精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

文字の大きさ
439 / 1,022

精霊の国3

しおりを挟む
 意識が混濁している中、まるで夢の中にいるような感覚になっていて、今まで母さんと過ごした日々が映画を見るかのように流れていく
 母さんはいつも優しい笑顔で笑っていて、僕を大切に抱きしめてくれた
 あの優しい母さんは僕を守って魂を壊された
 僕の、せいだ
 そう思ったとき目が覚めた
 視線を下に向けて母さんを見る
 目を開けず、段々と消えていく母さんの手を僕はギュッと握っていた
 精霊に死体は残らない。魂があれば死してもそのまままた精霊に転生して記憶を引き継いだまま新しい精霊生を生きることができる
 でも、母さんの魂はさっき敵に砕かれてしまった
 もう蘇ることはない
 僕は悔しくて寂しくて母さんを失ったという喪失感で涙があふれて止まらない
 敵はハクラちゃんたちが防いでくれているけど、僕は助けに向かうことができないでいた
 その時僕の頭上でバチバチと音がして何かが弾けた
「リディエラちゃん! お姉ちゃん!」
「シルフェイン! おおなんということなのですか!」
 そこから現れたのは母さんの妹女神、妖精祖神のエルリウラさんと知らないお兄さんと光り輝くお姉さんだった
「あなたがシルフェインの娘のリディエラですね。私はそうですね、あなたの叔父にあたる神です。名をラシュア、天空の神にして神々のまとめ役をしている者です」
「母さんの、お兄さん?」
「そしてこの子は光の女神イナミリア。彼女は大神の力を受け継ぐ私達の中でも神々を作り出すことに秀でた女神です」
 後ろにいた光り輝くお姉さんはわずかに微笑んで僕の頭を撫でた
「やぁ、僕はイナミリア、君との関係は叔母になるのかな? まあ僕は女神で二番目に若いからあんまり叔母さんって呼んでは欲しくないけど。とりあえずシルフェインさんを治すところから始めるとしよう」
 イナミリアさんはそういうと手のひらに光を集めた。その光に向かって砕き散った母さんの魂がみるみる集まって一塊になる
「これをこうしてよいしょっと。ほら元通り」
 綺麗な虹色の輝きを取り戻した母さんの魂はイナミリアさんの手でゆっくりと、ぽっかりと空いた母さんの胸に戻された
「ふぅ、これでよしっと。まだ安定はしてないから戦いや魔法を使ったりはできないだろうけど、かつて一度死んだことのある女神、とっさに欠片を残すコーティングをしていたのが幸いしたよ。でなければ今頃完全消滅してたはずだからね」
「ありがとうございますイナミリア様!」
「様はいらないかな? 僕って君の叔母さんであるわけだし」
 イナミリアさんのおかげで母さんは何とかなりそうだ
 目はまだ覚めないけど、これで僕も戦いに行ける!と思った矢先にすでに決着はついていた
 ハクラちゃんとクロハさんに抑え込まれた敵は既に手足を切り落とされて無力化されている
 その切り落とされた手足がまた異様だった
 くっついている間は普通の腕だったのに、地面に落ちたその腕はミイラ化してそのまま砂になって消えてしまった
 僕の腕もだ
「ああ、私達はまたなれなかった」
「ああ、人になりたい。人形はもう嫌」
 不気味なことに二つの人形は今まで人のように見えていたのに、今は能面のような無表情の人形そのものとなっていた
 やがて喋らなくなり、カタカタと震えて人形は動きを止めた
「これは、生き人形・・・」
「生き人形?」
「うん、魂を求める哀れな人形で、大昔に神に近い力を持った天人族が作ったと言われている人形だよ、それが何でこんなところに? 天人族は既に滅んだはずなのに」
 とりあえず生き人形についてはラシュア様やエルリウラさんが調べてくれるみたい
 僕は眠ったままの母さんを抱え上げると母さんのベッドに寝かせた
「テュネ、母さんのことお願い」
「かしこまりました」
 僕はもう精霊の女王だ。それならば今なすべきことをやらなくちゃ
 今の騒ぎで傷ついた人々や精霊を癒す。そんな僕に近づいてくるハクラちゃん
「せ、精霊様・・・」
「ありがとうハクラちゃん、おかげで皆無事みたい」
「申し訳ありません。私達がもう少し早く着いていればこのような事態には」
「クロハさんのせいじゃないよ。僕が不甲斐なかったんだ。せっかく力を手にいれたって言うのに、これじゃ情けないよね」
「そんなことはありません!」
 ハクラちゃんは僕の手をギュッと握る。痛いくらいに
「精霊様は皆を守ろうと必死でした! そのおかげで私達は敵と相対することができたのです。それにほら、誰も精霊様を攻めたりしません」
 顔をあげるとそこには僕を真っ直ぐに見つめる各国の首脳たちがいた
 怖い思いをしたであろう人達も僕を笑顔で見ている
「僕は、精霊の女王でいいのかな?」
 問題はあった。みんなを傷つけさせてしまった
 それでも皆僕を拍手で迎えてくれた
 そこに嘘はなく、こうして僕は晴れて精霊の女王となった
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処理中です...