
「今です! 鬼仙流剣術極意! 白狼びゃくろう!」
 ぐるりと回転しながら仙力のこもった刀身で斬りつける、いや、この場合みねうちだから殴りつけるかな?
 お腹を思いっきり殴られたことでハチちゃんはむせながらうずくまった
「くふっ、ケホッ、グホッ」
「ご、ごめんなさい! 強く殴りすぎたかも」
「い、いえ、本気で向かってきてくれたことに、感謝を」
 すっくと立ちあがると拳を会わせてまたぺこりとおじぎする。本当に礼儀正しい子だ
「先に進んでください。まさか私までやられるとは思いませんでしたよ」
 ハチちゃんは満足そうにうなづいてる
 さて次の扉は、あれ? 一個だけだ
「これでこの階層はクリアですよ? 安心して先に進んでください」
 ハチちゃんはポンポンと僕の腰元を叩いてお別れの挨拶をしてくれた
 普段は多分人懐っこいんだろうなぁ
「あ、言い忘れてましたけど、次が最後の階層になります。気を付けてくださいね」
「は、はい!」
 次が最後なのかぁ。気を付けてくださいって言葉が何だか寒気がするね
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