精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

文字の大きさ
487 / 1,022

リィリア

 少女はか弱く体力的には本当に見た目相応の小さな少女だ
 しかしながら精神的には熟しており、中身は中年、いや、老齢の男性である
 リィリアという名の少女はかつて宗教家だった
 神を信じずただひたすらに金を集めるまさに金の亡者にふさわしい人物
 だがその内心はいつも死した母のことでいっぱいだった
 金さえあれば救えた、金さえあれば母は苦しむことなどなかったのだ
 女手一つで育ててくれた優しく強い母、その母が病に伏せたとき男はただひたすらに自分の無力さを呪うしかなかった
 その幼き日々が男を金の亡者へと駆り立てた
「神は自分の内にいる。自分こそが神で、金こそが全てを救う」
 独自の考えによる宗教、しかしながら彼はその美声とカリスマによって大きな新興宗教を作り上げた
 お布施という名の金集めも非常にやりやすい宗教とは実に彼に馴染んだ
 しかしながら金を集める日々は突如として終わりを告げる
 家族をこの宗教にとられた男による復讐と呼ぶべき突然の凶行
 彼は別に誰かを騙したり、貶めたりなどは一切してはいなかった
 金を集めるとは言っても、その金は運営資金、寄付などと言ったことに割り当てられ、至極全うな使い道以外に金を使うことはなかった
 後々分かったことだが、彼はいつも言葉が少なかったらしい
 それ故に誤解を生み、あるいわ裏切られたのかもしれない
 リィリアとなった今としては知る由もないが、今の彼女は宗教家であり救世主でもある
 その身に神性を宿し、ただ愚直に自分を信じてくれた神々のために尽くしている
 それがリィリアという少女だった
 
 老齢の男性から突然の転生、そして性別も年齢も全く違う別の人生を歩むこととなった彼女だが、愛溢れる家庭に生まれ、その人生は充実していたと言っていいだろう
 前世で受けた母の愛、受けれなかった父の愛を一身に受け、友人達にも恵まれ、そしてリィリアはその力を高めていった
 天使へと覚醒するほどに
 通常人間が研鑽を積むことで仙人、神仙へと至る道があるが、何もそれだけが道ではないということである
 天使、それは神に仕えていたリィリアという少女にとってなるべくしてなったと言っていい
 まだ覚醒したてではあるが、神性を元々帯びていた身、馴染むのにそう時間はかからなかった
 ただリィリアには思うところもある
 それは突如生えたフワフワの翼をどうすればいいか、である
 その翼は大きく、両翼を合わせると二メートル半はありそうだ
 しかしそれでいて驚くほど軽いため、翼を広げても彼女の小さな体でも十分に支えきれる
 だが収納方法が分からない
 見た目上服は着なければならないし、何よりこの翼に服を合わせるとなるとやはり特注となるだろう
 これからの服選びに思わずため息が漏れる
「ふむ、まぁ収納方法は追々考えるとするか」
 中身はおじいさんである。そのため自然と独り言が漏れる
 いくら少女になったとはいえ、老人の肉体と少女の肉体では過ごしてきた時間の長さが違う
 そのためか、時折じじ臭い面を見せることがある
 それが魅力だと思う男性も多いためリィリアはあえて治そうとはしないが、やはり少女らしい言動は取りたいとも思う
 そのため元居た世界では一応友人たちをよく観察し、その行動や言動を見事に真似ることには成功している
 しかし一人になるとやはり気が抜けるのか、言動は老人そのものとなることが多々あった

「む、アスティラさん、どうやって翼を収納したのですか?」
 ふと同じく天使となった少女をみやると、いつの間にか自分の翼を綺麗に収納している
 自らができないと思うことはきちんと他者に教えを越えるリィリア
 当然その方法を尋ねた
「ああ、これ結構簡単よ。こうなんていうか、背中のもう少し先をイメージしてたたむ感じかな」
 アスティラに言われたように脳内でイメージすると、驚くほど簡単に翼が収納できた
 これで鬱陶しい服選びなどに時間を取られずに済むとリィリアは喜んだ
「ね、簡単だったでしょう」
「うむ、ご教授感謝します」
 普通にありがとうだけ伝えればよいものを、リィリアは元宗教家という立場がら、どこまでもお硬いのであった
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。